Mii「自分の存在自体がMiiであることを届けたい」歌手としての信念が放つ光
INTERVIEW

Mii「自分の存在自体がMiiであることを届けたい」歌手としての信念が放つ光


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年05月22日

読了時間:約14分

スティーヴィー・ワンダーのカバーも

『“HIME”』ジャケ写

――「べスティー #一生仲間」はカバーというかサンプリングというか、青山テルマさんの「一生仲間」から生まれた楽曲でしょうか?

 サンプリングと言えばそうだし、カバー曲、リメイクと言った方がわかりやすいというか。言い方はそんなに気にせず、とにかくテルマさんの「一生仲間」という楽曲のDNAをしっかり引き継ぎつつ、Miiっぽさのポップな感じ、元気な感じ、私の年齢もありますし、私っぽさも考えてくださってテルマさんがプロデュースしてくださいました。

――“ぽさ”というのは大事ですよね。Miiさんっぽさがこの楽曲にはとても出ていると感じました。歌詞は青山テルマさんとの共作ですが、どのように進行しましたか?

 テルマさんがメロディと仮の歌詞の大枠を付けてきてくださって、それで私が2番を書いて、という感じでした。私が書いたところにテルマさんの添削があったり、テルマさんが書いてくださったところに「もしかしたら私の世代だったらこういう感じかもしれないです」みたいなのをリクエストさせてもらったりとかして。

――2曲目にはソロ・デビューシングル「What You Say」が収録されていますね。これはトロピカル・ハウスのテイストが気持ち良いですね。

 正しくそうですね。ちょうど「What You Say」のリリースの時期が去年の7月だったんですけど、トロピカル・ハウスが日本でもやっと流行りだしたくらいの時期で。その頃、欧米などではトロピカル・ハウスは夏の定番みたいな感じでした。

――日本で流行り出す前から向こうでは定番だったのですね。

 そうですね。ジャスティン・ビーバーとか、ザ・チェインスモーカーズなどのDJがトロピカル・ハウスを作っている印象がありまして、私自身そのジャンルが凄く好きなので。それもあって、トロピカル・ハウスとかちょっとラテンみたいな感じをリクエストさせてもらって出来上がりました。

――楽曲の雰囲気としては海外寄りという印象を受けました。Miiさん自身、洋楽に親しんできたのでしょうか?

 はい。ここ3、4年はJ-POPのシーンで歌手になるというところでJ-POPの古いものから新しいものまで、歌詞を書くためにJ-POPをたくさん聴いているんですけど、幼い頃からずっと聴いてきたのは完全に洋楽でしたね。

――それもあってなのか、今作ではスティーヴィー・ワンダー「Don’t You Worry ‘Bout A Thing」のカバーも入っていますね。

 私がこの曲をカバーしたきっかけはまず、ずっとこの曲をライブで歌っていたんです。それと映画『SING』の海外版のなかで、メチャクチャ歌が上手いゾウさんの役がいるんですけど、トリー・ケリーという女性シンガーが「Don’t You Worry ‘Bout A Thing」を歌っているんです。それが凄く格好良くて! スティーヴィー・ワンダーの原曲ともアレンジが違うんです。

――入り口はトリー・ケリーの歌唱だったのですね。

 そうなんですよ。もちろん原曲の方も知ってますけど、この曲に惹かれて私がカバーをしようとしたのはそっちなんです。それでライブでカバーをして歌ったらけっこう好評を頂いて。そのタイミングでアルバムを作るということもあったので、じゃあ新たにMiiのアレンジにして収録しようということになったのがいきさつです。

――アルバム3曲目「YOUTH」はちょっと切ない感じのR&B、HIP HOPテイストですね。

 あまり日本っぽくないサウンドですよね。

――アルバム全体を通してワールドワイドなサウンドですよね。歌詞に<LINE me>とありますが、これはどういう意味でしょうか?

