大原櫻子「まだまだ新人という気持ち」デビュー5周年迎え目指す次の舞台
INTERVIEW

大原櫻子「まだまだ新人という気持ち」デビュー5周年迎え目指す次の舞台


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年03月09日

読了時間:約12分

美空ひばりさんを超リスペクト

大原櫻子

――新録も収録されている部分では、今後の可能性も感じさせるベスト盤です。今後については、どんな風に考えていますか?

 大きなテーマとして、暗い人を元気にできる楽曲を歌いたいと思っています。暗いと一言で言うのは合っているのかわかりませんが…元気なときに聴きたい楽曲もあると思いますけど、本当にその瞬間を救える歌と言うか…。私の歌で「救われた」と、感じてもらえる人がいたらいいなって思っています。別の視点で言うと、1年半前に1人でニューヨークを旅して、ブロードウェイのミュージカルを観劇したりしたんですけど、英語の曲を歌って海外の人にも届けられる歌も欲しいなと思いました。

――聴く人を癒やしてあげられるような歌を歌っていきたい?

 はい。私自身も音楽に救われた経験があって、今でも刻まれているのが、絢香さんの「みんな空の下」という曲です。自分を助けてくれた曲って、ずっと忘れないし胸に刻まれますよね。それで絢香さんが病気を発表されたときに、「絢香さんから元気をもらったから、今度は私が元気を与えたい」と思って、「みんな空の下」を歌う姿を家族にホームビデオに撮ってもらって、絢香さんの事務所に送ったこともありました。

――人の心に訴えるには表現力が大事となりますが、ミュージカルや舞台への出演は、すごく影響が大きいですか?

 間違いなく大きいです。台本にある言葉一つひとつを掘り下げていくことをするのがミュージカルで、歌詞をいただいて歌う身としては、歌詞の理解度が増すことにつながります。そういう現場が多ければ多いほど、歌うときの表現に活かされていると感じます。

――1年半前にミュージカルの本場ニューヨークに行ったときは、どんな刺激がありましたか?

 ブロードウェイの女優さんは、お芝居がすごいんです。お芝居がまずあって、そこに歌がついてくるような感覚と言うか。歌唱力はあって当たり前で、自分がすごく小さく感じました。どう頑張っても追いつかないんじゃないかと思えるほど素晴らしかった。だからこそ一生をかけて追いかけて、ここ(ブロードウェイ)に立つことを夢にしたいと思いました。そのときは、ミュージカルのお稽古場も見学させていただいたんですよ。

――日本の稽古場と雰囲気は違いましたか?

 日本では「今から始めます」って、誰かが合図をしてお稽古が始まるんですけど、ニューヨークは誰かが合図を出すわけでもなく、フィーリングで始まるんです。稽古だからと構えている様子はなくて、すごく驚きました。稽古とか練習という感覚ではなく、ミュージシャン同士がスタジオでおこなうセッションみたいな感じです。全員が上手いので練習する必要がないくらい完璧なんですけど、それをより良いものにするためにセッションしてブラッシュアップしていくといった感じでした。

――もしそういう場に参加するとなったらどうします?

 もちろん、やりたいです! すごく楽しそうじゃないですか。日本では経験したことがないやり方なので、ぜひ経験してみたいです。

――ミュージカルと言えば、昨年は『新感線☆RS「メタルマクベス」disc2』に出演されています。そのときは、どんな雰囲気でしたか?

 すごく楽しかったです。いのうえひでのりさんの演出は、いのうえさん自身が動いて、それをマネて自分のものにしていく感覚です。わかりやすいけど、その分いのうえさんには染まれない部分もあるので、自分でどう解釈して動くか考えさせられました。

――共演者もいろんなジャンルで、ユニークな方ばかりでしたね。

 徳永ゆうきくんと原嘉孝くんとは、同世代というものあってすごく仲良くなりました。高校生の友だちみたいな感覚です。でも、お互いの仕事のことに関して興味、感心がまるでないと言う(笑)。気兼ねなく何でも話せる友だちがいるのは、すごくありがたいです。

――徳永さんのような演歌も歌ってみたいと思いますか?

 演歌も大好きで、カラオケに行くと歌いますよ。オーディションで演歌を歌うこともありました。好きなのは美空ひばりさんの「愛燦々」です。美空ひばりさんは勝手に超リスペクトしていて、毎年お墓参りにも行くくらい大切な存在です。

――美空ひばりさんを知ったきっかけは、何だったのですか?

 両親の影響で、私がJ-POPを始めたころに「演歌の歌詞を咀嚼して歌える人になりなさい」と言われたことがあって。確かに演歌の歌詞には、今の歌にはない深さがあって、メロディもこぶしがあって難しいんです。カラオケレベルですけど演歌を歌うようになって、明らかに自分の歌が上手くなった感覚があります。徳ちゃんを通して、もっと演歌のことも知れたらいいなと思っています。

――現在、映画『あの日のオルガン』が公開中です。戦時中のお話で、保母さんの役とのことですが。

 久しぶりに映画に出させていただいて、映画もやっぱりいいなと改めて思いました。舞台とは違う、その瞬間が映像に収まって作品が作られていく。その瞬間のための緊張感が、とても心地よかったです。役から教わることも多くて、とても人にやさしい人の役だったので、どういうことをすれば人を救えるのか作品から学べましたし、子どもたちの面倒を見る保母の役でもあったので、子どもたちに広がる歌を歌いたいなという感情が芽生えるなどあって。それはきっと知らないうちに歌にも活かされていくだろうと思いました。

――通常盤の「くるくる盤」のほか、「ねじねじ盤」と「うねうね盤」があります。

 ジャケット写真で大きなイヤリングをしているんですけど、その形からこう命名しました(笑)。5周年を迎えて、すっぴん感と言うか、またここからすべてを脱ぎ捨てて、新たな出発だなと思っていて。初心に返る意味でも、あまりごてごてにメイクしない感じで写真を撮っていただいて。そのシンプルさの中にオシャレなイヤリングが見えて、これがすごく写真のポイントになっています。それに「カモン」→「来る」→「くる」と、タイトルともかかっているということで「くるくる盤」と、遊び心で付けました。

 5月にスタートする全国ツアーには『FROM NOW ON!』という副題が付いているのですが、ツアーは新しい幕開けだなと感じていただけるものにしたいと思っています。カバーも披露したいと思っていまるので、ぜひ楽しみにしていてください!

(おわり)

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