ストレイテナーが19日、千葉市美浜区の幕張イベントホールで、ワンマンライブ『STRAIGHTENER 21st ANNIVERSARY ROCK BAND』を開催した。結成20周年、メジャーデビュー15周年を迎えた彼らがその節目を締めくくるライブ。その歴史を刻むようなセットリストで、8000人のオーディエンスを前に全28曲を披露。ホリエアツシは「これからも4人でやっていきたい」と力強く語った。また、この日は秦基博がゲスト出演、2年越しに「灯り」を初披露した。【取材=木村陽仁】

アリーナ席に360°ステージ

 「しっかりと目に焼き付けてください」。ライブ中にそう語ったホリエ。記者の目に焼き付いたのは、レーザーやストロボのなかで熱狂するオーディエンスの姿。情緒溢れる歌詞とグルーヴィーなサウンドに、目一杯まで声を張り上げ、手拍子、手を突き出し、心と体を揺らす、そんな光景だった。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 この日の幕開けを飾ったのは「BERSERKER TUNE」。助走なしのフルスロットルで一気にトップスピードへと引き込んでいったかと思いきや、2曲目からファンキーな「The World Record」と「Alternative Dancer」を投入し、心地よいサウンドで心を満たしていく。

 「ずっと前から今日のことを考えて準備してきました。この日が今日で終わるなんて信じられない。全部出しきって、今日で最後でもいいという、それぐらいの気持ちでやりたい。明日にはまたやりたいと思える、そんなライブにしよう」

 ホリエがそう語ってからの4曲目以降は、歌に散りばめられた言葉とメロディ、そしてサウンドが絶妙に絡み合う至極のバラードを届けていく。それまで拳を突き上げ楽しんでいたオーディエンスも体をゆっくりと左右に揺らし、聴きこむ。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 中盤、ステージを去ったメンバーは、アリーナ席の中央に設けられた全方位、オーディエンスに囲まれた360度ステージに登場する。

 「こっち側から(メインの)ステージを見たいと思っていたので、ちょっとだけど念願が叶った」というホリエはこうも語った。

 「(オーディエンス)全ての近くに来たかった」

 さらに続ける。

 「20周年も終わって、21年目に入りました。去年はツアーんにも足を運んでくれた人も多いと思う。今日は次に行きたいと思って。今までのストレイテナーではないぞ、というのをね…」

 というところで、ドラムスのナカヤマシンペイが「それでここを?」と挟み、笑いを取る。

 普段のリハーサルは通しも含めて2回だが、この日は6回もおこなうなどの気合いの入れようだったことなどや「きょうは調子がいい」など、約10分にわたってトークを展開したのち、ホリエが「そろそろ行きましょうか。凄い音を鳴らしますか、ここで」と身構える。

 その言葉を合図に、ナカヤマがリズミカルにドラミングを打ち鳴らし、「瞬きをしない猫」。

 会場の前後からレザーが放たれ、中央のミラボールに反射して光が散らばる。その光景はダンスフロアのようだ。

 一糸乱れぬ手拍子とともに、歓声が中央のステージに向けられる。「まだまだいけますか!」とホリエ。「KILLER TUNE」や「DISCOGRAPHY」などで煽っていく。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

2年越しの秦基博との「灯り」

 熱気に満ちた場内。一呼吸を置くように、メンバーは再びメインステージへと戻る。そのメンバーのなかに秦基博の姿。大歓声を浴びながら秦は「楽しんでますか! (ステージ)裏まで伝わってきた。楽しそうだった」と挨拶。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 2017年発売のシングル「灯り」でコラボした2組。旧交を温めるかのように、ホリエと秦は当時の思い出を語っていく。

 そのなかでホリエは「結構な時間が経って今では名曲入りしていますよ。1年以上寝かした冬の名曲、初披露しましょう」と笑みをこぼし、エレピの前に立つ。秦はアコギを構え、そして演奏を始める。「灯り」。

 更にホリエは「やっと秦くんと『灯り』をやったので、それだけじゃもったいないでしょ」と秦基博の「鱗(うろこ)」を披露。

 バラードナンバーは、疾走感のあるバンドサウンドに変容。ホリエがリードをとり、サビでは秦へと渡す。優しさが滲み出るホリエに対し、力強さと包容力のある秦の歌声。趣きを変えた世界観でオーディエンスを魅了した。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 2年越しの初披露が叶ったホリエは「(秦くんは)存在感あるよね。やっと一緒にやれました。うれしい」と感無量。

