田村芽実、本田美奈子.さんの衣装で熱唱 本田さんを「生きる」
本田さんの衣装で歌う田村
田村芽実が3日、都内で開催された、コンサート『2018 LIVE FOR LIFE「音楽彩」~生きる為に生きる~』(NPO法人リブ・フォー・ライフ美奈子基金・主催)に出演。本田美奈子.さんが生前着ていたという衣装で「1986年のマリリン」を歌った。
2005年に白血病のため亡くなった本田美奈子.さんを偲んで毎年開催されているコンサート。本田さんの遺志を継ぎ、白血病や難病で苦しんでいる人々を支援するため、生きる喜びや勇気、感動を伝えることをテーマに開催され、今回で14回目を迎えた。
田村はこの日、2曲を披露。最初の出番はセットリストの4曲目。ミュージカル『ミス・サイゴン』から「命をあげよう」を届けた。息を飲むような迫力の歌声で曲の世界観を見せていく。落ち付きのある低音に、天まで突き抜けるような高音。場内を揺るがすような声量。終盤に訪れる休符を置いてからの<命をあげよう>は鬼気迫り、恐怖をも感じさせるほどだった。歌一つで物語を映し出すかのような表現力があった。
歌い終えて、早見優とのトーク。先ほどまでの迫力とは異なる健気な、愛くるしい人柄をのぞかせる言葉。この曲については「美奈子さんは、舞台上では『演じない、生きるんだよ』と言っていらしたと聞いていたので、その気持ちをメロディに、歌詞に乗せて歌いました」と語った。
再び田村が登場したのは終盤の25曲目。Shinziroが「STANDA UP」で口火を切った“美奈子メドレー”の2曲目。歌は「1986年のマリリン」だ。この日、出演予定のなかったヒロミの紹介を受けて登場した田村。「命をあげよう」とは打って変わってロックテイストなナンバー。田村も先ほどまでは異なる表情を、歌声、そして振付で見せる。体内に宿す熱を解き放つようにアグレッシブに歌い、踊った。
田村の歌唱力は以前から定評があった。過去には『minakoー太陽になった歌姫-』で、本田美奈子.さん役も演じている。当時は「大好きな本田美奈子.さんの役を演じるということに、まだ夢を見ているよう。今日から5日間しっかり『本田美奈子.』として強く生きたいと思います」と語っていた。
この日の田村は、本田さんの人生を生きているかのような、雰囲気があった。“田村が歌う曲”ではなく、曲ごとに声、表情が変わっていた。アイドルとして生き、ポップスやロックを歌い、そしてミュージカルに傾倒した本田さんのそれぞれの時代を生きているようでもあった。
早見優と松本伊代は、コンサート前におこなった取材会で、「本田美奈子.ちゃんの歌や思いを若い世代にも紡いでほしい」と語っていたが、田村は若手の継承者の一人であることを、このコンサートで証明したと言える。
本田さんの歌、そして思いはこの日、出演者の歌声に宿した。田村はそのなかの若手にあって、その一人としてしっかりと受け継いだ。【取材・撮影=木村陽仁】