中川翔子「夢は絶対に叶うもの」ポケモンが繋ぐ縁と記憶
INTERVIEW

中川翔子「夢は絶対に叶うもの」ポケモンが繋ぐ縁と記憶


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年07月10日

読了時間:約13分

伝説のポケモン・ルギアを想像させた小林幸子のレコーディング

中川翔子

――ポケモンから広がる輪が凄いですね。さて、「風といっしょに」を小林幸子さんとデュエット出来ると聞いた時はどんな気持ちでしたか。

 それがその喜びを表現する日本語が見つからないんです。未だに信じられないですし、いつ実感出来るのかわからないくらいなんです。『ミュウツーの逆襲』は私にとって特別な作品で、それが生まれ変わるということだけでも驚きがあって、それを幸子さまと「風といっしょに」を歌うことが出来るなんて夢のようです。この曲は心が折れる度に聴いて元気をもらっていたので、映画『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のエンドロールでこの曲が流れるまで、実感は湧かないかも知れないです。

――長年聴いてきた「風といっしょに」は、年月を追うごとに捉え方が変わったりしましたか。

 変わりました。生まれるところから始まって、命と出会って、そこからどんどん育って、自分たちの道を見つけていく、哲学的で寄り添ってくれる曲なんですけど、なぜ生まれてきたのかということを考えさせてくれる曲になりました。誰かの命を否定出来ることなんて誰にもない、でもなかなか気づけなくて傷つけ合ってしまうし、それで知ることもあるんですけど。この『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』は大人の人にこそ見てほしい作品かも知れません。

――特に気に入っている歌詞の部分はありますか。

 もちろん全て気に入っているんですけど、<いくつものであい いくつものわかれ>のところです。ゲームの中でも本当に色んな出会いや別れがあって、現実でも私を映画に連れていってくれたおじいちゃんはもういなくて、中学の頃になかなか友達が出来なくて悩んでいたことがあったんですけど、今は『ポケんち』の仲間たちと『ミュウツーの逆襲』の鑑賞会をしたり、プライベートでこんなに仲間ができるなんて信じられない、何が起きるかわからない人生を表している歌詞だなと思っていて、特にお気に入りなんです。

 あと、<歩きつづけて どこまでゆこうか 風といっしょに またあるき出そう>と一回立ち止まっても、夢のためにまた歩き出すんですよね。夢は大きくても小さくてもいくつになっても持ち続けていいし、どんな瞬間もこの曲に戻ってくる感じがします。

――さて、完全生産限定盤のCDに同梱されるDVDでは、小林幸子さんとのレコーディングでお会いした時に泣かれてましたね。

 泣いたら歌えないとわかっていたんですけど、登場された瞬間、作曲家のたなかひろかずさんやプロデュースして下さった亀田(誠治)さんとお話ししているところを見たらもうダメでした。もう、“ポケモンアベンジャーズ”みたいな感じでした。そして、幸子さまがレコーディングするんですけど、21年前よりさらに進化した母性のある歌声で、しかもほぼワンテイクで決めてしまうんです。私は何回も録って、その中から良いテイクを選んでいくんですけど、レジェンド・幸子さまは違いました。完璧に歌い上げて、颯爽と帰っていく姿は伝説のポケモン・ルギアを想像させました。

――格好良いですね!

 そうなんです。そして、その立ち去った後のブースには幸子さまの香りが立ち込めていて、それに包まれながら歌いました。私はこの曲をたくさん聴いてきて、幸子さまのコブシや味わいは身体に染み込んでいるんですけど、あまりに素晴らしすぎてマネすることなんて到底出来ない…。なので、ずっと悩んでいました。プロデュースして下さった亀田さんのスタジオでプリプロをする事になりまして、その時に亀田さんから、ビブラートとか気にしないで自然体で歌った方が良いとアドバイスをして頂いたんですけど、それでもまだ考え過ぎてしまう自分もいました。

――21年間の思い入れがありますからね。亀田さんとのエピソードで印象的なことはありましたか。

 はい。ポケモンが発売された頃の亀田さんはお忙しかったと思うので、もしかしたらポケモンの事はあまり詳しくはないかもと思っていたのですが、実は昔息子さんを連れて映画を観に行っていたみたいなんです。それで、今回、改めて当時同時上映されていた『ピカチュウのなつやすみ』のDVDを観て、色々思い出されたみたいなんです。父親目線でのポケモンって斬新だなと感じました(笑)。母性を与え続けてきた幸子さまや今回、コーラスで参加してくれたポケモンキッズ2019の子どもたちと、色んな目線から出来上がったのが、今回の作品なのかなと思いました。

――本当にそうですよね。様々なみんなの思い出の集合体だと今のお話を聞いて感じました。

 そうなんです。あと、この歌を歌っていると不思議と母性が溢れてきます。先程もお話しましたが、映画館に観に行くという体験はすごく心に残るし、今回の「風といっしょに」を聴いて思い出に残る子どもたちもいるのかなと思うと、こんな幸せな妄想はないです。色んな気持ちを乗せて、子ども達に夢を託す気持ちで歌えるというのは、言葉にならないです。

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