女優の仁村紗和(25)が映画『地獄少女』(15日公開)に出演する。わたなべひろし氏の原案をもとにテレビアニメなどにもなった人気アニメシリーズの映画化。『貞子vs伽椰子』、『不能犯』などを手掛けた白石晃士監督がメガホンをとる。午前0時にだけ開くサイト「地獄通信」に怨みを持つ相手の名前を入力すると地獄少女・閻魔あい(玉城ティナ)が地獄送りにしてくれる都市伝説をもとに人間の本性を描く。太い眉に端正なルックスが印象的な仁村はデビュー後の2年間で15社のCMに起用され、その後も話題作への出演が続く若手実力派女優。そんな彼女が演じたのはその印象とは対照的な男勝りの南條遥だ。演じるにあたっては女子高生の市川美保演じる森七菜から引き出されたところもあった。また、本作では歌唱シーンにも挑戦しているが、“民謡一家”に生まれながらも歌にコンプレックスを抱えていたといい、本作が克服するきっかけになったという。どのような思いで挑んだのか。【取材・撮影=木村武雄】
誰もが持っている「野生」
――オーディションだったそうですね。
そうなんです。その時に歌ってくださいと言われて。中森明菜さんの「少女A」を歌いました。
――似合いそうですね。
本当ですか!? この役は「少女A」で勝ち取りました(笑)。その時代の曲は可愛くて好きで、よくカラオケで歌っているんですよ。
――出演が決まった時はどういう心境でしたか?
遥ちゃんは男っぽさがあって私に共通するところがあったので演じることに対しての不安はなかったのですが、歌は正直不安で…。ライブシーンがあるのですが、撮影に入るまでは「本当に歌うのかな?」とか。それと暴力的なシーンも多いので精神的には大変だろうなとも思っていました。私すごいですよ! パンチとかキックとか繰り出しています(笑)。遥ちゃんは自分のなかでの正義を持っていて強い、それでいて奔放な野性味があって一匹狼みたいな。周りの目を気にしていない性格を持っているんです。
――役作りはどうでしたか? 自分の中から引き出した?
自分に共通しているところは少なからずあって、それを膨らませていったら遥ちゃんになるのかなと思いました。ですので、自分のなかのものを引っ張り出した感じです。自分でも驚いたのですが、暴力のシーンでは、セリフにない言葉が自然に出てきたりして…。
――仁村さんにはそういう印象はなかったのですが、野性的な部分も自分の中にあると?
あると思います。でも私に限らず人にはそういうところも持ち合わせていると思うんです。それを全て開放したり、物語にあるような大事に思っている人が地獄送りにされたら、憎しみが出てきて、それがどうなるかは分からない。冷静でいられるかなと。
――この作品を通じて人間の怖さを知った?
それは大いにあります。憎悪や嫉妬など、人間ドラマが描かれています。
――人間の弱さも描かれていますが、怒りや憎しみのエネルギーがプラスに働くこともあれば、マイナスになることもある。紙一重ですね。
本当そうですよね。自分にもそういう心があると思いますし、プラスになるかマイナスになるかは出会いが大きく関係してくると思うんです。遥ちゃんからしたら美保ちゃんとの出会いなのかと思います。だけど、それを強さに変えるかは自分次第と言いますか、自分との戦いだと思います。
――「一匹狼」と話されていたけど、最終的には自分との戦いなんですね。
その要素はあると思います。