 みんながよく使ってるLINEのことです。「LINEして」みたいな。海外でLINEを使う子は「LINE me」って言うらしいです。LINEを動詞として。辞書とかに載っているような感じではなく、これもスラングみたいな使い方ですね。でも向こうはLINEが主流ではないんですけど、アプリの名前プラス「me」で「それをして」っていう意味になるんです。

――今作の歌詞にはそういう風にフックとなるワードがたくさんありますね。また「キー ケース」は自身初となるラブ・バラードですね。

 そうなんです。失恋の歌です。私的に凄くお気に入りの曲です。

――<目を見て“ごめん”って ちょっとズルすぎるでしょ>という歌詞は、男性目線からするとそれはちょっとまずいのかなと思ったりしました。

 1番の歌詞は別れ話真っ最中の光景なんです。そのときに、しっかり目を見て「ごめん」って言われたらこっちは返す言葉がないじゃないですか? 「本気なんだな…」みたいな。トドメの一撃というか、その歌詞の通りズルいなって。その一撃で関係を全て終わらせようとするのって本当にズルいけど、結局それに頷いてしまった私が弱いんだなと。男性はそれでいいんですよ。真っすぐ目を見て「ごめん」という武器。女性の武器は涙とかいうじゃないですか。それと一緒ですよね。

――写実的な描写のその奥を深く考えさせられる歌詞が多いんですよね。それでいてシンプルで。

 そうですか(笑)。嬉しいです。

――「Go Shawty」は攻めた雰囲気で、作詞は青山テルマさんと共作ですね。“shawty”という言葉も含みのある意味がありそうですね。

 これもまたスラングで、そもそもは男性が彼女や愛する人に対して使う愛称です。“shorty”から由来していて、「俺のカワイ子ちゃん」みたいな意味なんですよ。それがどんどん派生していって、女の子同士でも“my shawty”みたいな。「私のカワイ子ちゃんの友達だよ」みたいな使い方でけっこう昔からあるスラングなんです。歌詞の内容は、若い私達だって主張はあるし、頑張っているし、もっと前に出ようとしているんだよというガールズパワーがふんだんに入っている曲です。

――スラングなど海外での言葉の言い回しなどが散りばめられているから、作品を通して向こうの文化を知るきっかけにもなります。Miiさんの作品は自身のスタンスや主張が作品となっていると全体的に感じます。

 自分の主張や、「守るものは守るよ」とか「大好きだよ!」とか、Miiの曲はそういうのが前面に出ています。

――今作はMiiさんという人物そのものがコンセプトという印象があります。

 私のアーティストとしての在り方、ポリシーとしていつも持っているものが、シンガーなので歌を頑張るのはもちろんなんですけど、歌もダンスもファッションも、人間性や存在そのものが全部ちゃんと直結していて、それを全部見て“Miiブランド”というか。全てをもって人に届けられたらいいなと思っています。

――Miiさんが最初に仰った「内面から出る強さや美しさ」が土台になっているということが伝わってきます。アイコン的存在に向かっているというか。「〝HIME″」は凄くエッヂの効いた曲ですね。

 これはテルマさんが前面プロデュースしてくださったものなんです。

――楽曲を聴いて、青山テルマさんはMiiさんの内面、人間性もよく理解している方なのではないかと思いました。

 本当にその通りだと思います。これはテルマさんが23歳のMiiという人を知った上で、Miiのことをイメージして書いてくださった曲なんです。この歌詞を見たときにもう感動しちゃって…「ピッタリ!」みたいな。その通り過ぎて心を読まれているような気持ちになりました。

――歌う際も迷いはなかった?

 レコーディングのときもテルマさんが同席してくださっていて。実はラップに挑戦するのが今回初めてだったんですけど、ラップで自分のオリジナリティを出すことが難しくて。でも私なりに歌っている中でテルマさんがブースの外から「もっとアメリカのギャングな感じ!」とか「調子乗ってる高校生みたいな感じ!」とか、凄くわかりやすいアドバイスを頂いているうちに私も感覚を掴んできて歌えるようになったんです。

――確かに、砕けたエネルギーの弾け方のニュアンスが入っていますね。青山テルマさんからそういったディレクションがあったのですね。

 「カリフォルニアのちょっと悪めの調子乗った女の子の声出して!」とか(笑)。

――<I'M SO HIME>ってシンプルな言い回しですが斬新ですね。

 これは完全に造語で、テルマさんが考えてくださったんですけど「私めっちゃ姫」みたいな感じで、そのままなんですけど。

――そういった造語やスラングを、さも普通に使っている言葉だよという感じで歌っているのがMiiさんのスタイルなんだなと思いました。

 そうですか(笑)。ありがとうございます。

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