何かに染まる私ではない私――、小島梨里杏 自分らしさを見つけた「半透明」
INTERVIEW

何かに染まる私ではない私――、小島梨里杏 自分らしさを見つけた「半透明」


記者:木村武雄

撮影:小島梨里杏

掲載:19年03月26日

読了時間:約8分

再認識した思い

小島梨里杏

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 小学生の頃から芸能活動していた。2014年には『烈車戦隊トッキュウジャー』トッキュウ3号/ミオ役に起用され、2016年公開の映画『人狼ゲーム プリズン・ブレイク』で初主演を務めた。順風満帆な“女優人生”にも見えるが、同世代の活躍にもどかしい気持ちもどこかにはあったのだという。それを再認識させたのが昨年のある日、MA室で映画情報に関するナレーションを録音していた時のことだった。

 「本当は向こう側にいたいのに、情報を伝える側になっている、悔しい…」

 自身でも「まさかこんな時に思うなんて…」と驚いた。「今の時代、SNSでもそうした活躍は入ってくるのに、なんでだろう…」。それでも彼女は前向きだ。

 「私はネガティブをポジティブに捉えていて、だから悔しさはネガティブではないと思うんです。なかにはそれさえも感じない人もいるだろし。お芝居や作詞をしているからより思う。苦しかったり、悲しかったりすればするほど役や歌詞に活かせる。辛くても『これでお芝居、歌詞の幅が広がったな』と言い聞かせています」

 隠せなかった感情の高鳴り。結果として、その思いが彼女自身の意識に変えることになる。それが、自身初の写真集『半透明』にも表れている。

小島梨里杏

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ありのままの自分とは…

 同じ時期、プライベートでの何気ない言葉に気づきを得る。写真を撮られるときに友人のカメラマンから「普通でいて…」と言われた。

 「ありのままの自分ってなんだろう…」

 『半透明』というタイトルには、そうした思いが込められている。

 「ポップな写真集にしたくなくて、何かに染まらないことをあえて選びました。これまでしてきた仕事で“小島梨里杏”を全面に押し出したことはなくて、自分というフィルターを通して役をやったり、MCでも『梨里杏の部屋にしていいよ』と言われてもアーティストを立てるということを徹底しました。自分と言うよりもその役割に徹していたような気がして、再認識したあたりからそういう違和感を覚えて」

 再認識した時期とは、MA室でのことだ。さらにこう続ける。

 「ファッションでもどうやったらこの洋服を良く見えるか、場面写真もその役柄としてやる。でも『ありのままを見せて』『普通でいて』と言われた時に戸惑ってしまって…難しいなと。これまで意識したことはなかったかもしれない、自分とは何だろう…って。感情やテンション、人に合わせられる、というか合わせなきゃと思う性格だし。自分を切り取るのは難しいなと」

 「人に合わせなきゃ」――、その性格が形成されたのは10代の頃。当時はどちらかと言えば良くも悪くも「真面目なタイプ」だったという。

 「学校でも家でも良い子なんですよ。抗(あらが)わない人、極端に言えばイエスマン。仕事に関してもそうでした。当時は今よりもネガティブをネガティブに捉えていて、人前に出るのも嫌で端っこにいて…」

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