7日間の制作合宿
——制作に当たって、アレンジの見直しなどは?
朝日 キーボードが入ってない曲も多々あったので、全部入れました。現場でフレーズを入れていく作業はとても楽しかったですね。むーさん(中村郁香)に無茶をいろいろと言いながら。
中村郁香 「即席で弾いて」って言われて、なかなかフレーズが出せなかったですね。レコーディングでは正座しながらキーボードを弾いた記憶があります(笑)。ソロでめちゃくちゃ弾くところは「こんなもんじゃないだろう!」と朝日さんともっさに結構言われました。
朝日 「まだまだいけるよ」ってね。
もっさ 私は応援していただけです。
藤田 寝る間も削って音を作る横で酒飲んでてごめんな。
中村郁香 いいよ。夜ひとりで音を作っているのが一番楽しかったから。
藤田 リズム隊は先に録ることが多いので、レコーディングが早く終わるんですよ。だから晩ごはんをメンバーに作ったりして。
——晩ごはん?
もっさ 合宿で制作したので、7日間ぐらい共同生活しながら作ったんです。
——なるほど。場所はどちらですか?
中村郁香 山中湖です。4月なのに雪がすごく積もりました。
朝日 カマドウマが多すぎでしたが(笑)、音楽しかすることがないのでがっつりできましたよ。
藤田 このアルバムに関しては、合宿だけで全部完パケできました。
——やはり都会よりも落ち着きます?
もっさ 心が落ち着きましたね。たまに富士山見ながらランニングしたり、レコーディングのための場所って感じがしました。
朝日 草花が心を癒してくれたよね。
藤田 うん。奇跡的に雰囲気がギスギスしなかったし。
カズマ・タケイ 人数が多いから、うまく気持ちを分散できたかもしれません。ふたりユニットでずっと一緒にいたら辛かったと思います。
中村郁香 5人いるので、いろいろな組み合わせでの過ごし方がありましたね。
——新曲「音楽が嫌いな女の子」 についてお聞きします。まず歌詞にある<以下戯言>の部分は詳細がありませんが、何を言ってるんでしょう?
藤田 私と朝日の2人で言っています。私の部分は新しく書き下ろされていて、ひどいことを言わされました。
朝日 結構ひどいこと言ってますね。内容は明かさずにいきたいと思います(笑)。
——そもそも、なぜこの曲を選んだのですか。
朝日 ネクライトーキーでこの歌詞を歌うのが一番ムカつくだろうなあと。音楽に対してギャーギャー細かいこと言ってくる人全員に「ふーん…今何て?」 で返せるカウンターにしたかったんです。曲も「こっちも黙ってねえぞ」みたいな内容で、ネクライトーキーらしさが一番出せるなと。
もっさ この曲もCDを買って聴いていました。歌詞を見たら、音楽をやっている人が一度は思うであろうことが書いてあって。曲調はポップなんですけど、泣ける曲やなと思いました。音楽をやってる人にこそ響いてくれる曲ですが、かなりウザい感じで歌っています(笑)。
朝日 作ったのは3年前ぐらいで割と新しい曲なんですよ。当時はネクライトーキーもなかったので、今とは全く全然違う気持ちで作ったと思います。20代前半の時はトゲトゲふさふさしていたので、今演奏してみると曲も歌詞も「若いな」って感じます。今も怒りのようなものはありますけど、昔の方が恨み節が強かった気がします。
——今もいろいろ文句を言われることはあります?
中村郁香 客観的に見て言われているなと思うことはあります。
藤田 ぜんぜん知らなかった。
朝日 でも、こういうバンドがいきなり出てきたら、俺も「あんなもんはねえ」みたいに言っちゃうよ(笑)。でも僕も検索しなくなっちゃいましたね。
もっさ 見ると気にしちゃうから見ません。
藤田 ライブ終わったあとは「ネクライトーキー」でエゴサしてますね。でも基本的になにか言われてても気にならない。でも、本当に腹立つコメントを見た瞬間は、忘れらんねえよの 「踊れ引きこもり」で<うるっせえ!>っていうフレーズが出てきてくれます(笑)。
——たしかに音楽が代弁してくれて救われる瞬間ってありますよね。
朝日 SNSの距離感は不思議だなと思います。フォロワー数が多いアカウントには、1対1だと気をつけるようなことを平気で言う人がいて。
藤田 みんなで石投げるみたいな。
朝日 「赤信号みんなで渡れば怖くない」という空間。
中村郁香 相手が見えない分、近いと言うか、対人じゃないから何でも書ける。すぐに粗を探して、ぽいって書くからさらに炎上していきますよね。