ちゃんみな「日本語は変幻自在」旋律と言葉で綴るハタチの大事な感情
INTERVIEW

ちゃんみな「日本語は変幻自在」旋律と言葉で綴るハタチの大事な感情


記者:小池直也

撮影:

掲載:19年06月28日

読了時間:約10分

やっぱモテない

ちゃんみな

――1曲目の「Call」は<付き合っちゃいなよ/浮気されろ>という歌詞のフックが印象に残っています。1コーラス目と2コーラス目で、フックのリリックが違うのも気になりました。

 この曲も、この感情になったときに「あのメロディだな」と。思い浮かんだストック曲に歌詞を付けて、でき上がりました。繰り返しがないのは流れ上のもので、言いたいことが収まりきらなかったんです。それが自分のスタイルで、流行りは昔から気にしていません。

 私は「浮気されろ」なんて本人には言えません(笑)。言えないから曲にしたんです。私の曲は、そういうものがほとんど。恋愛に関して実際に言うこともありますけど、私はズバッと言えるタイプでもないので、曲にぶつけることが多いです。この歌詞は出来事が起きてすぐに書いたので、1時間ぐらいで書いちゃいました。

――反対に歌詞を書くのに時間がかかった曲はありますか?

 「Never Grow Up」とボーナストラックの「SAD SONG」です。この感情がより伝わりやすい言葉があるかな、とずっと考えながら修正していたので時間がかかりましたね。特に「Never Grow Up」は大事な感情なんですよ。複雑な感情だからこそ、言葉探しにとても苦労しました。メロディも「Never Grow Up」候補の曲から「これだ!」と思って選んでいます。

 「SAD SONG」は、いつもライブで一緒に演奏して頂いているバックバンドメンバーの人たちと一緒に作った曲です。私はダンサーやバンドメンバーを大事に思っていて、そういう人たちに向けた曲も書きたかったんですよね。歌詞で言いたいことは明確だったんですけど、今まで作ったことのない曲調でメロディ作りが難しかったです。

――Marlon “Chordz” Barrow氏がビートを担当した「Can U Love Me」は日本人が好きそうなビートとフックが最高でした。

 私もChordzさんのビートを聴いて「こっち系で来るんだ!」と思いました。

――<正直ひとりで生きていける/だから可愛げがなさすぎる/この国はそんな子はモテない呪いがあるんだ>という一節もありましたが、日本はやはり生きづらい?

 やっぱモテないんですよね、シンプルに。周りの大人のみなさんから「日本人男性はインディペンデントな女性が好きじゃないよ」と聞いていましたし、実感もしています。「できなーい」とか「とどかなーい」、「あけてー」とか、結局そういう人が好きなんじゃないですか。

――あんなにいい歌で「Can U Love Me?」と言われたら、思わず「Yes!」と言ってしまいそうですけど。

 それが狙いです(笑)。あと「呪い」という単語は「Doctor」で<この時代は情報が溢れる呪いにかかっています>というワードを入れていたので、それにかけました。そういう系の風習は全部呪いにしようということで。

――「君が勝った」の<負けた女のこれは賛美歌>は非常に美しいと思いましたが、どういうときにこんな言葉が浮かぶんですか。

 わからないです、ただ思いついちゃう。書きながら「こういうことが言いたい」ってスラスラ出てくるんですよ。「GIRLS」も実話で、2バース目なんかは仲のいい女友だちの実名を出してます。フックの<ほら私を見てよ>というリリックは「ほら、私今すごい楽しそうにしてるじゃん?」ということを歌いました。「一緒にいる友達の平均が自分」とも言うじゃないですか。「類は友を呼ぶ」みたいな。そういう感じで「私がこんなに楽しそうなんだから、みんなも楽しい人たちだよね」みたいな意味ですね。

――「アーカイブに保存した曲」は、また変わったタイトルですね。

 これは地元についての曲です。今は離れたんですけど、だからこそ見える地元の素晴らしさみたいなものに気づいたので、それを曲にしました。恋しいところに戻るのは悪いことじゃないじゃないけど、戻る理由がない。この気持ちを大事にしたいので、消去はしないけどアーカイブに保存しておこうと。もちろん生まれ故郷の韓国や今生きている日本も私の大事な一部です。

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