INTERVIEW

HANDSIGN×足立梨花

表情も手話の一つ。
「僕が君の耳になる」で再発見。


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年02月24日

読了時間:約5分

 足立梨花が主演した、HANDSIGNの楽曲「僕が君の耳になる」ミュージックビデオ(MV)の再生数が1000万回を超えた。2017年3月に発表された楽曲だが、現在も再生され続けている。長く親しまれていることにHANDSIGNのTATSUとSHINGO、そして足立梨花は声を揃えて「嬉しい」と喜ぶ。

手話は「かっこいい」

 同曲は、聞こえない女性と聞こえる男性の恋愛の実話をもとにしたラブソング。MVで主演する足立は耳が聞こえない女性を演じ、相手役は栗山航が務めた。声が聞こえないことで様々なすれ違いを重ねてきた2人が壁を乗り越えて結ばれる物語。YouTube公開1ヶ月後に100万再生を突破するなど、公開当時から反響を集めていた。

 SHINGO「長いこと愛して下さって、皆さんの力で楽曲も成長して大きな作品になっていると実感しています。しみじみ感謝の気持ちでいっぱいです。自画自賛ではないですが、すごいパワーのある楽曲になったなと思います」

 2005年に結成されたHANDSIGNは、今では歌とダンス、手話を融合したエンターテイナーとして認知されているが、もともとはダンスパフォーマー。2009年に、米ニューヨークのアポロシアターコンテスト『アマチュアナイト』で初優勝を飾るなどその実力は折り紙付きだ。そんな彼らが手話を取り入れるようになったのは、その所作が「かっこいい
と思ったから。

 TATSU「ダンスと手話は重なるところがあります。例えばロックダンスの手ぶりのところがリンクするところもありますし、フラダンスもそうです。ダンサー目線でもかっこいいと思っています」

 ダンスに手話を取り入れるだけでなく、実話をもとにしたMVの制作にも力を入れた。「僕が君の耳になる」はそのなかの1曲だ。

改めて気づいた表情の重要性、足立梨花

 本作で主演を務めた足立は、2011年に踏んだ初舞台『オーバースマイル』で初めて手話に挑戦した。会話は一切なく手話で進行する物語で、手話は独学だった。

 足立梨花「手話が分からない人にもわかりやすく伝えるために字幕が出ていました。でも、観客の皆さんが字幕ばかりに視線がいってしまってもよくなくて、芝居で伝えないといけないと思いました。表情などで気持ちを伝えられるように意識していました」

 足立はその後、手話を使ったミニドラマにも出演した。ただ不安があった。「芝居で手話が出来ているように見えますが、私生活ではできるわけではないので本当に私でいいのかなと思っていました」

 その6年後に、今回のMVへの主演が舞い込んできた。MVに映る足立は、手話だけでなく表情をもって相手に伝えようとする。その表情が愛くるしく、観る者の心をキュンとさせる。HANDSIGNのTATSUも「演技がとてもかわいい。表情が愛くるしい」と絶賛し、SHINGOも「足立さんが演じてくれたから1000万回も再生されたんだと思います」と感謝する。

 その足立は照れながら謙遜するが、この撮影で気づいたことがあったという。

 「あの舞台以降、ドラマなど映像のお芝居をする機会が多くなり、その意識がどこかで忘れかけていました。この撮影では、手話をちゃんとしなきゃというのが頭にあって、手の動きばかり意識していましたが、指導して下さった手話の先生に、表情が大事だと言われてハッとして。同じ嬉しいという表現でも、言葉のトーンでそのニュアンスが変わるように、手話でも顔の表情で意味合いが変わることに改めて気づいて。喜怒哀楽を伝えるために表情は大切なんだということを改めて学びました」

 HANDSIGNの2人だけでなく、視聴者からもヒロインの足立の表情が「可愛い」という声が多く書き込まれているのは、まさに足立がそれを意識し、見事に表現できた表れと言える。そして「表情」への意識は、知らず知らずのうちに2011年の初舞台『オーバースマイル』から始まっていたことになる。「表情」は役者にとっては重要な要素。足立の今後の役者としての活躍が期待される。

手だけが手話ではない

足立梨花を囲むHANDSIGNのTATSUとSHINGO

 そして、HANDSIGNもまた、その「表情」に大きな影響を受けている。「必ずしも手だけで伝えることが手話ではないということだ。

 当時は歌詞の全てを手話で表現することを意識していた。最近は、手話を使う人たちやサポートダンサーと振付を共作する機会も増えて、その考え方が変わってきたという。

 TATSU「当時は手話を入れることばかり考えていましたが、違う表現の仕方があるんだということを学びました。手話と演技は一緒でその間の表現をCL(シーエル)と言いますが、表情や動きも手話になれる。『悲しい』という表現は顔の表情で表現できますし、『行く』ということも手ではなく歩く仕草で伝わります。手でやることだけが手話ではない。そいうところも手話として取り入れたらエンターテインメントとして窮屈にならないですし、ダンスと手話がもっと融合していくと思います」

 彼らによる手話を取り入れたダンスパフォーマンスは多くの人が参加することで進化し続けている。

 同時に、HANDSIGNは楽曲も進化している。これまで明るい曲調のナンバーが多かったが、現在、マイナーな曲調の楽曲を制作中だ。

 TATSU「これまでは明るいイメージでしたが、こういう楽曲も届けて幅広く見せていきたいです。今後、僕が君の耳になるのアンサーソングなどにも挑戦していきたいです」

 新たに生まれていく楽曲たち。一視聴者としては、足立梨花との再びのコラボに期待がつのる。【取材・撮影=木村武雄】

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