何かに染まる私ではない私――、小島梨里杏 自分らしさを見つけた「半透明」
INTERVIEW

何かに染まる私ではない私――、小島梨里杏 自分らしさを見つけた「半透明」


記者:木村武雄

撮影:小島梨里杏

掲載:19年03月26日

読了時間:約8分

髪を切った理由

小島梨里杏

小島梨里杏

 今も昔も根が真面目であることは変わらない。しかし、物の捉え方をより前向きになれるようになった出来事があった。

 「髪を切ったんですよ。そうしたら仕事も増えたし、そのおかげで心も軽やかになって快活になれました」

 今回の写真集でも、髪をバッサリと切った。この長さにしたのは3~4年ぶりだ。髪を切るきっかけは周囲から「短いのも似合っているよ」という言葉だった。しかし、もう一つの思いもあった。

 「あれから時間も経ってロングになって、でも大人になった分、控えめだったあの頃とは同じではない。でも25歳という節目で更に進化していくために、周りが良いと言ってくれることには柔軟に対応したい。それと、あの時の感覚を忘れたくないという思いもありました」

 何かに染まる自分ではない、自分。それが「半透明」――。

 「透明だと色がない。でも透明でもありたい。寄り添うかたちで仕事していきたいけど、それでは『自分がやる意味』は見出せない。これまでも常に、自分がやる意味を考えてきたけど、去年の出来事がより『自分とは』を考えさせるきっかけになって、『半分透明でいたい』と。自分という個がありながらも透明でありたいなと」

 そうした写真集には日常を切り取った“素の表情”が収められている。何かを演じているのではなく、ありのままの小島がそこにはいる。これまでの歩み、そして、新たな歩みの境界線が見え隠れする。

技量が問われる初主演舞台

小島梨里杏

 写真集が出来た今、改めて「自分とは何か」を聞いた。

 「常日ごろから感情が凄く動くタイプなんですよ。泣いたり笑ったりが激しくて。その感情が豊かなところは大変ではあるけど、それが自分だと思う」

 屈託のない笑みを浮かべてそう答える彼女の表情はやはり晴れやかだ。個を育て、役を演じる。自身を知った小島は、主演舞台に臨む。

 「言葉遊びや音遊びが特長です。場面転換の仕方も特長的で、カンとなったら、いままで普通にしゃべっていた人が違う時間軸にいたり、泣いていた人が普通になったり。『キ上の空論』さんはもともと好きで、切り替え方や時間の飛び方は凄く私好み。感情のつながりがないので難しいけど、好きだからこそ良い舞台にしたい」

 場面転換が激しい舞台、役者としての技量が問われる。その舞台の見どころは「愛とは…」だという。

 「私は『愛とは何か』が大きなテーマだと思っています。生きていてうまく行かないことや、やり切れないことはたくさんあって、恋愛もそうで、こっちの人から見ると凄く好きなのに、こっちは愛していない。日常のありそうでなさそうな人間くささ、愚かさ、それが散りばめられています。主演だけど、魅力的な俳優さんたちも出ていらっしゃるので、どこも落とさず楽しめます」

 最後に意気込みを聞いた。

――今後はどう?

 「頑張ります!」

 1年前のインタビューの最後でも語った言葉だった。根が真面目であることはこの言葉からもうかがえる。ただ当時と比べその語気には力強さがあった。

小島梨里杏

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(おわり)

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