左から伊藤つかさ、内野謙太、渡辺大、出合正幸、竹島由夏、柿崎監督

 俳優の渡辺大が主演を務める映画『ウスケボーイズ』の特別完成披露が2日、都内でおこなわれ、渡辺と、共演の出合正幸、内野謙太、竹島由夏、伊藤つかさと、メガホンをとった柿崎ゆうじ監督が登壇。渡辺は自身が感じた日本のワインの魅力を語るとともに、撮影に向けての取り組みなどを振り返った。

 本作は第16回小学館ノンフィクション大賞を受賞した河合香織さんのノンフィクション作品『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』を原作として描かれた映画で、日本製ワイン「桔梗ヶ原メルロー」を生んだ醸造家・ワイン評論家の麻井宇介さんの思想に感銘を受け、ワイン作りの道を進む若者たちの姿を映す。ワイン作りの道を志す若者を渡辺、出合、竹島、内野らが担当、伊藤は本作のキーパーソンとなる麻井の娘役を演じ、他にも麻井を演じる橋爪功や安達祐実、和泉元彌、枡毅、大鶴義丹ら豪華キャストが名を連ねる。

日本のワインの良さを実感

 柿崎監督がこの作品を作ろうと着想したのは、2年ほど前。日本のワインに触れその味に見せられた後に、原作小説と出会ったことからこの作品を作ることを決意したという。一方で俳優陣がワインの魅力に触れたのはクランクインする2~3カ月ほど前、日本のワインについて勉強会が開かれたことが最初だったという。

渡辺大

 そのときのことを渡辺は「フランスやイタリアのメジャーどころは知っていたけど、国産ワインがこんなにあるというのは、監督から紹介してもらって初めて知りました。でもこれだけだけいいものがあるということを知ってからは、ワインのことをもっと広く知ってもらいたいと思っています」と熱く語りつつ「日本でも、日常的に(日本のワインを)飲む文化が定着していけばいいなと」と“日本のワイン”をアピールした。

 また伊藤も「皆さんと一緒にお勉強していただいたんですが、20代の頃にいただいていた日本のワインは甘かったり、あまりいいイメージがなくて。でも今、こんなにおいしくなっているんだ、というのをすごく実感しました」とその良さを実感したひと時を回想しながら「今はおいしい日本のワインが育ちつつあり、世界にも紹介されるようになってきています。だから私もこれから10年、20年と年をとっても、それを飲めるような体力を作っていこうと思いました」と語り、会場を沸かせた。

出合正幸

 本作は『マドリード国際映画祭2018』で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞を受賞。さらに『アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭2018』で、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞を受賞と4冠を獲得して注目を集めている。渡辺は、マドリードでの賞の発表を振り返り、スタートから発表までが長く、かつ初めてのスペインで浮き足立っていたことから、発表前にかなりのワインを飲んでいたことを回想。そんな中での受賞に関して改めてその感想として喜びを表しつつも「ただM-1の優勝みたいに、次の日からすごく仕事が増えたりというわけでなく、日々粛々と過ごしております」などとコメントし笑いを誘っていた。

渡辺の「チャレンジしたいこと」は、ワインエキスパートとM-1?

 渡辺らは撮影に入る前に、ストーリーに登場する実在の人物と対面し、それぞれの役柄に対する性格を掴んで撮影に望んだ。竹島はそんな中で、実際に収穫の手伝いを行うような経験もしたことを明かしながら「いつの日か、自分のワインを作ってみたいなと思いました。その方も夢を持ってワイン作りを頑張っていて、そんな気持ちを共感しましたし」と、役作り以上の大きな影響を受けた様子を振り返る。

内野謙太

 一方、撮影は実際に使用されているブドウ畑でおこなわれたが、虫除けスプレーすら使用が禁止されるほどデリケートに管理されている畑だけに「監督は“葉っぱに触って欲しい”とか言われるんだけど、(葉や茎に)触っていいのか、またこの畑を、歩き回っていいのか…」と不安な気持ちだった当時を振り返る出合と同様に、皆一様にブドウ畑の撮影は緊張の連続だったという。

 竹島も「7月の撮影でちょうど葉っぱが伸び盛り。きれいな緑が本当に美しくて。だからその中で葉っぱに触るとか、本当に怖かったです。“少々触っても大丈夫”と言われながらも力を入れないようにとか、そんなところは苦労しました」と大変な撮影を振り返る。しかしそんな役者陣に対して渡辺「意外とこう言いながら、本番ではズケズケと触るんですよ、みんな」などと語り、会場を沸かせる。

竹島由夏

 また作品では、日本のワインがここまで大きく評価されるに至った立て役者である麻井さんの言葉「教科書を、破り捨てなさい」というキーワードが、大きな意味を持つ言葉となっているが、このワードにちなんで「既存の考えに捕らわれず、チャレンジしたいことは?」と司会者からたずねられると、渡辺は「M-1で優勝とか、そんなことですかね?」などとコメント、笑いを誘いつつ「この作品で良い縁をいただいたし、これからもそのつながりをつむいでいきたいので、ワインエキスパートとか獲ってみたいなと」と意気込みをコメント。しかし「実現するかは、追及しないで」と少し気弱な思いを続けると、内野が「何ヶ月以内?」などとツッコミを入れ、笑いを誘う。

 その内野は「さっき大さんが、楽屋で高級ブランドのカバンを使っているのを見て思ったんですが、主演男優賞を僕も獲って、そういうものを使ってみたいなと」とおどけるように告白、渡辺より「そういう言い方をしないでくだいさい!」と突っ込まれ、爆笑を呼んでいた。

伊藤つかさ

 また出合は「“台本を破り捨てる”役者になろうかと。僕は今、台本がないとやれない役者なので…」と思い切って豪語、しかしそこに渡辺が「それは力で破るのでしょうか?」などとボケを入れ、さらに笑いを誘っていた。【取材・撮影=桂 伸也】

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