渡辺大ら

 渡辺大、出合正幸、内野謙太、竹島由夏、伊藤つかさが20日、都内で開催された、映画『ウスケボーイズ』公開記念舞台挨拶に登壇した。この日はメガホンをとった柿崎ゆうじ監督も出席した。

 本作は、第16回小学館ノンフィクション大賞を受賞した河合香織さんのノンフィクション作品『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』が原作。日本製ワイン「桔梗ヶ原メルロー」を生んだ醸造家・ワイン評論家の麻井宇介さんの思想に感銘を受け、ワイン作りの道を進む若者たちの姿を映す。ワイン作りの道を志す若者を渡辺、出合、竹島、内野らが担当、伊藤は本作のキーパーソンとなる麻井の娘役を演じ、他にも麻井を演じる橋爪功や安達祐実、和泉元彌、枡毅、大鶴義丹ら豪華キャストが名を連ねる。

映画に込めた希望「日本のワインの普及につながっていけば」

 渡辺は、映画の公開初日を迎えた喜びを語りながら「日本のワインというものが海外の方にも興味を持っていただき、海外の方も日本のワインを飲まれていくという風になっていくのでは。映画を作って終わりでなく、国産のワインが作られていることを発信することで、僕としては日本のワインの普及につながっていけばと思っています」と映画に込めた希望を語る。

 本作は先立っておこなわれた『マドリード国際映画祭2018』で5部門にノミネートし最優秀外国語映画作品賞、最優秀外国語映画主演男優賞、『アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭2018』で最優秀監督賞、最優秀主演男優賞と、海外の映画祭で4冠受賞を達成している。

 さらにイタリアのミラノで開かれる『ミラン国際映画祭2018』でも5部門にノミネートと、海外の映画祭で快進撃を続けている。この快挙に柿崎監督は「40カ国ぐらいの映画製作者がこのイベントには参加しているんですが、そんな中でこの映画を理解いただけたというのが嬉しかったです」と、その喜びを語る。またこのワインの本場での評価に対し渡辺も「本当に本場ですからね。この映画が向こうの方に、ドスンとはまってくれれば嬉しい」と、さらなる希望を語っていた。

恩師への感謝の思い、そして仲間への感謝の思い

 また、この日は映画のストーリーにちなみ「人生の師匠」を問われると、渡辺は「2人いた思います」と答え、1人に子供の頃からお世話になっていたという俳優の津川雅彦さんの名を挙げ、現在俳優として活躍していることもそのおかげと語る。さらに2人目として、10歳くらいの頃に乗馬を教わった先生を挙げる。「10日間くらいの合宿で学んだんですけど、怒鳴られて、がなられて。(当時は)きつくて帰りたくなったけど、今俳優をやって行く中で乗馬ができるというのは、本当に大きなスキルになるし、そんな基礎を叩き込んでくれたのはありがたかったです」と当時を振り返る。

 そして故人となった2人を偲びながら「(天から)“まだまだだな”と言われた方が頑張れるので、そう言っていてもらえれば」と、謙虚な姿勢とともにその想いをはせていた。

 出合は、小学校のときに世話になったという学童保育の係員を挙げ「40歳になって大学に行き、42、3歳で教員免許を取ったというぶっ飛んだ人なんですが、そこで和太鼓を教わったときに“自分で行動する”ということを教えてもらっていました。そこで身に着けたことが、今のベースになっています」と自身の行動のベースとなった幼い頃の強い印象を回想する。

 また内野は、今回映画で競演を果たした橋爪を上げ「間近で見せていただいたことで、憧れる部分が沢山ある。本当にカッコいい。緊張感もあったけど楽しかったし、緊張しないように気配りとか優しさも見せていただいて、本当に嬉しい時間でした」と貴重なひと時の思い出を振り返る。

 そのとき渡辺は「(僕ら3人の)若手の役者は、それをびんびんに感じましたね。(橋爪さんが言われたことが、)役に対して言っているのか、俺らに言っているのかわからない感じというか」と内野に同調して橋爪との共演に感動した様子を回想、すると内野は「俺よりしゃべるなぁ…」と少々驚いた様子を見せ、笑いを誘っていた。

 さらにこの日は「仲間がいてよかったと思う瞬間」をたずねられると、渡辺は「友達がいない僕にそれを聞くのは、酷なことでは…」とジョークを語り会場を沸かせながら「作品を通してこういうメンバーに出会ったこと」とコメント。撮影から1年が過ぎた現在でも、作品を作っているときと同じような関係が続いている喜びを実感しながら「本当にワインがもたらした縁ですね」とその思いを明かす。

 同じように竹島も、クランクイン前に劇中で披露されるようなワインの試飲会を、出演者、スタッフで度々おこない絆を強め合っていたことを振り返りながら「一丸となって作った、ということをすごく感じる」と、現在の思いを感慨深く語る。また伊藤は「昔からの同級生とかに久々に会ったりすることがありますが、優しい言葉だけでなかったり、厳しいことも言ってくれたりするので、すごく大事だと思っています」と仲間との様々なつながりに思いをはせていた。【取材・撮影=桂 伸也】

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