「自信がなくて…」松岡茉優の本心、指針は「先輩」「仲間」の背中
INTERVIEW

「自信がなくて…」松岡茉優の本心、指針は「先輩」「仲間」の背中


記者:木村武雄

撮影:

掲載:20年02月20日

読了時間:約9分

メノアに共感

――声での出演が決まった時の心境は?

 「太一とアグモンのラストの物語を描く」と伺った時は「その映画、私も楽しみだな」と思ったことを覚えています。オファーを頂いたことよりも「映画が出来上がるんだ」という期待感の方が大きかったです。私自身が、『デジモン』に教えてもらったことで成長できた部分は大きくて。今回の映画で再確認したのは、『デジモン』はずっと諦めない心、前に進む心を教え続けていること。どんな状況になってもどんなに立ち向かえないような敵が出てきても諦めずに前に進む。そういった前進する力を私たちに見せ続けてくれた物語です。

――アニメーション映画の声優では今回が5作目です。最初に臨まれたのは『ポケモン・ザ・ムービーXY&Zボルケニオンと機巧のマギアナ』(16年7月)でした。

 当時は山寺宏一さんがアフレコに付いてくれて、横で指導を受けながらやっていたので安心していた部分もありました。次の『聲の形』(16年9月)では小学生の男の子の役でした。舞台でもなかなか頂けないような役なのでそれは緊張しましたし、私で良かったんだろうかと思いました。でも勉強になりました。次は『カーズ/クロスロード』(17年7月)。その次が去年の『バースデー・ワンダーランド』で小学生の女の子。そして、今回は、私が演じさせてもらった作品のなかでも一番等身大に近くて共感することも多かった女のコでした。ですので、感情面ではやりづらいとか、難しいということはなかったです。ただ技術不足で追い付かないところは多々あって…。太一やヤマトたちは諦めないし、前に進む、自分を信じられるし、とてもかっこいい。でも、メノアもそうですが、私は立ち止まってしまう、過去を振り返ってしまうタイプ。前に進むことのパワーの重要性は理解しているつもりでも、前進するにはパワーがいりますし、簡単なことではないと思っています。そうした点でもメノアに共感できましたし、観ている方もメノアの気持ちは分かってもらえると思います。

――アフレコでは監督と納得がいくまで話し合ったようですね。

 録る前に監督へ「私はアニメでは4本を経験していますが、マイクに声が乗らないし、素人に近いので、なんでも仰って下さい」と伝えました。監督がどう評価しているかというのは監督の心に聞かないと分かりませんが、(アフレコ時の)コンテ撮の状態だとまだ顔の表情や周りの雰囲気が分からないことがあって。その時に私が少し違うことをしていたら「このシーンはもう少し暗い演出になると思うのでトーンをもう少し落としてください」とか「明るめもください」と。コンテ撮の映像に対してお芝居するのになれていないから完成図に対して補填してくださったのは助かりました。

――前作の『バースデー・ワンダーランド』では小学生の艶がある声を意識されたと話されていて、作品毎にそれぞれの声の表情を見せている気がします。今作ではいかがでしたか。

 等身大の女性でトーンを落としたシリアスな声は初めてでしたので、私にとっては挑戦で手探りの部分もありました。結果、それが出来ていたかはお客さまの判断に委ねることですが、太一よりも少しお姉さんで、暗い過去がある、見たくなかったものを見ているというのを声で表現できるようには意識しました。そもそも私の普段の声は高くはないので普段の声に近い、はしゃがない感じにしたいと思っていました。

――初号試写を見ていかがでしたか。

 自分のシーンは気になってしまいますし、私で良かったのかなと思って観ていました。でも、観終えた後にデジモンのファンで良かったなと思いました。こういう物語を作ってもらえるのは幸せなだなと。ただ、観終わった後に動けなくなるので、劇場で観てくださる方が心配です。どういう空気になるんだろうと。ちょっと辛すぎるし、切なすぎる。エンドロールが終わったあと暗くなっていないかちょっと心配です。でも未来につながるらしいので、そこに目線を向けて頂けるといいですね。この映画は『デジモンアドベンチャー02』の最終回に繋がっていると聞いて、それを見直したら大丈夫でした。だから別れではないですし、思い出すことで自分が前に進めたら、どういう形であれまだいるという事だと思います。

松岡茉優

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安心する音楽

――音楽の事もお聞きしたいと思います。モーニング娘。’20好きで有名ですが、救われた音楽は?

 沢山あります。本作でしたら「Butter-Fly」(オープニングテーマ)です。流れてきたときにガッツポーズをしたくなるくらいデジモンというものに根付いていると思いました。モーニング娘。だと「Be Alive」という曲の考え方は今でも大事にしています。それと、落ち込んだときは「みかん」。あとは「笑顔の君は太陽さ」です。

――過去に歌詞があると感情が左右されるのでインストの曲も聴いているとか。でもハロプロは特別?

 インスト曲も聴いています。支度しているときに感情的な歌を聴くと落ち込んでしまのでその時はインストを聴いています。時と場合によりますね。お風呂入っているときは誰ともしゃべらないので歌詞のある曲を聴きます。インストも好きですし、アイドルもハロプロも好き。バンドも好きですし、洋楽も好き。なんでも聴く方だと思います。

――音楽はどういう存在ですか。

 メイク中もそうです。初めてお会いする方や食事の時も音楽が流れている方が安心するので、欠かせません。ただでさえ初めてお会いする方とは緊張するので音がないと…。でもシリアスなシーンを撮るときに気を使ってくださってモーニング娘。を流してくださる時があります。でもちょっと違うかも…って(笑)。その時は「すみません、ジャジーでお願いします」と(笑)。みなさんの思いやりで音楽を聴かせてもらっています。

松岡茉優

(おわり)

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