INTERVIEW

蓮佛美沙子

デビュー当時抱えた苦悩 「私を救ってくれたミスチル」


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:20年01月17日

読了時間:約7分

諦めない強さが運命を切り開く

――記憶を失ってしまう女性を演じるにあたってどのように向き合いましたか?

 杏子が記憶を失った後も、杏子が働いているカフェに遼一が何度も足を運ぶというシーンがあるのですが、最初は初対面に近い遼一に対して警戒感を持っているけど徐々にそれを解いていく、物語の終盤に向けて柔らかさを取り戻していくことが肝だと感じてそういう点を意識しました。グラデーションを使って分かりやすく「気持ちが変わりました」と表現するよりも、遼一に対して警戒しているところから少しずつ引っ掛かっていくような。監督からも「感情がこぼれるぐらいのテンションでやってほしい」とも言われていましたので。ラストシーンで映画を観て下さる方が明るい未来を想像できればいいなと思いました。

――となると、一度好きになった人は例え記憶を失ってももう一度好きになる可能性が高い? そうだとしたら運命のようにも感じますね。

 ここからもう一度恋が始まる、明るい一歩に最後はなってほしいという気持ちでした。遼一の諦めない強さがあってこそだと思います。遼一が愛の強さで運命を掴んだような感じだと思います。

――山田さんとは2017年公開の映画『鋼の錬金術師』以来2度目の共演となります。本作では、原作が伝えたいメッセージを大事しながらも、観ている側に分かりやすく伝えようと脚本も変更があり、山田さん自身も意見は伝えたそうです。

 脚本が変わったというのは聞いています。山田さんは当時も作品が良いものになれるように真摯に向き合っていました。今回もそれは変わっていませんでした。平川監督は、現場では基本一発OKがなくて常に違うパターンを2、3テイクは撮っている感じでしたので、選択肢は沢山あってやりやすい現場でした。

――お気に入りのシーンはありますか?

 遼一が、真希(芳根京子)の祖父がいる施設で泣きながら謝るシーンがすごく好きです。彼がそれまでどういう想いで謝れずにきたか、あの涙に、遼一が歩んできた人生のバックボーンが見えて、ぐっと引き込まれるものがあり、感動しました。

――杏子が働く喫茶店の店長・外山はブラザートムさんが演じられました。撮影現場ではどうでしたか?

 とても良くしていただき、アイスをご馳走になったりもしました(笑)。それから、劇中のテンションのままで、気付いたらいるみたいな。気を使わせないようにするのではなくて、ナチュラルにフラットに接して下さる方。一緒にいてリラックスできました(笑)。

蓮佛美沙子が演じた杏子(C)2020「記憶屋」製作委員会

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