山中さわお、岡山天音、オクイシュージ監督

 the pillowsの山中さわおが14日、都内でおこなわれた、映画『王様になれ』公開記念舞台挨拶に出席。舞台挨拶には主演の俳優・岡山天音とオクイシュージ監督も登壇し、撮影秘話などを語った。今作に出演したGLAYのTERUが歌撮りで全テイクを全力歌唱していたと言い、オクイ監督は「感動しましたね」と振り返った。

 『王様になれ』はthe pillowsの結成30周年を記念した、アニバーサリーイヤープロジェクト「Thank you,my highlight」の一環。山中の原案をもとに制作された。カメラマン志望の岡山演じる祐介が初めて足を運んだthe pillowsのライブで想いを寄せる後東ようこ演じるユカリと偶然出会い、祐介自身がthe pillowsの魅力にはまっていく様子を描いた青春物語。山中が本人役で出演しているほか、GLAYのTERU、JIRO、ストレイテナーのホリエアツシなど豪華ミュージシャンも出演した本格的なライブシーンも見どころ。

 今作に本人役で出演した山中は「実際にいつも喋っているようなことなので、そんなに演技するという感じではなかった」と撮影を振り返る。

 初の長編映画主演となった岡山は「こうやって公開されて改めてか格好良いバンドだなと思っています。僕にとっても初主演という人生で一度しかない記念すべき映画がこのthe pillowsさんの30周年記念作品で良かったと思います。この映画がまた誰かの記念になるような作品になれば嬉しい」と感慨深げ。

山中さわお

 オクイ監督は「なにかのインタビューで山中くんが『音楽でキャッチボールをする上で興味のない人は、いくらこちらからボールを投げても受け取ってくれない。でも地に足が着いてないとむやみに投げて、勝手に傷ついてしまう』という言葉が残っていて。この映画で何かが響いた方には、きっとその方に向けて僕は映画を作ったんだと思っています。だから何か感じた方は受け取ったボールを身近にいる人に投げてもらって少しずつ広がったら良いなと思います」と作品に込めた想いを語った。

 豪華ミュージシャンとの共演について、山中は「まず本人の気持ちが大事だと思って、会ったり、メールしたりしたのですが、TERUくんには結構長々としたメールを送って。返事が『やったー! 銀幕デビュー!』みたいな軽い感じで引き受けてくれて。GLAYのオファーこんなに簡単に決まるんだと驚きました(笑)」とその経緯を明かす。

 さらに実際の撮影を振り返り「TERUくんには最初口パクでもいいと言っていたんですが、集まっている観客を見て『これは歌わないといけない』と言って、全テイク歌っていましたね」とエピソードを明かし、オクイ監督も「歌撮りはカットとか変えたりするので何回も撮るんですよ。だから普通は後で当てたりするんですが、TERUさんは全部本気で歌ってくれて、感動しましたね。だけど、アレンジもどんどん変わっていって。全部格好良くてどれ使えばいいんだよと(笑)」嬉しい悲鳴をあげたという。

岡山天音

 岡山はミュージシャンとの共演を振り返り「みんな華があって羨ましかったです」と羨望の眼差しを向けていた様子。

 また、主演に岡山を起用した理由について山中は「僕の若い時ってこういう感じだったんですよ、髪もおかっぱで」と自身の姿と重ねていたことを明かし、岡山は「光栄です」と照れ笑いを見せた。

 実際のライブ会場でライブ後の観客を前に撮影したという今作。岡山は「ライブの後だから皆さんアドレナリンがすごいんですよ。僕はカメラマン役だったのでステージとお客さんに挟まれながら演技したのですが、高揚感がありました」と話す。

 the pillowsの魅力について岡山は「歌詞にビビっときましたね。歌詞カードを読んでいてもビビりました」とコメント。

 最後に山中は「自分の強みは鈍感力なのかなと思っていて。映画も怖いもの知らずでできるはずだと思って作ったんです。ロックバンドってそういうところは大事だと思うんです。高校生の頃、俺は才能があると思って音楽を始めて。でも今聴くとそれはひどい曲でひどい歌唱力で全然才能なんて感じれないんです。でも鈍感力で続けて来て。今回もこんなにちゃんとした映画になるとは思ってなかった(笑)。本当に監督、出演者、スタッフさんのおかげで感謝しかないです。鈍感力を持って横浜アリーナのステージに立ちたいなと思っています」と10月17日におこなう「Thank you,my highlight」の企画ライブ「Thank you,my highlight05“LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA”」への意気込みも語った。【取材・撮影=松尾模糊】

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