 続けて「秦くんが、この曲が好きだと。凄くセンチメンタルだと言ってくれた曲をやります」と語り「Boy Friend」。さらに「彩雲」と続ける。

 バラードナンバーを立て続けに披露したホリエは、一呼吸を置いて改めて思いを語る。

 「周年で過去の事を散々話してきたので、今日は未来の話をしたい。と言っても未来は分からない。言えることは、自分たちを裏切らない、皆が楽しめる音楽をやっていきたい。それと一個だけ確信しているのは、この4人が出会って音が鳴って、こうやって出会えたからにはストレテナーはこれからも4人でやっていきます!」

 決意表明とばかりに「The Future Is Now」。力強く歌い、奏でていく。そしてこの曲を起点にラストスパート。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 「皆の声を聞かせてください!」と「Melodic Storm」。巻き起こる手拍子にシンガロング。一気に明るくなる場内。飛び跳ね、拳を突き上げる熱狂に満ちたオーディエンスの姿があった。

 ホリエもステージギリギリまで立ち、呼応する。リズミカルなナカヤマのドラミング。ゴリゴリのベースで熱狂させる日向秀和。大山純が奏でるギターはその上を優雅に舞うようだ。

 そのままギターをかき鳴らすホリエは「最後の夢、その目で焼き付けてくれ!」と本編ラストは「シーグラス」。大興奮のなか終了した。

旅の途中、またどこかで

 アンコールではこの日のライブを、日向が「感無量でございました」と笑み。そして、ここからは「泣きそう」をテーマに4人で議論を展開。その流れで泣きそうになる映画タイトルをそれぞれが発表。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 議論が白熱したこともあって、10分経ってもベースを持とうとしない日向に対し、ホリエが「そろそろ楽器持とうか」とツッコミ。「あ!」という日向のお茶目な姿もみせてから「From Noon Till Dawn」などを演奏。再び歓喜に包まれるその声を残し、メンバーはステージを後にした。

 やまない歓声に応えて、ダブルアンコールに応えたメンバー。ホリエは音楽への想いを語る。

 「長い時間ありがとうございます。(開演を)早く始めたものだから、好きにやっちゃって(笑)昔から俺たちを応援してくれている人も、最近知った人も同じように、俺たちは大切だと思っていて。それぞれの人生だからストレイテナーの音楽が必要なくなるときもあると思う。俺も好きだったアーティストの曲を聴かなくなった時もあった。でも、俺たちは立ち留まらず、鳴らし続けているので、(もしそういう人たちがいたら)どこかでまた君たちのなかで音楽を鳴ってくれたら嬉しい」

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

 そして「今日のために新曲を作ってきました」と「スパイラル」。さらに「まだまだ続く旅のどこかでまた会いましょう!」と語り、最後は「ROCKSTEADY」。熱気に包まれるなか、演奏を終えた4人。肩を組み、ホリエは人差し指を口にあて、静粛を促すと、マイクを通さずに「ありがとうございました!」

 笑顔で手を振り、ステージを後にするその4人の姿からは、未来へと新たな一歩を踏み出した、その力強い足音が聞こえるようだった。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)

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セットリスト

STRAIGHTENER 21st ANNIVERSARY ROCK BAND
幕張イベントホール

1.BERSERKER TUNE
2.The World Record
3.Alternative Dancer
4.DAY TO DAY
5.タイムリープ
6.Man-like Creatures
7.Lightning
8.Braver
9.SAD AND BEAUTIFUL WORLD
10.冬の太陽
11.TRAIN
12.VANISH
13.瞬きをしない猫
14.KILLER TUNE
15.DISCOGRAPHY
16.灯り with 秦 基博
17.鱗(うろこ) with 秦 基博
18.Boy Friend
19.彩雲
20.REMINDER
21.The Future Is Now
22.原色
23.Melodic Storm
24.シーグラス

EN1.From Noon Till Dawn
EN2.羊の群れは丘を登る

WE1.スパイラル
WE2.ROCKSTEADY

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撮影=Viola Kam (V'z Twinkle)
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