森山愛子「新時代を駆け抜けたい」令和とともに心機一転 歌への熱い想い
INTERVIEW

森山愛子「新時代を駆け抜けたい」令和とともに心機一転 歌への熱い想い


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年05月08日

読了時間:約13分

チャンスが目の前に来たら掴み取る

森山愛子

――カップリングには森山さんの出身地である栃木県を舞台にした「喜連川」が収録されてます。

 この曲も難しいんですけど、自分の中ではストレートに歌える曲なんです。歌詞はすごく「健気にあなたを待っています」という女性の切ない歌なのですが、曲調はすごく可愛らしくて、自分がフッと主人公に乗り移れるような1曲です。私が自然体で歌える曲なのかなと思います。「尾曳の渡し」も自然体ではあるんですけど、奥底ですごく考えながら歌っている自分がいるんです。

――姿勢が違うんですね。この「喜連川」は地元から近いご当地ソングということで、より嬉しいですよね。

 もちろん嬉しいです。でも、栃木だから特別というわけではなく、どのご当地ソングも同じくらい嬉しいんです。もしかしたら、私よりも地元のファンの方が喜んでくださっているかもしれないですけど(笑)。

――喜連川は森山さんのご実家からも近いんですよね?

 この曲の舞台はさくら市というところなんですけど、私は宇都宮市なので近いです。さくら市には小さい頃に行ったこともあります。でも、喜連川にまつわるエピソードや思い出は私にはまだないので、これからこの曲で思い出を作っていけたらと思っています。

――歌うことによって良い思い出が増えそうですよね。さて、この曲で特に気に入っているフレーズはどこですか。

 最後の<泣かずに待ちます 待ちます 喜連川>のところです。この主人公の姿が可愛いなと思いました。

――最後の<喜連川>の表現、ニュアンスもすごく良いです。でも、カラオケで真似して歌おうと思ったら難しいんだろうなと思いました。

 そうなんですね。水森先生にはレッスンの時にこの曲は「すごく自然に歌えているな」と言ってくださりました。私も難しいんですけど、「自分の中では歌いやすいです」とお話させていただいて。なので、レコーディングも「尾曳の渡し」よりは早く終わりました。

――ワンテイクで終了することもあるんですか。

 それは今まで一度もないです。仮に上手く録れていたとしても何回か録ります。録ってみてワンテイク目がフレッシュで良かったということはありますし、オケ録りした時に仮歌というのを入れるんですけど、それが良かったという時もあるんです。歌いこめば歌いこむほど良くなる時もあれば、新鮮味が失くなってしまうこともあるんです。

――ケースバイケースなんですね。そのOKテイクをご判断されるのは水森先生ですか。

 もちろん先生も立ち会ってくださいます。あと作詞家の先生とディレクターさんの3人で決めています。今回も麻 こよみ先生が作詞をしてくださったんですけど、麻先生は「今のすごく良かったよ」とすごく褒めてくださるんです。逆に水森先生には「ここはこうやって歌わないと」と、いろいろご指摘してくださったり。

――アメとムチですね。でも、そのやり取りも水森先生と麻先生のお二人が黄金コンビと呼ばれるひとつの要素になっているかもしれないですね。さて、この「喜連川」は女性の未練を歌っていますが、未練というところで感じるところはありますか。

 誰にでも未練はあると思うんですけど、恋愛とかだけではなく、例えば「あの洋服残しておけば良かった」とか(笑)。最近、断捨離を始めたんですけど、未練が残らないように「要らないものは捨ててやる!」という気持ちでやっています。私は物を溜め込んでいってしまうタイプなので、最小限にしようと思って断捨離を始めました。やるとすごくスッキリします。

――この曲は断捨離ではないですが、歌詞を読んで自分なりに色々当てはめて歌ってみるのも面白そうですね。

 本当にそうだと思います。私も頂いた歌のすべてが自分に当てはまるわけではないです。2枚目のシングル「風樹の母」という曲があるんですけど、お母さんが死んでしまうという内容の歌なのですが、私の母は生きていますし、その時は亡くなった祖母に置き換えて、母からしたら祖母はこんな感じだったんだろうなと思いながら歌ったりしました。歌っていただける方の、その時の気持ちに置き換えて歌えるのが、演歌の楽しみのひとつなのかなと思います。

――演歌や歌謡曲はその余白が良いんですよね。ポップスは割と場面を限定しているものが多い気がしています。

 そうですね。でもポップスの場合はそれががっちりハマると、「私も同じ!」と共感が生まれるメリットもありますよね。演歌は想像を膨らませられるという歌が多いと思います。

――さて、最後に「令和」という新しい時代にリリースされるシングルとなりますが、新時代への意気込みをお願い致します。

 時代が変わる時というのは、自分にとってもチャンスだと感じています。令和元年を“森山愛子元年”といった感じで変わっていけたらと思っています。チャンスはボーっとしていても掴めないので、いつでも戦闘態勢、目の前に来たら掴み取る、そういう気持ちで新時代を駆け抜けて行きたいと思います!

(おわり)

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