HANDSIGN「ニュースや事件でなく作品で知って」手話で音楽を届けるこだわり
INTERVIEW

HANDSIGN「ニュースや事件でなく作品で知って」手話で音楽を届けるこだわり


記者:小池直也

撮影:

掲載:19年06月26日

読了時間:約10分

手話ダンスを常に新しいものにしたい

TATSU


——耳が聞こえず、職場でこういう経験をされる方は多いのでしょうか。

TATSU 僕もインタビューして、初めてそういうことがあると知りました。そんなこと言われちゃうんだ、と。世の中の人に案外知られてないこともありますよね。ニュースや事件などではなく、MVという形で知る機会になればいいなと思います。彼女の経験の中で、手話の知識がなくても普通に接してくれる人もいれば、嫌味を言う人もいたと。

SHINGO 彼女になぜ店員さんになったのかと尋ねたら「自分がお客さんで注文したときに、トッピングで注文したものが来なかった。『違うんです』と言いたいんだけど、後ろには行列ができちゃったから我慢してやり過ごした。自分が店員さんになって、そういう悔しい思いをする人がいない社会にしたいから」だと。その話に胸を打たれて、もっとたくさんの人に知ってもらいたいと感じました。

 僕もニューヨークにはじめて行ったとき、並んで注文したらぜんぜん違う商品が出てきたことがあります。黙って待ってると後ろの人にどんどん割り込まれるし。こういう孤立感を彼女も感じていたんじゃないかなと思って。

TATSU ホワイトモカ頼んだら、クッキーが出てきてたよね(笑)。モジモジしてると店員さんも相手にしてくれないから。

——店長役のアキラ100%さんとは、どういう繋がりだったのですか?

TATSU MVの1作目がみやぞんさん、2作目がスギちゃんさんだったので、そこはマストで芸人さんかなと。芸人さんでお芝居もやられている方を探していたら、最近アキラさんが俳優業もやられてて。 めちゃくちゃ素敵な方です。お盆も貸してくれました(笑)。ロケ現場のお盆は重かったみたいで、普段使っているものはもっと軽いそうです。

——MVにはおふたりのパフォーマンスシーンも出てきますが、その撮影はいかがでしたか。

SHINGO 振付けが今まで踊ったことのない感じのダンスだったんですよ。撮影までの日数もあまりなくて、緊張とプレッシャーで押しつぶされそうになりながら頑張りました。

TATSU 今回の振付けは現役若手ダンサーで20歳のHanaさんにお願いしたんです。事前に手話だけお伝えして、まるごとダンスで考えていただきました。全編ダンスという初めてのケースだったので、出来上がったときは「マジか、本当にこれを踊るのか」と。細かいですけど、歌詞で言うと<新しい君を作るから><明日はきっとSmile>の部分が新しいんですよ。練習は結構しましたね。Hanaさんと声手を作れて、本当に良かったです。

SHINGO

ダンスも「昔だったらこういうのが流行ってたけど、今はこれ」みたいに変化していきます。最前線にいる若いダンサーとこれからも一緒にやりたいですね。手話ダンスを常に新しいものにしたいので。

——なるほど。それから歌詞はお二人によるものですね。

TATSU 楽曲が出来上がってから僕らの想いとインタビューした女の子の出来事を入れて、1つの作品にしています。「とりあえずお互いに作ってみよう」ということでお互いに書いていきました。

SHINGO TATSUでひとつ、SHINGOでひとつ歌詞を仕上げて、 泰輔さんとも相談する形で、ぎゅっと3人の言葉を合わせた感じですね。泰輔さんは、僕らの歌詞とメロディに合わせた言葉のチョイスが上手い。僕は家で短期集中して書きます。最近は歌詞を書いてなかったので、取り戻すまでが大変でした。常に書き続けることが大事だなと思います。なかなかライブだったり、イベントだったり、練習に追われて歌詞を書く時間がなかなかなかったので。もっと書かないと。

TATSU 歌詞は3回ぐらい作り直しました。歌詞作りは毎回「やっぱり、こうかな」みたいな感じになりますね。求めたら切りがないです。期限が来年だったら、ずっと長くやってる様な作業ですから。

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