ストレイテナー「記念すべき日に来てくれてありがとう」バンド初野外単独
ストレイテナー(撮影=Taku Fujii)
ロックバンドのストレイテナーが19日、バンド初となる日比谷野外音楽堂ワンマンライブ『ONE-MAN LIVE "Fessy"』をおこなった。東名阪ツアー『NANA-IRO ELECTRIC TOUR 2019』中のライブとなったこの日は、アコースティックにエレキセットの2部構成、そしてレア曲の披露にニューミニアルバム『Blank Map』からの新曲と、カラフルでゴージャスな全22曲のセットリストでオーディエンスを魅了した。【取材=平吉賢治】
レア曲含みの第一部アコースティックセット
陽気な曲調のSEにオーディエンスがクラップを重ねるなか、颯爽とストレイテナーの4人が登場。2部構成で披露されるこの日、まず第1部はアコースティックセットで7曲を披露。ホリエアツシ(Vo/Gt/Pf)のアコギ弾き語りバースからナカヤマシンペイ(Dr)の刻む4つ打ちが重なり、大山純(Gt)のギターカッティング、日向秀和(Ba)のスラッピング混じりのベースが加わり、「彩雲」の軽快なアンサンブルからライブを走らせた。清涼感溢れる空気感が野音に広がり、「YOU and I」へと続く。
2曲を演奏し、MCでホリエは「よくよく考えたら野外でワンマンをやるのは初めてだし、今日は本当に記念すべき日に来てくれてありがとうございます」と、爽やかな表情で伝えた。そして「せっかく普段ない機会なのでアコースティックでレアな曲をやりたいと思います」と、オーディエンスの期待感を膨らませる。
「TOWER」のアコースティックサウンド、グルーヴに揺れながら、続く「灯り」でホリエはアコギから鍵盤に変えてのプレイを見せる。6/8拍子のゆったりとしたリズムのなか、サビでは透明感が漂う爽涼なハーモニーをしっとりと聴かせてくれた。
「全然やってない曲を」というホリエの言葉に期待のどよめきが沸くなか披露されたのは「WISH I COULD FORGET」。“OJ(大山)の生み出したギターのフレーズ10選”とホリエにMCで煽られた大山は「緊張する」と言いつつも、メロウで美麗な旋律のギターフレーズを叙情的に奏で、楽曲の世界観をビシッと示した。その後もステージ前面から会場へ向けてバブルが舞う演出のなか2曲が演奏され、第1部ラストは「Farewell Dear Deadman」。アコースティックサウンドのなかで浮遊するようなホリエのボーカルと爽やかなバンドサウンドが雨上がりの会場を清涼感で満たした。
ダイナミズム感溢れる展開のエレキセット
第2部開始の合図、「STNR Rock and Roll」のSEがアンセムのように鳴り渡るとオーディエンスは一斉に両手を掲げ総立ちに。リードギターとボーカルの絶妙な絡みがたまらない「BRANDNEW EVERYTHING」からのエレキセットコーナー導入は2部構成ならではのダイナミズムを魅せた。そしてグッとBPMを上げ、立て続けに「シーグラス」を披露し、野音の熱気を急上昇させた。
イントロの大山のギターカッティングで歓喜の声が上がった「DONKEY BOOGIE DODO」では日向のファンキーなスラッピングも光り、ライブに絶妙なアクセントをつけた。日向は強烈なベースソロを弾き、アウトロでは大山の鮮烈なギターソロが炸裂。そしてナカヤマがパワフルにシャッフルビートを刻む「Tornado Surfer」へと進み、アコースティックコーナーからここまでの多彩なテイストのセットリストに野音の熱気は高まる一方だった。
熱気に包まれながらも、MCでは4人和やかなムードのトークでオーディエンスの笑いも誘いつつ「アコースティックだけじゃなくエレキもけっこうバチバチ攻めて行くんで」というホリエの言葉に会場の期待感はますます上昇。「A LONG WAY TO NOWHERE」でホリエはシャウトを交えるボーカルを披露し、次曲では小気味よい16ビート、4つ打ち、エネルギッシュなハーフビートのサビと、ドラマチックな展開のアンサンブルで野音のテンションは最高潮にまで達する。「勇気ある者に送る『Braver』でした」という、演奏後のホリエの言葉にオーディエンスは大歓声で応えた。
「TRAVELING GARGOYLE」でホリエが会場に向け「日比谷!」と叫ぶと、オーディエンスはまだまだ上がるのかと思うほどの熱気と一体感を見せた。そして瞬くストロボフラッシュと共に繰り広げられる「冬の太陽」のバンド&オーディエンス一体のコーラス、滾るようなアンサンブル、エモーショナルが弾ける大山のワウギターソロと、野音のテンションは更にブーストされた。
最高潮のテンションを保ちながら進んだ「TODAY」では、オーディエンスは掲げた右手を下げようとはしなかった。そしてホリエはギターをSGからテレキャスターへ持ち替え、ニューミニアルバム『Blank Map』からの「吉祥寺」を披露。大山とのギターアンサンブルが映えるなか、吉祥寺という地に対する想いを野音に輝かせた。そして「ツアーでまた会いましょう!」とオーディエンスへ伝え、ラスト「Melodic Storm」へ。力強いタムのビートからの輝かしいバンドアンサンブル、ホリエの熱唱に、オーディエンスは大合唱で応え、清々しい本編フィナーレとなった。
アンコールで再びステージに姿を現したストレイテナーは、「ツアーではまた全然違う世界を見せていくのでまた遊びに来てください」と期待感溢れるメッセージをオーディエンスへ送り、新曲「スパイラル」を含む2曲のアンコール演奏で野音ワンマン公演を締めくくった。
東名阪ツアー『NANA-IRO ELECTRIC TOUR 2019』中のライブとなったこの日のライブは、アコースティックにエレキセットの2部構成、レア曲の披露に『Blank Map』からの新曲とカラフルでゴージャスな、バンド史上初野外ワンマンにふさわしい特別感のあるステージだった。東名阪ツアー『NANA-IRO ELECTRIC TOUR 2019』、『Drawing A Map TOUR』への期待感は高まるばかりだ――。
セットリスト
ONE-MAN LIVE "Fessy"
2019年10月19日@日比谷野外音楽堂
<ACOUSTIC>
01. 彩雲
02. YOU and I
03. TOWER
04. 灯り
05. WISH I COULD FORGET
06. FREE ROAD
07. Farewell Dear Deadman
<ELECTRIC>
08. BRANDNEW EVERYTHING
09. シーグラス
10. DONKEY BOOGIE DODO
11. Tornado Surfer
12. A LONG WAY TO NOWHERE
13. Braver
14. 覚星
15. TRAVELING GARGOYLE
16. 冬の太陽
17. TODAY
18. 吉祥寺
19. 月に読む手紙
20. Melodic Storm
ENCORE
EN1. Sunny Suicide
EN2. スパイラル