アイドルグループのマジカル・パンチラインが20日、ニューシングル「Melty Kiss」を発売した。昨年4月にグループのリーダーを務めていた佐藤麗奈が卒業。その後、沖口優奈、浅野杏奈、小山リーナ、清水ひまわりの新体制でTOKYO FM HALLでおこなわれた「東京アイドル劇場アドバンス」で6月まで3カ月連続定期公演をおこなった。この作品は、新体制となったグループの新たな門出となるシングル。「初めての大きな壁だった」という、この期間を乗り越えた今、メンバーは何を思ってレコーディングに臨んだのだろうか。4人は新作について、グループの雰囲気についてなど、新体制になってからの心境を隠すことなく率直に語ってくれた。【取材=小池直也/撮影=村上順一】
今まではコミュニケーション不足だった
――2018年4月から、ここまでに至る期間はいかがでしたか。
沖口優奈 この期間は色々あったんですけど、今は楽しい状況になれました。考えてみると大事な期間だったなと感じます。
浅野杏奈 マジパンは今まで基本的に恵まれた活動をさせて頂いていたので、一度試練に直面するべきだったんじゃないかなと思ってます。でないと、4人体制でいこうと思っても、なあなあになってしまったかもしれません。辛かった時期は衝撃があったからこそ、みんながより団結できたし、いい起爆剤になりました。
小山リーナ 確かに初めての大きな壁でした。それがあったからこそ成長することができたと思いますし、考えることができたんじゃないかなと思ってます。でも壁を乗り越えても、次の壁がある。次のことも考えていかなきゃなと。
清水ひまわり 私にとって、この半年間はすごく考えた時期だったと思います。マイナスのことをどうプラスの方向にもっていけば良いのだろうか、と考えていくうちに問題点とか課題について話し合いがメンバーの中で生まれました。だから成長のために必要な経験値が得られた期間。今はみんなが言っている通り、楽しいというか。この時間のおかげで絆が深まりました。
――YouTubeでは、解散かと見せかけて新曲発売決定というサプライズのドキュメンタリーも公開されていました。
沖口優奈 「これは(解散の話が)来るんだな」と思って、心の中では覚悟していました。「解散! …しません」で「えっ!?」って(笑)。
浅野杏奈 マネージャーさんのお芝居が上手すぎました。間合いとか。あの間で「来るな」と思っていて「解散!」と言われましたから(笑)。それまで息が苦しくて。動画を観るとわかるんですけど、時が止まっている様な感じなんですよ。その後の安心感はすごかったですね。
浅野杏奈 レコード会社さんもついていない、ファンの方も心配してくださっている状況だったのでリアルでした。
沖口優奈 あの時は全然気持ちが着いていってなかったです。そのくらい部屋の空気感が重かったですね。どんどん話がネガティブな雰囲気になっていたので、そこからのハッピーな話は嬉しかったですけど、感情はぐちゃぐちゃ(笑)。正直その時のことを覚えてないくらい「解散」という言葉に頭が真っ白でした。
――それを乗りこえた、3カ月の定期公演の感想も教えてください。
清水ひまわり 「やったるぞ!」という気持ちが強かったですね。そのためにみんなで色々と話しあっていましたし。特に一回目の定期公演は「新しいレーベルさんが観ているから失敗できない」と緊張してましたね(笑)。
浅野杏奈 毎回持ってそれ(笑)。
沖口優奈 それまでの半年間はみんなそれぞれ不安な気持ちもありましたから。この3カ月公演は奇跡というか、もう一度もらった命という気持ちです。再スタートのタイミングで緊張感もありましたけど、希望を持ってやり続けられた定期公演だったと思います。
――どんなことを話しあいました?
沖口優奈 今までは結構コミュニケーション不足なところがあったんです。
浅野杏奈 3年のうち、2年間はあまりミーティングもなかったですね。
沖口優奈 段々打ち解けてきて、仲は良かったんですけど。実際の心の距離は遠いところもあったのかなと今は思います。この半年はネガティブなことも共有しあえる関係になって、その分楽しんだりふざけあうコミュニケーションも円滑になったなと。パフォーマンスも「ここの振りはこう」と指摘しあうことも、4人体制になってやっとできるようになりました。
浅野杏奈 私、優奈が普段何しているか知らなかったんですよ。彼女以外は学校に通っていますけど、一人だけ社会人なので。本当にしゃべってなかったんだなと思います(笑)。今日あったことや過去に何があったか、自分の軸となるものとかの話も全然していませんでした。そういう面で仲良くなりましたね。今までは友達に近かったかもしれませんが、家族以上の関係になったなと感じています。
――そして、いよいよニューシングルのリリースとなります。
浅野杏奈 制作はカップリングの「ONE」から始まりました。最初のデモは4人で集まって聴きましたね。
沖口優奈 歌詞とその時の環境がリンクしすぎていて、ひまわりちゃんがボロボロ泣き始めちゃって。
清水ひまわり アハハ(笑)。
沖口優奈 もちろん「何で泣いてんねん」とはなりませんけど(笑)。泣いちゃうくらい、自分たちに曲が入り込んできました。
浅野杏奈 シンプルに曲を頂けたのが嬉しかったです。これをファンのみなさんに披露できるんだと。自分たちがどう歌っても、どう表現してもいいというものを頂けたので。みんなめちゃくちゃ笑顔だったよね。
小山リーナ だんだんとリリースさせて頂くのが、自分の中で当たり前の様にもなってしまっていました。この半年間を過ごしたからこそ、有難みがわかります。自分たちの曲を頂けるのが嬉しいです。
――ちなみに「Melty Kiss」を聴いた時も清水さんは泣いてしまった?
清水ひまわり 「Melty Kiss」は泣いてないです(笑)。すごいかわいい曲だなと思いました。
浅野杏奈 みんなでお仕事の帰り道で聴きましたね。
沖口優奈 スマホのスピーカーに身を寄せあって(笑)。その場ですぐにでも聴きたかったんです。
清水ひまわり 歌詞とかはその時全部はわからなかったですけど、その後見たら「かわいすぎて、歌えるかな」と。どう歌えばいいのかがあまり分かりませんでしたね。実はマジパン初の恋愛ソングなんです。歌ったことがないので、どんな心情で歌ったらいいのか考えましたね、歌う時は。歌うのが苦手なので、工夫とかもできないんですけど。感情は恋する乙女で頑張りました。
沖口優奈 ひまわりちゃんは妄想が得意なんです。物語を自分でつくるタイプなので、心の中で作り込んでるんじゃないですかね。自分なりの「Melty Kiss」という作品を(笑)。