上野優華「今の私だから表現できることも」オムニバス映画のような“恋歌集”
INTERVIEW

上野優華「今の私だから表現できることも」オムニバス映画のような“恋歌集”


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年01月22日

読了時間:約14分

歌手・上野優華の今の表現力を象徴「I WILL LOVE」

――アルバム全体を通して時間の流れを感じます。「好きな人」から始まって「会いたくない、会いたい」や「嘘」「ユキノウタ」「空」など、恋の時間経過が分かる。収録曲も含めてどのように作ろうと思いましたか?

 私は歌詞も書いているんですけど、ラブソングが好きなので今回はラブソングをメインで作ろうというのが最初にありました。色んな恋をしている方が世の中にはたくさんいらっしゃるので、自分から出てきた言葉だけじゃなくて、色んなアーティストにラブソングを書いて頂こうというのが最初のきっかけで、それだけをイメージして作った1枚です。

――凄く幅広いジャンルがこのアルバムにはあります。曲が届いた時の印象は?

 私の中でチャレンジという意味では、原田茂幸 (Shiggy Jr.)さんに提供して頂いた「普通の恋がわからない」は、楽曲のポップさというのも、今までの上野優華になかったイメージの楽曲ですし、歌詞のテーマ的にも攻めた1曲なのでけっこうドキドキしましたね。今まで上野優華になかったノリをどう出していこうかというチャレンジをした曲です。

――提供された曲を表現するのは役者を演じるような感じもありますか?

 そこには区切りをつけていない部分がありまして。自分が曲を書いたから感情が特別乗りやすいというわけではなくて。それは芝居をやってきたからなのかもしれないですけど、どんな曲を頂いてもちゃんと主人公になりきって歌えるので。今回、色んな曲があるので、自分の中にある感情だけでは上手くまとめられない部分があったので周りの友達に「今彼氏はいますか?」とか調査じゃないですけど「そういうときってどういう気持ちなの?」ということを聞いたりしました。

――Sundayカミデさんが提供された「I WILL LOVE」が届いたときの感想は?

 凄くシンプルな曲だと思いました。寂しい曲だなと思ったんですけど、Sundayカミデさんのコメントで「形が変わっても愛したい、そんな想いを込めて書きました」という言葉を頂いて、寂しいと思っていたのは少し違うのかもしれないと。

 曲の受け取り方に正解はないと思うんですけど、書いた方にそういう想いがあって、色んな受け取り方があって、だったら私は寂しさ、自分が受け取った気持ちに素直になるのももちろん大切だと思うんですけど、それだけじゃなくて、男性目線ならではのラブソングの真っすぐな想いというのを歌いたいなと思いました。そこも自分になかった発想なので、周りの友達に話を聞いたりということをしましたね。「I WILL LOVE」はその人の人生の一瞬を切り取った歌だと思って私は歌っています。

 感情の起伏がとてもあるんですけど、その一瞬の中で想いってちょっと変わると思うので、その一瞬をどれくらい自分の歌声で出せるかという。大きな感情の流れがある訳じゃないけど、だからこそ伝わるものって絶対あると思ったので。「I WILL LOVE」はそういう曲なのかなと思います。

――少し話が外れますが、お芝居のとき台本を読み込むタイプですか?

 読み込まないです。台本を2、3回読んで覚えたらそれ以上は読まないです。セリフが入っちゃえば深読みしないようにしています。

――現場に行って衣装を着ないと役が降りてこない、ということもあるそうですが。

 私は「受けてどう出てくるか」という芝居をしています。普段は、今私が上野優華だからどういう返しをしなければいけないとか、考えないじゃないですか? あまりキャラを決め過ぎるのも良くないのかなと。衣装を着てある程度身なりが整えばその子になれると思っているので「受ける」ようにしています。

――相手の感情やセリフを受けて出てくるということですね。ライブなどでもそういった感じなのでしょうね。

 本当にそうです。ライブでも「私、こんな風に歌う予定じゃなかったのに」とか「こんなMCをする予定ではなかったのに」とか、そういうことがたくさんあるんですよ。だから凄く喋っちゃうんですけど(笑)。私がファンの方に向けた「Song for You」という曲があるんですけど、それも目の前にどんなファンの方がいるかによって歌の意味が凄く変わってくるんです。「これからもよろしく」と伝えるのか、「これからよろしく」と伝えるのか、それも変わってくる。芝居でも歌でも、目の前の方を見て自分からどういう言葉が出てくるのかということを凄く大事にしています。

――お芝居も生っぽいんですね。収録されている楽曲もライブ感を大切にした?

 しました。「I WILL LOVE」も自分が書いた曲とかも、何度も歌う訳ではなくて、レコーディングで録ったものが「私がこの歌に対するイメージなんだ、これでいこう」となって、そこからあまり歌い込んでいくということをあえてしない方が私は向いているのかなと思っています。今回は感情を第一に作りました。

――「I WILL LOVE」を録ったときはどういった感情でしたか?

 たまたま曲に合うエピソードを持った友達がいたんです。そのエピソードを凄く細かく、レコーディング当日の朝にLINEをして聞いて。「そんなに何年経っても今でも一番好きと思える人がいるんだ」と気付かされたりしました。

――歌い方に感情が凄く込められていますし、上野さんの歌唱力が見事に表れた曲だと思います。

 ありがとうございます。歌に感情が込められたのは、「なるほど」と納得がいくまで話を聞かせてくれたからだと思います。

上野優華「好きな人はあなただった」通常盤

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