チャラン・ポ・ランタン「自分たちしかやれないことある」原点回帰の音楽
INTERVIEW

チャラン・ポ・ランタン「自分たちしかやれないことある」原点回帰の音楽


記者:小池直也

撮影:

掲載:19年03月28日

読了時間:約12分

大人の童謡

もも

――それは昨年インディーズ時代のベスト盤『過去レクション』を出したことも関係していますか?

小春 もちろん。というか、もはやそれですね。昔の音源をマスタリングし直すために、もう一度聴いたんですよ。それまでヘラヘラ話してたんですけど、1曲目を聴いたら10年の重みをすごい感じました。「すげえ時が経ってた」みたいな。妹の歌声が取り返しつかないくらいうぶで。

もも 「取り返しつかない」ってちょっと悲しいな(笑)。でも明らかに変わっていたんです。

小春 全然気付きませんでした。ずっと一緒にいると、やせたか太ったか、老けたか若返ったかなんて分からないんですよね。。

もも 機会があったら是非聴いてください。まず声が違う。あと「絶対にワンテイク」で録ってるでしょっていう感じですし。

小春 うん、本当に雑。プレイの技術に関してはそこまで変わらないはずなんですけど、レコーディングへの姿勢は適当だったと思います。音楽ファンでも「初期の取り戻せないところが好き」という人いるじゃないですか。それに納得してしまったんです(笑)。「やっちまえ」的な雑さは、10年後の色々な人が関わっている今では無理だなと思います。10年前のももの声もいいんですけど、「歌詞の意味がよく分からないけど、歌わされている感」がまたいいんですよ。

 でも、10年経ってもそこから変わっていなかったらちょっと病気ですよね(笑)。この活動してきた時間の中で色々なものがそぎ落とされていった反面、色々なジャンルの曲ができる様になって引き出しは増えました。ただ、船に乗せられるものの数って同じだと思うんです。うぶだった部分や、無知だった部分は捨てて、その分違う武器を乗せていたんだなと。とは言え「なぜこれをやめてしまったんだろう?」というものもありました。昔はよくやっていたけど最近はやらなくなってしまったものもあって。

――「脱走」がリード曲なのもそういうところからの“脱走”という意味もありますか?

小春 チャラン・ポ・ランタンで私が作った曲は「逃げたい」ということをよく言っていたりするんですよ。4曲に1曲くらいはありますね。

――「ガリレオ」は天才科学者も悩んでいた、という内容の歌詞でしたね。

小春 歌詞はほぼほぼ自分の話を基にしていることが多いですね。今回は「マッドネス」が唯一、他人の話なくらい。

もも 「マッドネス」は男性目線の曲で。

小春 そうそう。私はイソップとか動物の例え話がすごく好きなんです。私はチャラン・ポ・ランタンの裏テーマとして『大人の童謡』ということを勝手に思っていて。子ども向けにエグい部分を削られている昔話とかあるじゃないですか。そういうものではなく、そういうところもしっかり語る様な、大人に向けての、しかも子どもにも伝わる童謡になったらなと思っています。どの曲にも絵本の様な絵面がひとつ浮かんでいるんですよね。

――「100人のダディ」もすごく面白いトピックですよね。

もも 現代はSNSとかがあるから、余計にいろいろと過度に伝わりやすい時代になってると思うんです。こういう言葉も小春ちゃん節ですよね。とがってるけど、ちょっとポップな表現で。

小春 でもこれは10年活動して、ちょっとしたジョークにできたんだと思います。昔だったらもっときつい言葉を使っていたはず(笑)。

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