Bentham「大事な1年になる」過去最高の自信作 踊らせる音楽へのこだわり
INTERVIEW

Bentham「大事な1年になる」過去最高の自信作 踊らせる音楽へのこだわり


記者:桂泉晴名

撮影:

掲載:19年02月25日

読了時間:約15分

インディーズ時代のBenthamの雰囲気やにおい

――7、8曲目は辻さんの「MIRROR BALL」「BASSBALL」が続きます。

辻怜次 今回四つ打ちでダンサブルな曲をデモ段階で多く作れたんですよ。もともとエレクトロは好きで、Major LazerとかClean Banditとか長いこと聴いてきた中で、四つ打ちでダンサブルなものはやっぱり好きだなと改めて思ったので、そういう曲を作れないかと。最近はRooseveltとか DAFT PUNKの『RANDOM ACCESS MEMORIES』とか、人力でグルーヴを出すものに凄く憧れがあったんです。それを何かできないか、というのがもともと始まりで。結構長いことを自分の中で取り組んでいたので、収録されて良かったです。

辻怜次

――人力でやりたいというのが始まりだったんですね。

辻怜次 でもアレンジしていくうちに、だんだん人力以外のものも増えまして(笑)。でも逆にそれが今までになかったBenthamで、なおかつBenthamらしさが出れば一番いいなっていうとこに落ち着いたんで。ものすごく良かったです。勉強になりました。

――「BASSBALL」には<ファールで粘る>などの歌詞もありますが、野球は好きなんですか?

辻怜次 一応この「BASSBALL」というのは僕の足元、エフェクターのBASSBALLからです。この曲は小関と一緒に作っていて、あまり今までにない感じでした。例えば今までだったらデモの段階である程度オケを作って、オゼにメロディをのせてもらうんです。そういう作業は今までも結構やっていたんですけど、今回はスタジオに2人で入って「こういうフレーズがあるんだけど」とベースを弾いて、「じゃあ、これに対してこうやってみたら」というのを結構やって。オケができた中で作業をしていくという、あまり今までやってこなかったことをやりました。その時に二人で「タイトルはどうしようか?」といったときに、僕の足元にあった「BASSBALLって格好良くない?」というところから着想したんです。そこに野球も混ぜて。

小関竜矢 デモ出しのとき締切がすぐで、僕は移動しなきゃいけなくて。「辻くんこれ、ちょっと急ぎだから、次の曲聴かせて」となったときに、速攻でできたんです。

辻怜次 早かったよね。

小関竜矢 30分くらいできて、とりあえず録って。その後、須田と合流して「これ、できたから」と聴かせたんだよね。たぶん歌もほぼ完成形に近い感じになっていた。サビの<HEY!HWY!HEY!>あたりは後半に思いついてつけたんですけど、土台はあっという間にできました。

――最短で作られた?

小関竜矢 これは絶対最短ですね。

辻怜次 この曲こそインディーズ時代のBenthamの雰囲気、においが出せたらと思っていたんですけど、それがすっと出せたから“ああ、よかったな”と。今までやってきたことが間違いじゃないという曲になりました。

小関竜矢 あと、僕は各アルバムというか、CDごとに“HEY”という単語を絶対入れているんです。それを今回は入れるか入れないか、すごく迷って…入れました(笑)。

――ラスト前の「SUTTA MONDA」は鈴木さんが作詞作曲を担当していて、タイトル通りワチャワチャしつつも格好良いナンバーですね。

鈴木敬 これは割と構成など、僕が持っていったままで。昨日ちょうど最初のデモを聴いていたんですけど、ベース、ギターはとくに考えてもらって、さらに良くなりました。

鈴木敬

小関竜矢 「SUTTA MONDA」が一番デモの原型が残っていて、それに対してブラッシュアップしている感じですね。そして須田のギターが本当に発明だと思います。最初のカッティングというか、ジャッジャッってはじまるんですけど、その感じは完全にオマージュも含めたちょっとふざけた感じの、敬の曲に対しての広さというか。「こんなのはどうですか?」みたいなのに対して、バンドインして須田がピロピロ弾いているんですよ。それが僕は衝撃でした。すごく新しくて「やりよったな」という感じですね。ただのふざけた曲にならずにすんで(笑)。

須田原生 この曲はすごくタカさん(鈴木)ぽくて。だからこそ、やり切っても大丈夫かな、と思いました。書いている人への信頼というか。ノリノリで終始笑いながらレコーディングしていましたね。

辻怜次 「ベースもふざけてやろう」くらいの気持ちでした。今回レコーディングで一番自分が好きな音でとれたのは、この「SUTTA MONDA」じゃないかな。テクニカルな要素もありながら、しっかりベースとして軸にあるアレンジができてますし、ベースラインとしてもすごく好きですね。

――アルバムが「夜な夜な」で終わるのは決まっていたのでしょうか?

小関竜矢 最初が「cymbidium」で最後は「夜な夜な」でという意見が出てから、そっちの方向で進んでいましたね。

――「cymbidium」と「夜な夜な」は対になっているのですか?

小関竜矢 「cymbidium」を普通に聴いたら、男性側の過去にあった恋愛の曲だと思うんですけど、実は女性側の気持ちで作ったんですね。ただどうしても前後の文脈などで収まりきれないところがあったので、“僕”という言葉を使っているんですが、女性目線で男の弱さを歌っていて。それに対して10曲目の「夜な夜な」は、離れ離れになった男性側の目線の曲になっていまして。だから1曲目は女性側が問いかけていて、10曲目で男性も同じことを考えていましたね、と。オフィシャルな感じではないんですけど、そんなストーリーを勝手に作ってニヤニヤしていたんです(笑)。1曲目と10曲目ということで、距離も離れていて、というロマンティックなことをしてみました。

――なるほど!

小関竜矢 わからないで聴いてもらっても全然大丈夫ですし、わかって聴いても面白いんじゃないかなと思います。

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