ファンに向けたメッセージも込めた
――作曲は明希さんですが、どういうことを意識して作曲されましたか?
明希 スピード感と疾走感を意識しました。個人的に次にやりたいと思っていたこととも重なっていたので、すごく作りやすかったです。制作のスピードも速かったし。
――曲としてはAメロが2回来て、Bメロが短くて、サビが2段階あるような作りで、音はすごくシンプルです。アニメ側からの要望は、何かありましたか?
明希 聴いてもらって修正してというやりとりが何回かあったんですけど、例えばサビはストリングス系が欲しいとか、わりと具体的な指示が最初の時点であったんです。僕はそういうアイデアをいただくと燃えるし、手を加える度に良い曲になっている実感がありました。アニメ側のスタッフと一緒に作っている感が、すごくあって楽しかったです。
ゆうや 明るすぎずちょっと影があって、アップテンポでスリリングなものが良いと。曲を作る前の打ち合わせで、そういうイメージを提示されていたと思います。最初にいっぱいアイデアをいただいていたほうが、作りやすいですよね。イメージがしやすいし。とは言え、僕の曲は落ちたんですけどね(笑)。楽器陣の3人がそれぞれ曲を作って選んでいくので。
――個人的に、この曲は“するめ曲”だと思いました。装飾がたくさん付いたような派手さのある曲とは違って、シンプルで聴けば聴くほど良さがどんどん出て来るような。
明希 僕の曲って、そう言われることがすごく多くて(笑)。でも、そういう風に言ってもらうのは嬉しいです。
――つまり“明希さん節”が出ている曲ということですね。
明希 そうなんだろうと思いますね。
――バンドアレンジはどんな風に?
明希 デモの段階で、それぞれのパートもだいたい出来ていて。スタジオで、その場で話し合ってアイデアを加えながら録って行くんです。だから、プリプロと本番のレコーディングを同時に行っているような感覚です。
――レコーディングと初披露の時とで違いはあったり?
明希 フレージングとかはほぼ同じです。
ゆうや 僕も同じだな。
明希 ライブでやり続けていくうちに、少しずつ変わって行きますよね。そういう良い変化はこの曲に限らず、どの曲もそうですけど。
――歌詞を書く上では、どんなことを意識しましたか?
マオ 原作を読んで、そこで感じた気持ちをしっかり込めたいなと思って。例えば原作で、エリザベスが何度も生まれ変わっていることとか、消し去りたいものがあることとか。それでも、決してTVアニメ『七つの大罪 神々の逆鱗』のテーマソングとしてだけで完結するのではなくて。
例えば2番のサビで<壊せない壁なら そっと寄り添って待てば><きっと 世界は 形を変えてく>と歌っているんですけど、そこはファンに向けたメッセージでもあるんです。SNSやファンレターなどで悩みを打ち明けてくれるファンが結構いて、そういう人たちに向けて、無理しないで状況が変わるのを待てば良いよと。ふわっとですけど、僕らからのちょっとしたメッセージを込めています。
――Bメロの<終わりのない 迷路みたいに 続く 輪廻>は、主人公メリオダスとエリザベスにかけられた呪いを彷彿とさせますよね。ここはこのことだとか、ファンはいろいろ想像を巡らせているでしょうね。
マオ そういう風に聴いてもらえるのは嬉しいですね。曲によってですけど、思い切り伝えたいメッセージがある時は、それをしっかり伝えるし。受け取り側の感性で自由に受け取って欲しい場合は、敢えてあまり語ることはせず、それぞれの受け取り方を全部正解にしたいですからね。