気持ちさらけ出すのに小細工いらない、遊助 直球ラブソングで見せる恋愛観
INTERVIEW

遊助


記者:桂泉晴名

撮影:

掲載:18年11月01日

読了時間:約12分

 遊助が10月31日、シングル「俺と付き合ってください。」をリリース。9月に全国ツアーを終えたばかり。2016年11月の「凛」以来、シングルでは聴き手へのエールを込めた応援歌が多かった彼だが久々に恋愛を扱ったナンバー。今作はラブソングの中で、とくに遊助が難しさを感じるという片思いを描いている。収録曲には、遊助独特の世界観を描く「美女の野獣」や、世の中の流れに対する疑問を呈した社会派ソング「Voyager」などバラエティ豊かな作品となった。ツアーの影響も大きかったというこの新作について、さらに来年おこなわれるデビュー10周年ライブへの意気込みも語ってもらった。【取材=桂泉晴名/撮影=片山拓】

気持ちをさらけ出すのに小細工はいらない

遊助(撮影=片山拓)

――これだけストレートなラブソングを、今このタイミングで作られたのは、なぜでしょうか?

 最初はスタッフの人たちから、「久しぶりにラブソングはどう?」ときっかけを頂いたんです。確かにアルバムやカップリング曲ではラブソングはあるんですけど、最近表題曲ではやっていなくて。毎年この時期はツアー中だから、目の前の応援してくださっている、会場に足を運んでくださっている人たちへの応援ソングが多かった。でも、今回はそういった目線での曲を作ってもいいかなと思い、こういったナンバーになりました。

――詞は好きな女性に向けての内容になっていますが、遊助さんの中ではツアーで出会った人たちの顔が浮かんだんですね。

 そうですね。すごく想像しましたし、ライブに足を運んでくれる人の中には、男性もたくさんいるので。そういう男の人たちの何かのきっかけになったらいいな、と。日常の一コマを切り取って、自分の気持ちが入りやすいようなメロだったり、歌詞だったりにするよう、心がけています。

――今回の歌を作る上で、特に気にされたことは?

 ラブソングの中でも、片思いはすごく難しくて。一歩間違えると気持ち悪い人になってしまうので。そこをちゃんと相手のことを思いやりながら、抑えきれない気持ちを「歌だからあなたに告白します」という、自分勝手な行動かもしれないけど、どこか可愛らしくて、少し紳士であり…。そこまで相手には迷惑をかけていないような男の人を表現したいなと思いました。

――遊助さんのラブソングは、以前のシングル「みんな頑張ってる」のカップリング「僕だけのlove story」のお話のときも感じたのですが、「相手は気持ち悪く思わないかな?」と、コミュニケーションの取り方を慎重にあつかっていますね。

 ラブラブなカップルの話とか、「付き合って何年だね」「いつもお前には迷惑かけて、ごめんな」みたいな歌詞だったら、「そういうカップルなんです」と言えるけど、片思いとか、告白は相手がどう思っているのか、まだ分からない状態での物語を書かなくてはいけないから。その思いをどういう風に表現していくかは、とてもデリケートなところで。言葉にしたり、文字に起こしたりすると、違和感が出てしまうところはたくさんあるので。

 ラブソングというカテゴリの中でも、片思いや告白は、自分の中で特別に気をつけなくてはいけないと思っています。もちろん、どの曲も気をつけることは各セクションあるのですが、特に片思いや告白は自分勝手なことを言葉にして声に出すから、聴く人によっては「気持ち悪い」となってしまうかもしれないし。主人公の男の子が悪者になっても嫌ですし。

――ちなみに、この直球のタイトルはどのようにして決めたのでしょうか?

 「これしかない」という感じでした。カラオケで告白するときもそうだけれど、最初にボーンとタイトルが出てきたときに、「え?」となるようにして。自分の気持ちをさらけ出すのだから、「最初からぶっちゃけよう」みたいな感じですね。告白するという行為が、勝手に相手に対してボールを投げることだから、そこで小細工する必要はないと思って。

 「本当に自分勝手でごめん。でも君のこと好きになっちゃったんだ」と言って、そこで結果がよかったらいいけど、悪かったら悲しいことだし、相手にも嫌な思いさせる。ある意味すてきな行為でもあり、逆にボールを投げて「はい。あと私はもう知らない」と、どこか無責任なことだから。それを、たとえば「チョコレート」とか「誓い」とかいったタイトルにするのは違うかなと。「別にひねる必要ないでしょう」と思って、最終的にこういったタイトルになりました。

――この曲はすでにツアーで披露されていますが、お客さんの反応はいかがでしたか?

 「ラブソング」と言ったときの皆さんの声と、タイトルを言った時「ギャー!」と言う声が印象に残っています(笑)。でも、歌っている途中に泣いている人たちもいましたね。ライブに来てくれる人たちの顔を想像しながら作ったから、みんなすてきな表情を見せてくれました。曲によっては、歌えば歌うほど変わってくることもあるし。これもたぶんそうなってくると思います。

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