澤部渡のソロプロジェクトであるスカートが1月23日、メジャー2ndシングル「君がいるなら」をリリース。澤部は2016年にテレビ朝日系音楽番組『ミュージックステーション』でスピッツのバックバンドとして、口笛とタンバリンで参加し一躍脚光を浴びた。2017年10月にはアルバム『20/20(トゥエンティトゥエンティ)』でメジャーデビューし、その後も様々なアーティストに楽曲を提供するなど精力的に活動。近年は映画の主題歌や劇伴からドラマとタイアップ関連の制作も多数こなす。今作も俳優・大泉洋が主演する映画『そらのレストラン』の主題歌として注目を浴びている。極上のポップソングを作り出す澤部に、楽曲が生まれる背景やこだわりなど話を聞いた。【取材=村上順一】
人との繋がりの中で転がって出来たものを大事に
――スカートというプロジェクト名がすごく印象的なのですが、女性的なものへの憧れがあり、そこから付いたお名前なんですよね。
そうなんです。それで、漫画は少女漫画も読んだりします。男の子が読む漫画なら藤子・F・不二雄さんとかも好きです。『月刊アフタヌーン』(講談社から発行されている漫画雑誌)とかも好きで、サブカル的なものまで色々読みます。バランス良く読んでいるつもりなんですけど、女性作家さんのものに惹かれる傾向があります。
――女性作家のどういったところに魅力を感じたのでしょうか。
おそらく自分にない視点だったりだとは思うですけど、なぜかは分からないんです。そこに憧れがあるのかなとも思います。
――音楽にもそういった傾向がしっかり反映されていますよね。澤部さんの音楽はシティポップとも捉えられていますが、そこはどのように感じていますか。
シティポップとも言ってもらえていますけど、僕は普通のポップバンドだと思ってやっています。なぜかというと、シティポップは上手い人たちがやらないと成立しないと感じている部分もあって。なのでスカートにはシティは付かないかなと(笑)。
――澤部さんのソロプロジェクトでもあるスカートはメンバーチェンジもされていますが、バンドメンバーの選考基準みたいなものってあるんですか。
昔、冗談で良く言っていたのが、メンバーのイニシャルが全員Sという事ですね。澤部、佐久間(裕太)、清水(瑶志郎)、シマダボーイ、佐藤(優介)という布陣でしばらくやっていたので(笑)。
――潜在意識的にイニシャルがSの人を選んでいたのでは(笑)。
ないです、ないです(笑)。本当に偶然なんですよ。今出会った人たちも、友達みたいな感じで、こういう音楽がやりたいから、こういう人たちで、というのではなくて。僕の知り合いの中から一緒にやってくれそうな人を探した結果なんです。あと、僕には明確な目標というものがないんです。例えば、明確に「どこでライブをしたい」とか共通の目標を持つ人と一緒に音楽をやる人も多いと思うんですけど、僕はそういう感じではなくて、人との繋がりの中で転がって出来たものを大事にしています。
――人間性というものをすごく重視されているんですね。澤部さんは様々な楽器を演奏されて、1人で多重録音から音楽活動が始まったということですが、バンドでやってみたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
2010年に『エス・オー・エス』というアルバムを出した時に、ライブをやらないと人の目に止まらないなと感じて、ライブをしなければという気持ちになりました。その中で友達に声をかけてサポートを頼んだのが膨れ上がって今に至るという感じなんです。「やらなければならない」みたいな。
――自身の音楽を聴いてもらう方法として、澤部さんが音楽を始めた年代だとYouTubeなどの動画サイトも出てきていたと思うのですが、あまり興味がなかったんですか。
ちょうど僕の世代はそういったコンテンツの狭間の世代なんです。良いシステムが見つかった時には次の流れが来てしまうみたいな感じがありました。僕の時はMyspaceとSoundCloudの狭間で。Myspaceには自分も良く音源をアップしていました。
――CDやレコードという物についてはどのように考えていますか。
僕はCDのようなパッケージが好きで、レコードも含めてこだわっている部分なので大事にしているんですけど、最近はそれも必要とされなくなってきているのかなと感じている部分もあって、寂しさを感じています。