変拍子は手拍子しづらいから封印していた
――「春のあお」は唯一ももさんが作詞されています。
もも 日常でぽつぽつ思っていることを書き起こして、小春ちゃんに送って、それに曲を付けてもらいました。こういう曲調で作って欲しい、と。そうしたらすぐ作ってくれましたね。
小春 こういう曲作りは初めてなんです。今までも共作したことはあるんですけど、こういう作り方じゃなかったので。歌詞はももに任せる、みたいに線を引いた方がやり易いんです。一度歌詞を共作しかけたことがあって(笑)。私たちは月と太陽みたいな感じなので、例えば恋愛の歌詞なんて一緒に作れないんですよ。別々の判断をしてしまうので。
もも 全然タイプが違うよね。
小春 歌とラッパーのグループならできるけどね。天使と悪魔みたいな、そういう形ならできそう。次のアルバムで1曲やってみようよ(笑)。
もも どっちがラップやるの?(笑)
――「春のあお」エンディングのブレスの音も気になりました。
小春 それはももちゃんのこだわりです。
もも こだわりというか、余韻を残したかったんです。
小春 今回のアルバムは新しいことを自分たち的にはしていないアルバムなので「各曲の最初と最後にハッとさせたい」という気持ちが自然に出ている様な気がします。イントロが不思議な感じになったり、後ろを変にしてみたり。
――「日が昇るまで(La Mine Ploua Cu Bani)feat.Rafven(aはウムラウト記号付き)」ではスウェーデンのバンドRafvenと共演していますね。
もも 彼らが初めて来日した時(2009年)に小春ちゃんはCDを買っていたんですよ。
小春 もともとファンだったんです。初来日の時に私は仕事で行けなかったんですけど、妹に頼んでインストアライブに行ってもらって「いつか同じステージに立ちたいです」とお手紙を渡してもらいました。
もも 記憶に残すために衣装をきてブタの人形も持っていきましたから。そうしたら何年か後に、Rafvenが私達も出る予定だった『FUJI ROCK FESTIVAL '15』に出演することになったんですよ。それで「一緒にできないかな?」と思って。
小春 図々しく連絡とったらOKでした。
もも 向こうも覚えてくれていて。
小春 それからも日本に来るタイミングで「前座で使ってよ」と伝えたら、去年も一緒にライブさせてもらいました。その時に一緒に演奏したのが「日が昇るまで(La Mine Ploua Cu Bani)」なんです。「セッションしようよ」って言われて、軽い気持ちでOKしたんですよ。でも日本語の曲じゃないので、何言ってるのかわからない。なので、日本語で作詞をさせてもらいました。
――それで<知らないわ、この曲は>というリリックになったのですか(笑)。
もも 普通の感想を言ってしまいました(笑)。元々ルーマニアの曲なんですけど、スーウェーデン人のRafvenが演奏しているんですよね。
小春 原曲が何の歌なのかも分かりません。響きだけで勝手に歌詞を付けちゃいました(笑)。ライブでやった時にお客さんから笑いが起きて、それが不思議だったみたいですね。
――それから個人的には「麻イイ雀」、サビだけ7/4拍子の「カストラート」が印象的でした。
小春 「カストラート」は4、5年前に作った曲で、1回だけライブでやったんですけど。聴いてたお客さんも覚えてないくらいの。変拍子については特に気にしてないですね。ほっといたら出てきてしまうんです。一時期みんなが手拍子しやすい様に封印してたりしたんですよ。お客さんがパニックみたいになってしまうので(笑)。
もも 私は何拍子なのか、とか音楽的なところはよく分かっていないんです。でも小春ちゃんは「○拍子の曲作ろう!」みたいな感じで割と考えていて。
小春 「麻イイ雀」はももちゃんが出演した映画『麻雀放浪記2020』(白石和彌監督、4月5日公開)の試写を観に行って、その感想として書いた曲なんです。全然主題歌でもなんでもないんですけどね。私こういうの好きなんですけど、あんまりこういう曲作りすぎると「チャラン・ポ・ランタンらしくない」って言われちゃうんですよ。まず全然アコーディオン弾いてないですし(笑)。
もも そうですね。姉が作ってくれた非公式応援ソング。
小春 麻雀をゴリゴリにやっているベーシストのさくらんに聞きながら作りました。彼女は本当に麻雀が好きで、23歳くらいからずっと雀荘に入り浸ってたそうで。私は麻雀を普段全くやらないので内容があっているのか不安だったんですけど、先日プロモーションで色々な方々に取材をしていただいたときに、麻雀の知識がある方々に確認したところ内容は合っているみたいです。
(おわり)