東儀秀樹「ブレてなかった」変わらぬ信念とさらなる挑戦が詰まった新譜
INTERVIEW

東儀秀樹「ブレてなかった」変わらぬ信念とさらなる挑戦が詰まった新譜


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年08月10日

読了時間:約14分

音楽には「情熱」と「閃き」がどれほど大切なのかが証明できる作品

『ヒチリキ・ラプソディ』ジャケ写

――オープニングを飾る「令和の始まり」はいつ頃着想を始めたのでしょうか。

 これは、令和になる4、5日前くらいに、急に思い立って書きました。令和になるというワクワクした空気間に世間がなっていたじゃないですか。 何か新しくなるという躍動感に包まれている時に、この高揚感は僕がデビューした時、不安なんか何もなく、ただ新しい世界に足を踏み入れたワクワクしていた自分と重なるなと思ったんです。そしてひらめいた曲です。令和の荘厳な感じと人と人が優しくコミュニケーションできるような日本でありたいというイメージで作りました。もうその日のうちに出来てしまって。

――すごく早かったんですね。レコーディングはいかがでしたか。

 自宅のスタジオでやっているので、誰に止められるわけでもなく、時間を気にせず永遠と出来るんですけど、全部自分で自己責任で出来るというのは音楽を作るのにはすごく良い環境で、「今日は気が乗らないからやめよう」と止めることも出来ますから。これが、外のスタジオだとそうはいかないですから(笑)。逆にもう少しやりたいなと思っても、「今の良かったから大丈夫です」と言われて、「本当か?」とか思いながら先に進まなければならないこともありますからね。

――ご自身だけ気になっている場合もありますよね。

 そうそう。他の人が聴いていたらその違いなんてわからないことだと思う。確かに一人でやっていると、変なところにこだわってしまって先に進まない事もあるから、そうやって言ってくれる人がいるのも効率や労働的には良いんだけどね。例えば1小節のギターに5時間ぐらい掛けてしまったり。他の音と混ざっちゃったらわからないのにね。でも、「混ざれば良いか」で済まさないところが僕の自分に対する責任感で、誰もわからないけど「僕はここを納得しているんだ」というのが満足感、達成感に繋がっています。

――“神は細部に宿る”とも言いますから。ちなみにレコーディング機材はどんどんグレードアップしてるんですか。

 もう、10年ぐらい前から変わってないです。情熱だけで音楽はどうにかなるんだというのも、証明出来る作品になっていると思います。レコーディングでクリアーな良い音、雑音のない音というのが良い音楽かといったら、僕はそこではないと思うんです。聴いていて良いプレイかどうかが最優先で、例えば「このギターが良いよね」というのは音質で讃えているわけではなく、本人の心をみんなが読み取っているからだと思います。

 だから、僕は自宅でレコーディングが出来るんです。しかも、ちゃんとしたスタジオでもなくて、コンクリートで辛うじて音が漏れないレベル、妻が掃除を始めれば掃除機の音が聞こえてくるので、「ちょっと待つか…」みたいな感じなんですよ。たぶん、プロのエンジニアが見たら、なんて幼稚な機材と方法だと言うと思うんです。

――でも、この作品を聴いて、すごく有名なスタジオで録りましたと言われたら信じてしまいます。

 結局ある程度のことが整っていて、情熱があれば良いものが出来ると思っています。

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