上野優華「今の私だから表現できることも」オムニバス映画のような“恋歌集”
INTERVIEW

上野優華「今の私だから表現できることも」オムニバス映画のような“恋歌集”


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年01月22日

読了時間:約14分

今だから歌える「好きな人」

――デビューされて5年が経ちますが、振り返っていかがですか?

 「もう5年か」という気持ちもありますし、「こんなにやっていてもまだ5年か」という気持ちも正直あります。デビューから歌や芝居、声優など様々なチャレンジをさせて頂いて、その中で「自分らしい自分」をみつけ始めているところです。

 最初はボイストレーニングもしたことがなくて、どんな歌手になりたいかという目標も鮮明に描けていたわけではなくて。色んな経験をさせて頂く中で「自分はこういうことをやるのが楽しいんだ」と気付いていって。

 楽器に挑戦したり、ラジオで喋らせて頂いたり、色んなことをさせて頂いたからこそ、「今やりたいこと」をようやく見つけられている。この5年間は成長してきたといいますか「自分をつくってきた5年間」だと思っています。

――「自分らしい自分を見つけ始めているところ」とのことですが、あえて明確にはせず、いろんなことを挑戦していくなかで、作ってきたということですね?

 その通りです。あまり決めこみ過ぎると…そもそもそういう考え方は自分が好きではないというのもありますが、自分の可能性はまだまだ広がっていると思うので、決めこむとその可能性を閉じてしまうのではないかと…。自分らしさだけを追求していきたいというわけではなく、もっと広げて。でも、そこが凄く難しいところなんですけどね。

 私は15歳でデビューをしましたが、歌手と芝居が同時デビューでした。なので「どんな自分にもなれる」「どういう歌手にもなれる」「どんな役者にもなれる」というのが自分の強みだと思って頑張ってきました。

 ライブもそうですし、役者もそうです。そうした経験を得て、やっと歌える曲もある。例えば最近ではアコースティックライブもたくさんやっていますが、「アコースティックが似合う上野優華」というのもその経験があったから。そうした軸も私の一つとして見せていきたいとも思っています。

 ただ、色んなライブのスタイルをやってきたから、見えたものもあります。やっぱり、マイクを持って真剣に歌と向き合う姿も自分らしくなっていけるように頑張りたいなと。そういう意識が、「歌手としての上野優華」をステージで見せられるようになってきた証でもあるのかなとは思います。

――こうして曲を聴いていると表現方法が豊かになったと感じます。奥華子さんが書かれた曲「好きな人」も今じゃないと歌えないのかなとも思います。

 そうかもしれないですね。過去の曲もそうですが、発売当時と今歌う自分の声は全然違っていて、自分の経験が声の表現に出やすいタイプだと最近気付きまして(笑)今の良さが凄くあると思うんです。

 この曲は、自分の親友の好きな人を好きになってしまったという内容です。この歳になると、そういう方が身の周りに実際にいたりとか、そういう世代だと思うんです。これから歳を重ねて25歳になった時に歌う「好きな人」はまた違う深みが出てくると思うし。今にしかできない表現もあると思います。

――奥華子さんのコメントの中で「アルバムを聴いて、声をイメージしながら作った」とありました。

 こんなありがたいことはないと思います。デビューをする前から私は奥華子さんの曲が凄く好きで、デビューをしてからもアコースティックライブでカバーさせて頂いたりするくらい尊敬するアーティストです。

 今回、このアルバムを作るとなったときに、色んなアーティストに楽曲提供してもらえると面白いんじゃないかという話になって、その中でも特に「奥華子さんに曲を書いてもらえたら嬉しい」と話したんです。

 それでスタッフさんが相談させて頂いたところ受けて下さって。その日のうちに「好きな人」のサビが書けて、上野優華のイメージだけでこの曲を書いたと仰ってくれたので恐縮ですよね。デモを頂いた瞬間からこの曲が凄く大好きで、寝る前とかもずっと聴いていましたし、これからも自分にとって特別な1曲になると思います。

上野優華「好きな人はあなただった」初回盤

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