the peggies・北澤ゆうほ「スタンドバイミー」に込めた“人との繋がり”への想い
INTERVIEW

the peggies・北澤ゆうほ「スタンドバイミー」に込めた“人との繋がり”への想い


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年06月21日

読了時間:約13分

こだわり抜いたファズサウンドが浮き彫りにした想い

――映画やアニメにCMなど、the peggiesはタイアップになった作品も多くあります。この現状をどう感じますか?

 タイアップはアルバムの曲も含めて全部で7曲もあって、それって凄いなと思っています。色んな人達に聴いてもらえるということも嬉しいです。タイアップってシンプルに楽曲が必要とされているんだなと思いました。the peggiesというバンドがやっているからとか、色んな情報を抜きにして、「単純に良い曲だから」とか「使いたいから」という風に、楽曲のみが必要とされて評価されて、その結果タイアップに繋がっているんだなと思って。

 私達のモットーでもあるんですけど、「良い曲を作る」「良い曲を届ける」という、やりたいことも大事なんですけど、そういうのに縛られ過ぎずに良いものというのをあくまで客観的に見て制作できるチームでありたいよねという強い気持ちがあります。シンプルに「良い曲だね」という感情を抱いてくれた人がいて、それがタイアップに繋がっているのは凄く嬉しいです。私達はまだまだネームバリューもないから、まだ「the peggiesの曲を使えばいい!」というわけではないし、それを考えると楽曲をちゃんと欲してくれたんだなと思って。そこが凄くクリーンなやりとりだなと思って嬉しいです。

――ちなみに作詞・作曲はどのように進行するのでしょうか?

 最初はアコギの弾き語りで作るんですけど、タイアップがあるときはテーマをあらかじめ設定して、絶対入れたい単語を頭に置きながら作っていったりします。最初におおまかな道筋は決めたうえで。最近は曲から作るときの方が多いかな…歌詞をはめることとほぼ同時なんですけど。

――今作のレコーディングで苦労した点はありましたか?

 リズム体の方は「シンプルなプレイで良い音を出す」という感じだったので、そこまで苦戦した感じではなかったんですけど、Aメロとか落ちサビとかアウトロでノイジーなギターの音を出しているんですけど、その音を作るのはけっこう時間がかかりました。何時間もかかってやっと深夜1時くらいに録れたんですけど、次の日に編曲家の人と「やっぱ違うかも」ってなって別の日にまた録り直して。

――バッキングで8ビートで刻んでいる部分ですよね? あのギターの音は凄く印象的と感じたんです。どういったサウンドメイクだったのでしょうか?

 最終的に「BIGMUFF(ファズ・エフェクター)じゃない?」という感じで、私のエフェクターで録ったんですけど、「なんかちょっと足りないかもしれない…」って。もっと汚いザラザラした音が良いとなって、最後にアレンジャーの方のエフェクターを借りたんです。何を借りたか覚えていないんですけど、ファズ系のものを持ってきてくれて、それを使いました。

――不思議ですね。サビも歌詞もリズムも、目立った聴き所は他にたくさんあるのに、そのちょっとしたサウンドのこだわりから何かが伝わってきます。

 綺麗過ぎないというか。凄く人間らしいドロドロした感情みたいなものが、ああいうノイジーなファズの音が乗っかることによって更に歌詞が活きたかなって思いますね。一日かけて音を試してやっと行き着いたのに「やっぱ違うね」ってなっちゃったので…けっこう頑張りました。

――歌詞の一人称が「僕」なのは何故でしょうか?

 「僕」と意識しないと私の曲が書けなくて。基本的に、ナチュラルに曲を書こうと思うと「僕」になっちゃうんです。頭が男子寄りなのかもしれないです。「誰かを想う」と考えたときに、あまりキュートになれなかったり、凄く現実的だったり。俯瞰しちゃったりするんです。そう考えると一人称は「私」ではないかなと。あまり自分が女の子だという意識で曲を書くことがないので。

 女の子っぽい曲を書きたいなと想ったら「私」にしますけど、自然に書くと「僕」になるんです。自分がもし漫画の主人公だったら、少女漫画ではなく少年漫画かなって感じがするというか。リアルな体験を書く曲だったら自分は「私」と書くんでしょうけど、そういうリアルな体験談をそのまま歌詞に落とし込んだわけではなくて、テーマを漠然と決めて、それに対してどう思うかという風な歌詞は「僕」になります。改めて考えるとそうなんじゃないかなって思います。

――頭が男性寄りかなと感じる北澤さんが女子的にキュンとなるのはどんなときですか?

 野球が好きなんですけど、選手のキャンプのときの写真を見るとキュンとします。あんなに普段は闘争心燃やした表情を見せるのに、キャンプ中はこんなに仲が良さそうに選手同士でじゃれ合うんだって。「カワイイ!」と思ってキュンとしますね。カワイイ人が好きなので(笑)。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事