シンガーの杉山清貴が26日、横浜みなとみらいブロンテより有料配信ライブ『杉山清貴アコースティックソロライブ~from the Live House~』を行った。ライブは約90分間で今年5月にリリースされたニューアルバム『Rainbow Planet』収録楽曲や、代表曲「ふたりの夏物語」など、アンコール含め全12曲を歌唱。弾き語りスタイルで、音源とはまた違った楽曲の魅力を打ち出し、多くのリスナーを魅了した。ライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

みんなと繋がりが持てたら

 開演時間になると、スタンバイが完了した杉山の姿。「みんなと繋がりが持てたら」と今回のライブの趣旨を話し、「懐かしい曲から行こうかな」と、オープニングを飾ったのは「渚のすべて」で配信ライブはスタートした。懐かしい1曲だが、その楽曲は色褪せることなく会場に響き渡る。杉山の歌声と乾いたアコースティックギターの音色が夏を彩っていく。1曲ずつトークを挟みながら、丁寧に進行していく。

 事前に募集した質問やメッセージを読み上げ、コメントしていく杉山。その中でコロナ禍による音楽シーンについて、「変わっていく環境の中で生きていかなければいけない、エンタメも大変ですけど、こういう形で新たな道を模索しながらやっておりますので、皆様協力してください」と話し、2曲目はニューアルバムから杉山が作詞した「Other Views」を、夕暮れを想起させる照明が優しくステージを包み込むなか歌唱。さらにソロになってから初めてチャート1位を獲得したというメモリアルな1曲「水の中のAnswer」と、杉山のトランスペアレントな歌声を堪能。

杉山清貴

 トークでは無観客のため、誰も反応してくれないことに寂しさを感じつつも、リスナーから寄せられた質問に答えていく。そして、リアルタイムでリスナーから寄せられるチャットコメントに、「こうやって1曲ずつコメントがもらえるのも面白い」と、新鮮な感覚もあることを明かした。

 ここで、杉山清貴&オメガトライブのナンバーから「Alone again」を披露。指弾きによる優しいギターのアルペジオに、情感を込めた歌声を乗せる杉山。鮮やかなイエローの照明が杉山を照らす中、シルキーな歌声でバラードナンバーを届けた。

 ここで趣を変え洋楽のカバーコーナーへ。カバー曲に選ばれたのは「Moon river」。名作映画『ティファニーで朝食を』でオードリー・ヘップバーンが劇中でギターを奏で歌っていた楽曲だ。杉山のバックには雲間に浮かぶ満月の映像が投影され楽曲の情景をより鮮明にし、杉山の哀愁を感じさせるレイドバックした歌声で名曲を彩った。

杉山清貴

 続いてカバーをもう1曲。岩礁の向こうに僕の気持ちは眠っている、という別れた人へ向けた楽曲「Beyond the reef」を披露。ブルーの照明が広がる中、情緒がありながらも、ハワイを感じさせるゆったりとした空間を作り上げた。間奏でのメロディアスなギターソロも印象的で、ギターを奏でる手元がしっかり見れたのも配信ならでは。リスナーからのコメントでも「ハワイの夕暮れが思い浮かびました」と、アレンジによるイメージがしっかりと伝わっていた。杉山はこれからもスタンダードナンバーを歌っていきたいとこれからの展望を語った。

歌い込んでいくとグッとくるんです

 そして、ニューアルバムから表題曲「Rainbow Planet」を歌唱。軽やかなギターのストロークに合わせ、楽曲の持つ情景を歌声で見事に表現していく杉山。画面の向こう側にいるリスナー、一人ひとりに語りかけてくれているような、のびやかな歌声に、チャット欄のコメントでは「弾き語りで聴けて嬉しい」と歓喜の声も。

 「今まで一番クレイジーだったことは何ですか」、という質問に杉山は「渚のすべて」がチャートインした時に、名古屋で歌番組の中継をしていて、撮影場所にあったプールに服のまま飛び込んで、サングラスを落としてし割ってしまった、というエピソードを語ると、チャットのコメントも当時テレビを観ていた人たちで賑わっていた。

 ライブも後半戦へ。届けられたのはニューアルバムから「二人の色彩」と、涙腺が緩むバラードナンバー「Daughter」を披露。オリジナルでは作詞・作曲を担当した澤田かおりのピアノをバックに歌唱されていたが、今夜はギター1本での伴奏、間奏では杉山の口笛によるフレーズがノスタルジックな空間を演出し、オリジナルとはまた違った世界観を見せてくれた。

 これから披露する曲について杉山は「歌い込んでいくとグッとくるんです」と語り、ニューアルバムのラストを飾る「もう僕らは虹を見て、綺麗だとは言わない。」を届けた。しっとりとアコースティックライブの醍醐味が詰まっていた。杉山は「この景色久しぶりだよね。やっぱり落ち着くよね」としみじみ会場を見渡す場面も。

 ラストは「賑やかな曲で締めたい」と、梅雨が開けることへの願いを込めてオメガトライブのナンバーから「ふたりの夏物語」を披露。バックに投影された南国の映像が一足早く夏を感じさせてくれる。軽快なギターに、爽快な杉山の歌のコントラストは、梅雨を吹き飛ばすよう。チャット欄も「一気に夏がキター」というコメントも見られた。

杉山清貴

 そして、アンコールに応えもう1曲、杉山が記念すべきソロ1stシングル「さよならのオーシャン」を届けた。演奏終了後、杉山は「元気でお会いしましょう」と言葉を残し『杉山清貴アコースティックソロライブ~from the Live House~』の幕は閉じた。

 ライブチャット機能など配信ライブならではの要素に加え、通常のライブでは珍しい、1曲ずつ区切っての丁寧なライブ運びが印象的だった。トーク部分では杉山の人柄の良さが滲み出ていて、「みんなで前を向いて綺麗な言葉を並べて生きていきましょう」というメッセージは、リスナーの背中をそっと押してくれるようだった。

 アコースティックライブという歌が際立つスタイルということもあり、杉山の歌声を存分に堪能できた贅沢な約90分。まだまだ進化の可能性を秘めた配信ライブへの期待感も高まった一夜だった。

セットリスト

『杉山清貴アコースティックソロライブ~from the Live House~』

7月26日@横浜みなとみらいブロンテ

M01.渚のすべて
M02.Other Views
M03.水の中のAnswer
M04.Alone again
M05.Moon river
M06.Beyond the reef
M07.Rainbow Planet
M08.二人の色彩
M09.Daughter
M10.もう僕らは虹を見て、綺麗だとは言わない。
M11.ふたりの夏物語

ENCORE

EN1.さよならのオーシャン

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