歌コンプレックス克服のきっかけに
――さて、先ほど歌への心配があるとお話されていました。
そうです。歌は本当に自信がなくて、どう歌ったら堂々できるのかと思いました。
――劇中では、魔鬼が開くボーカルオーディションで披露する歌と、実際にライブで歌うところの2シーンがあって。ボーカルオーディションの時は歌声に力強さがあって、ライブで歌った「絶望ノ華」では曲調こそメタルですが、低音で力強くも純度の高い歌声という印象を受けました。
ありがとうございます。でも、歌へのコンプレックスからずっと抜け出せなくて、今もなんですけど…。ボイストレーニングの先生にも「どうしてそうなったの?」と言われるぐらい。撮影では、曲を作った方や、音楽プロデューサーさん、音楽スタッフの皆さんに、こういう風に歌ったらいいよとアドバイスを頂き、「大丈夫、歌える歌える」と言ってくださったのでやり切れた感じです。
――なぜ歌にコンプレックスを持つようになったのですか?
歌うことは好きなんですけど、人に聴かせるというか、人前で歌えるかが不安。オーディションで歌う時も、「私歌えるのかな?」ってまず先に思ってしまったり。ボイトレの先生に「原因はそれじゃない?」と言われたのが、私のおばあちゃんが民謡の先生で、姉だけが習っていたんですよ。私は習わせてくれなくて。たしか「紗和は下手だから、お姉ちゃんの方が上手だから」と言われたような気がするんです。それがどんどん私のなかで蓄積されて「私は歌が上手じゃないんだ」と思ってしまって。おそらくそこからきているんじゃないかって。それが今もなお。
――でも今回の挑戦がコンプレックスを抜け出すきっかけになった?
私の中では今回の歌が難しくて挑戦ではあったけど、人前で歌うことはだいぶ克服されたと思います。それとライブシーンは監督もこだわっていて2、3日かけて撮影したので見どころだと思います。
――さて前回のインタビューから1年ぐらいが経ちましたが、1年どう過ごしてきましたか? 気持ちの変化はありましたか
役がちょっとずつ変わってきたような気がしますね。最近では未亡人の役も頂いたり。自分ができる役が増えている感覚です。去年と今年はドラマにたくさん出させて頂いて、いろんな方との出会いもあって充実した期間でした。今後は映画にもどんどん出ていきたいです。
――前回よりも表情に余裕というかナチュラルな感じがありますね。いろんな経験をされているからくる自信でもあるのかなと。
本当ですか!? でも自分の役割がちょっと分かってきているところはあります。それも含めて少し余裕が出てきているのかもしれないです。
――さて音楽の話も聞きたいと思いますが、この期間で影響を受けた音楽はありますか?
日比谷野音でおこなわれたキセルさんの結成20周年記念ライブを観に行きました。野音の雰囲気と合っていて、ふと「続けることは大事なんだ」と思ってグッときました。改めて「私もお芝居を続けたい」と感じて。
――この作品への出演といい、この1、2年は仁村さんにとって大事な期間だったんですね。最後にこの作品の見どころをお願いします。
いろんな要素があって音楽面でも楽しめます。それと原作を知らない方ももちろんですけど、原作を知っている方は、閻魔あいちゃんも可愛いですし、三藁メンバーもリアルでCGもすごい。何より人間ドラマがあってドキドキハラハラすると思いますのでそういう部分も楽しんでもらえたらと思います。
(おわり)



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