板野友美「自分のなかにないと嘘っぽくなる」芝居の心構え、経験は説得力に
INTERVIEW

板野友美「自分のなかにないと嘘っぽくなる」芝居の心構え、経験は説得力に


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年09月26日

読了時間:約12分

役に活かされた、妹の存在

――板野さんは映画やドラマなどへの出演が続いています。この作品から得られたものはありましたか?

 私がクランクインしたときは監獄実験のクライマックスを撮っていたので、現場でそのシーンを少し見させていただきました。舞台のような迫力と、監獄という現場も殺伐としていて非日常的な空間でした。私自身はそういう殺伐とした役どころは演じたことがなかったですし、ホラー以外ではそういう暗い作品もなかったので、本当に圧倒されました。そのなかで私は、妹マリへの思いや、旦那への優しさ、愛情が垣間見られたらいいなと思って演じました。私の役どころとしては、こんなに男らしい役というのもこれまでなかったので、演じるのは難しかったですがその分、勉強になりました。難しいなかにも吸収することがたくさんあった作品でした。

――役に対する難しさもあったけど、自分の経験が生かされている部分もあるんですね。

 私の妹(板野成美)もマリと似ていて、私の家に泊まりに来たり、マリみたいに居候しているのも似ていて、「家賃とか出していないだから早く自立してよ」と思う気持ちも分かるし、でも来なかったら来なかったで「大丈夫かな?」と心配になるし、寂しくもなる。私の前では幼くて「24歳であんな子供で大丈夫かな」という気持ちもあるけど、妹って特別な存在だし、喧嘩することがあっても助けてあげたいという気持ちは強いと思う。映画ではケンカのシーンから始まりますが、妹のことを考えているし、大事に思っている。そこを感じてもらえるように演じました。

――妹さんに重ねていたから、より気持ちも持っていきやすかった?

 そうですね。マリに対する気持ちやお姉ちゃんの正義感はすごく共感できました。早く助けてあげたいけど、早く助けに行ったら妹が成長しないとか、そういう自立してほしいと思うところなど、いろんな気持ちが混じりあった複雑な心境という感じが私の中でしっくりときて。

――ユマが、危機的な状況になった妹を助けに行く場面がありますが、ボクシングをやっているけど、あのような環境で助けに行くのは怖いじゃないですか? それでも行くというのはやっぱりお姉ちゃんだったから?

 母親にも近いと思うんです。自分が犠牲になっても助けなきゃって。姉にとって妹はいつまでも守ってあげなくちゃいけない存在だと思いますね。

――素敵なお姉ちゃんですね。私はこの歳になってもよくケンカします。

 私たちもよくケンカはしますよ。それでも仲良くなれるのは、親のためでもあって。姉妹が仲いいことが親孝行だと思います。意見がぶつかるときはあるけれど、私がお姉ちゃんだから一歩下がろうとしています。

――映画のラストシーンで、マリがボクシングのワンツーを繰り出す場面がありましたけど、あれはやっぱり、普段からお姉ちゃんとやっているから自然と出たのでしょうか?

 普段から一緒にはやっていなのですが、あれはすごくかわいいシーンで、マリはお姉ちゃんに憧れて強くなりたいと思ってくれていて、一番最初のシーンにもありましたが、お姉ちゃんはいつもマリにクッションを持たせて練習の相手をしてもらっている。ジャブ、ストレートと打っているから、妹はボクシングをやったことがなくても、お姉ちゃんが「ワン、ツー」と言ったら自然と体が動く、それが垣間見えたとても可愛いシーンでしたね。お姉ちゃんも、マリに対して「強くなったな」って思えた瞬間だと思います。

板野友美

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