村上虹郎、体内に流れているのは「音楽」 あとから舞い降りてきた「映画」
INTERVIEW

村上虹郎、体内に流れているのは「音楽」 あとから舞い降りてきた「映画」


記者:桂 伸也

撮影:

掲載:18年11月19日

読了時間:約17分

音楽は「自分を形作っているものの一つ」

――先日、映画「『パンク侍』の舞台挨拶で、お父さんが綾野剛さんに「息子が綾野さんに褒めてもらって、ギターを買ってもらう約束をしたと言っていたけど、オレも欲しいな」という話をされていたと(笑)。

 言っていましたね。実はまだ剛さん、買ってくれていないんです。この前「今月か来月こそは!」と言ってくださって。

――お父さんはいっぱい持っているとも言われていましたね。

 オヤジは超コレクターなんです。もうめちゃくちゃいい、「この世界で一番良い」みたいなのを本当にいくつか持っています。GIBSONのものが多いですけど。

――ちなみに、綾野さんに買ってもらおうと村上さんが考えられているのは、どんなギターですか?

 剛さんがすごくひいきにしているというか、剛さんが気に入っているというところがあるそうなんです、「TAYLORの秘密基地」があると(笑)。「その秘密の場所に行くと、見たことの無いTAYLORが並んでいるから、そこに行こう!
と剛さんに言われていて(笑)。

――秘密基地ですか? 非常に興味深いですね。また村上さんは、ドラマ『仰げば尊し』で、最初の頃はバンドでギターを弾く役だったり、その後の映画でもギターを弾いたり、わりと役柄でギターを弾かれた経緯がありましたが、プライベートでも?

 もともと弾くことはありましたね。でも最近は全然弾いていなくて…俳優業に専念しています。

――そうでしたか。でも弾かれていたんですね。

 そうですね。でもボクはバンドを組んだことが無くて…やっぱり転々としていたことも多かったし、あまり集合体が好きでないというか。集団行動が苦手だったので、一人で黙々と家で、同じ曲をずっとやっていました。

――聴くほうはどうでしょう? 普段から音楽は、結構聴かれていますか?

 聴きます、呼吸するように聴いています。もともとそうなんですけど。

――お母さんがミュージシャンで、お父さんが役者でという家系に生まれた中で、ご自身は役者を選んだという経緯は、何か理由があったのでしょうか?

 理由付けはいくらでもできるんですけど…(笑)ただ逆にオヤジは映画が好きで、映画界にいますけど、音楽も大好き。母親はもともと歌も好きだけど、映画が大好きなんです。UAになる前に、イメージフォーラムで一年間、演劇の勉強をしていましたから。それで、スカウトされてUAになったんです。だからお互いに実はルーツが逆、みたいな部分もあって。

――ではお父さんとお母さんの間には、まあ夫婦だったから当然かもしれませんが、もともとそういったボーダーは無かったと?

 そうですね。だから、どっちも音楽も映画も愛しているタイプ。職種としては俳優と歌手だから、全然違いますけど。だから僕の気質はわりと音楽、自分が育った環境は音楽だったので、映画はほとんど無かったんです。学校がそもそもメディアが禁止で、映画というものは禁止、情報社会に触れるな、という環境だったので。

 触れたことがあったのは、本当に“宮崎駿作品”くらいだったんです。もちろんそこに入る前までには、『トイ・ストーリー』とかは見ていましたが、ディズニーには触れたことは無かったです。物心をつく前に、ジャッキー・チェンと黒澤明だけは見て(笑)。王道だけはちゃんと見ているんです。そこから、一回中学生くらいのときに、J-POPというか、J-エンタメ的な映画を見始めて、映画館に『BECK』を見に行ったり、ドラマで『SPEC』シリーズを見るとか。さらに『NARUTO』が大好きな子だったんです。

――では、心の中にはずっと音楽が残っているということで、将来的にはたとえば歌ったりする機会も、可能性としてはあるのでしょうか?

 それはどうでしょうか? わからないですね。ただ、今僕が歌わない理由は単純に「これを世の中に発信したい」という、強い思いが無いからなんです。それがあったら、俳優じゃなくて歌を歌っているはず。でもやっぱり俳優は、人の言葉の中で生きるものだと思うので、今はそのほうが楽しいです。

――なるほど。一方で村上さんにとって、音楽とはどんなものでしょう?

 何だろう?“体の中に流れているもの”ですかね?

――血液みたいな?

 血液とまでいってしまうと、ミュージシャンじゃないから、となっちゃいますけど…でもそれくらいの存在ではあります。僕の中では、映画のほうが後から自分に舞い降りてきたもので、映画は体外、音楽のほうが体内にあるんです。

――では、自分を形作っているものの一つだと?

 そうですね、完全に。だからこそ音楽を仕事にしたくないという思いも、あると思っています。

村上虹郎

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(おわり)

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