King & Prince

 King & Princeの2ndアルバム『L&』に収録されている、メンバープロデュースの5曲から見えるそれぞれの個性について分析するシリーズ。前回は、岸優太プロデュースの「ORESEN」に着目した。今回は、高橋海人(※高ははしごだか)プロデュースの「生活(仮)」に触れていきたい。

 【写真】ケーキも似合うキンプリ

高橋海人プロデュース「生活(仮)」

 ロックバンド・サイダーガールのYurinが作詞作曲を行い、高橋も作詞に携わった楽曲「生活(仮)」。“炭酸系ロックバンド”として、青春を体現した楽曲が多いサイダーガールと、少女漫画家としても活躍している高橋。両者の持つ“弾けるような爽やかさ”が融合した結果、どこかセンチメタルな気持ちにさせる。

 身近な幸せをテーマにしている同曲は、<毎日終わった仕事に疲れ 家路につく/電車でぼんやり眺める景色は過ぎていく/君に会えたら それだけでいいのにな>や、<見慣れたはずの部屋の中が/輝いて見えるなんて魔法のようだ>など恋をしているだけで全てが輝いて見える恋愛の美しさを表現する一方で、どこか儚さを感じさせる。それが、タイトルの「生活(仮)」に表れているのかもしれない。

 サビに、<僕らはぼんやり流れる季節を過ごしていく/でも君がいるから生活が彩られる>とあるように、「君」がいるからこそ彩られている日々の「生活」。しかし、その「生活」に仮題を意味する「(仮)」をつけることで、いつ終わるか分からないような不安定さを感じさせている。恋は、終わりを意識して初めて大切にできるのかもしれない。この楽曲からはそんなことが伝わってくるようだ。

 この(仮)を意識して聴いてみると、曲中に出てくる<いつまでも><明日も><ずっと>など、未来を感じる言葉に重みも感じてくる。一見、初々しい恋愛ソングに見えるが、深く読み解いていくと、終わりを経験したことのある大人な恋愛観が見える。

 そして、Dメロの<出会った頃 こんなにも大切に想うなんて/少しも思わなくて/いや 少しは思ってたかな>に着目する。<少しも思わなくて>を入れることで、<魔法のようだ>などのフレーズも、リアリティを増す。この楽曲は、夢のように輝く日常のなかにある「リアル」さがエッセンスとなっているように感じる。

 聴けば聴くほどいろいろな解釈が生まれるのも、クリエイティブな才能がある高橋がプロデュースしたからこその深みなのかもしれない。高橋は、My Hair is Badなどのバンドソング好きを公言している。テレビや雑誌などで彼らの楽曲の解釈を話す時、歌詞を俯瞰して本質の部分を見ているように感じた。だからこそ、(仮)のようにリアルで意味深いフレーズが誕生するのだろう。

 脆さがあるからこそ、大切に守っていく恋。儚さを認識して初めて永遠に触れることができる。そんなことを教えてくれる「生活(仮)」は、優しい花束のようだ。この楽曲には、身近な幸せ、そのなかにあるリアル、そして高橋の持つ陽だまりのような温かさがぎゅっと詰め込まれている。【かなぴす】

筆者紹介

かなぴす メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動行っていた。エンタメとファッションが大好き。ツイッターは@kanawink

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