Wakana「一生付き合って歌っていくもの」曲に対するこだわりが示す音楽愛
INTERVIEW

Wakana「一生付き合って歌っていくもの」曲に対するこだわりが示す音楽愛


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年11月20日

読了時間:約10分

毎日新しい自分に会うために寝て起きる

Wakana【ヘアメイク 丹羽寛和(maroonbrand)】

――また「恋はいつも」という曲は、80年代の洋楽の打ち込みサウンドで歌っていて、すごく意外でした。

 アップテンポのそういう曲が欲しかったし、ライブではこういう曲でみんなと楽しみたいと思って。編曲の藤本和則さんからこの曲を提案された時に、「良い! 歌いたい!」とすぐ決めました。でも、聴いてくださるみなさんがどう思うか、ドキドキしています。

――歌詞はストレートな恋心を歌っていますね。

 恋っていつもそんな感じだよねって。でも、それが自分の生きている世界を輝かせてくれるよねって歌っています。歌詞には私自身の恋愛観を盛り込んでいただいているので、こんなにリアルな恋の歌を歌っていいのかなって、すごく悩みました。

――歌詞によればWakanaさんは、恋にはわがままになると。

 はい(笑)。愛はお互いを尊重し合う崇高なもの、恋はわがままで独りよがりなんじゃないかと。自分の思いばかりが膨らんで、会いたい会いたいと自分勝手になってしまいます。いろんな恋の落ち方があって、友だちからだんだん好きになっていく人もいるけど、私はひと目ぼれだけなので、一瞬で決まってしまうんです。だからその瞬間パッと世界が変わる。昨日までのほほんと生きていたのに、次の日からは目がハートになってしまいます。

――また「オレンジ」と言う曲は温かみのあるミディアムナンバーで、Wakanaさん自身で作詞をしていますね。

 この曲で描きたかったのは、都会で頑張る女性の気持ちです。東京の友だちもみんな、バリバリに働いている子ばかりで、後輩も増えて、自分の仕事が周りに認められてくる年齢でもあって。でも若い時は、やりたいことが出来なくて、悔しくて泣いたこともたくさんあったと、同世代の友だちから話を聞いて。みんなそうやって頑張って生きているんだなと思いました。「オレンジ」は、私の中では朝日をイメージしています。徹夜をして迎えた朝もあるだろうし、昨日こうしておけば良かったと悔やんだ朝もあるだろうし、今日も頑張るぞという気持ちの朝を描いたつもりです。

――Wakanaさんも20代は、やりたいことが出来なかった?

 出来なかったという訳ではないですけど、「もっとああしておけば良かった」「こうしておけば良かった」というのはあったかもしれません。自分も含め、きっとみなさんもいろんな想いと経験を抱えて今を生きていると思うので、それを、<眩しく見えた憧れも涙を飲んだあの夜も>というフレーズに込めました。だけど毎朝寝て起きると、新しい自分になっている気がして。歌詞の<あなた>は自分自身のことで、毎日新しい自分に会うために寝て起きて、いつも笑顔でいられるように頑張りたいと願っています。

――ハーモニカの音色が効いていますね。

 田中光栄さんという演奏家の方に演奏していただきました。レコーディングを見させてもらったんですけど、ハーモニカをいくつも持っていらして、使い分けているそうです。すごく格好良くて、憧れます。ギターなどは弾き語りが出来るけど、ハーモニカは吹きながらは絶対に歌えないので。

――昔、フォークシンガーの方がよく首にかけていましたね。

 ありましたね。私もつけてみたいです(笑)。

 全体には荒ぶる感情よりも、落ち着いた感じを声に乗せたくて歌ったのですが、Dメロから最後のサビにかけては、その感情が動き出す気持ちを歌っています。そこから間奏のハーモニカの音色が、心を落ち着けてくれるんだけど、色んな感情も溢れてくるような流れなんですね。実際にハーモニカの音色が、ダイナミックな気持ちにさせてくれました。胸を揺らすような音で、すごく格好いい。その音色があったから出て来た最後のサビです。

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