小島梨里杏「不器用さに人間的面白さ」初海外戯曲で感じた感情表現の違い
INTERVIEW

小島梨里杏「不器用さに人間的面白さ」初海外戯曲で感じた感情表現の違い


記者:木村武雄

撮影:小島梨里杏

掲載:19年10月18日

読了時間:約8分

影響を受けた音楽

――さて前回のインタビューは今年3月でした。この期間、影響を受けた音楽はありますか?

 最近、奇妙礼太郎(きみょう・れいたろう)さんが好きで、奇妙さんの曲を聴いてモチベーションを高めています。奇妙さんに「水面の輪舞曲」という曲があるのですが、素敵なのでぜひ聴いてほしいです。

――知ったきっかけは?

 友人と行ったライブだったんですよ。その佇まいというか、彼自体が面白くて「そこで挨拶するの?」と不思議な感じがあって、お名前の通り奇妙な方、愛くるしい奇妙さに惹かれました。声も素敵だし、癒されます。「水面の輪舞曲」は歌詞も素敵なのでぜひおススメしたいです!

あとがき

 取材した日は、太陽の光が心地よく感じる日だった。ゆったりと時間が流れ、のどか。風も優しく頬をなでた。稽古場のドアを開けると彼女が立っていた。柔らかみのある凛とした佇まいで「お久しぶりです」と挨拶。外で感じたのどかな空気感はこの稽古場にも流れていた。稽古が始まればきっと空気も変わるだろう。少なくとも今感じた雰囲気からは充実した稽古を過ごせていることが伺えた。

 彼女の周囲には特別な空気が流れている気がした。それは初めてインタビューしたときにも感じたことだった。内から出る優しさや品格がそうさせているのかもしれない。初対面なのに、あるいは時間が空いたのにそう感じさせない、人を受け入れる寛容さが彼女にはあった。そんな人間的な魅力を放つ彼女が本作では感情を荒げるキャサリン役を演じる。穏やかな人がどう表現するのか楽しみである。

 そして、インタビュー終わりに彼女の方からこう話しかけてきた。

 「最近は何を聴いていますか?」

 私が答えたのはあるピアニスト。「その方が弾くピアノは、当時の時代までも頭上で浮かび上がらせるほどの表現力を持っています」と紹介した。彼女はうなずくように、まっすぐな目でこう語った。

 「私も、演じているなかで、その役のバックボーンが見えてくる俳優になりたくて…」

 キャサリンを演じるにあたっては、彼女のバックボーンを深く考えた、というのは本インタビューの冒頭でも語っていた。落とし込んだ役柄の心情や過去をどう表現するのか。そこに難しさもあるとも述べている。言葉だけではない佇まいで醸し出すその役柄の背景。その理想を追い求め小島梨里杏はきょうも役柄と向き合っている。

 東京・三越劇場では10月23日まで。11月には愛知、大阪でそれぞれ開催される。

(おわり)

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小島梨里杏
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