小島梨里杏「不器用さに人間的面白さ」初海外戯曲で感じた感情表現の違い
INTERVIEW

小島梨里杏「不器用さに人間的面白さ」初海外戯曲で感じた感情表現の違い


記者:木村武雄

撮影:小島梨里杏

掲載:19年10月18日

読了時間:約8分

 小島梨里杏が、SHY BOYプロデュース舞台『ザ・フォーリナー The Foreigner』(10月23日まで=東京・三越劇場ほか)に出演している。江田剛(宇宙Six/ジャニーズJr.)が主演。米国ジョージア州にある古い釣り宿を舞台にしたラリー・シューの戯曲で、極度の人見知りの主人公・チャーリー(江田剛)が誰とも話さずに過ごすためにフォーリナー(外国人)のふりをする様子が描かれる。小島が演じるのはヒロインのキャサリン役。その婚約者で牧師のデイヴィッド役を高田翔(ジャニーズJr.)、弟のエラード役を我善導が演じる。「人間の不器用さが描かれていて、それぞれが成長していく姿も見どころ」と語る小島にとっては初の海外戯曲。起伏の激しい役柄にどう向き合ったのか。【取材・撮影=木村武雄】

同じ感情でも表現が異なる

――主演作『キ上の空論「ひびのばら」』(今年3月上演)と舞台への出演が続いていますね。映像作品と舞台とでは演じ方も変わってきますが、その点はいかがですか。

 舞台は、演出家さんと見ているものは違うかもしれないんですけど、キャストみんなと一連のテンポを感じながらやっていて。ただ、今回は同じ舞台でも、劇場の規模も大きいですし、海外戯曲なので、大きなお芝居になるんです。私が演じるキャサリンという人物自体もそうなんですけど、私とはかけ離れていて…。今までやったことがない役柄でもあり、作品でもあるので、映像とはかなり違うものになりますね。

 それと、映像の場合は、カメラが顔のそばに寄ってくれるので、リアルな表情をそのまま表現することはできるんですけど、舞台だどステージと客席が離れているので、よりお客さんに届ける意識が働いて、動作が大きくなるといいますか、表情を分かり捉えてもらえるように表現がより強くなるんですよ。観ている位置によって感じ方が変わらないように、向き方も変えてみたり、そうしたところでの意識の違いはあって、表現の難しさは感じますね。

――映像との違いだけでなく、舞台の作品によっても変わってきますか?

 変わりますね。『キ上の空論「ひびのばら」』は東京芸術劇場・シアターウエストでやりましたが、今回の会場とはまた広さも違いますし。それと、現代劇だったので、身振り手振りを大きくするというよりかは、普段のテンション感でしゃべることを意識していました。

――今回は海外戯曲や会場が広いともあって普段よりも身振り手振りが大きくなるということでしたが、自分が思っている以上に動きが大きくなっていない時もありますよね? スポーツの世界でもそういうのがあると聞いたことがあります。

 それはあると思います。自分の心の中、感情は目まぐるしく動いていたとしても、見た目にはそんなに出ていなかったり、無意識に押さえていたり、「もっと出して良いよ」と言われることはありますよ。

――さて、小島さんが演じるキャサリンはどういう人物ですか?

 社交界に立つような令嬢だったけど、両親を亡くして、「元令嬢」になってしまった女性です。弟もいて、自分は社交界で煌びやかな世界に立ちたいのに、弟の面倒をみないといけない。更に、デイヴィッド牧師という婚約者がいて、その方との間にもいろいろとあって。物語のスタートから「もう、どうしたらいいの!!」というイライラした感情が全面に出ているんですよ(笑)。

――すごいですね(笑)。最初に台本を読んだ印象は?

 キャサリンに感じたのは、怒っているけど、苦悩や悩んでいることへの思いが強いから下に引っ張られるようなテンションだったんですよ。ズドンとなるというか。人や物に当たっているけど悲しみがあるような印象。でもいざやってみたらそっちではなくて、「ちゃんと相手に当ててほしい」と。カラっと怒るというか。それは文化の違いが影響していて、海外戯曲なので日本人と外国人の怒り方に違いがあって。

――同じ感情でも表現の仕方が違うんですね。

 そうなんですよ。ただ、日本人にも外国人にも色んな性格の方がいらっしゃるので、一概には言えないんですけどね。キャサリンに関しては、「ジメっと怒るというのを無くしてほしい」というのがあって。私のなかでは彼女の怒りは、相手に「なんで!? なんで!?」と詰めていくというか。そういう印象があったけど、「それができないぐらい蒸発しているということなんだな」と納得させました。

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