歌手でタレントのりゅうちぇる(歌手名義=RYUCHELL)が、渋谷ダイバーシティエバンジェリストに任命。その任命式が8日、東京・青山学院大学でおこなわれ、長谷部健・渋谷区長から任命パネルを受け取った。

 今回の任命は、既成概念にとらわれることなく常に前向きに取り組むりゅうちぇるの姿勢がソーシャルイノベーションに重なり、ダイバーシティとインクルージョンを目指している渋谷区の将来像と合致することから。

長谷部健・渋谷区長

 長谷部区長は「渋谷区は『違いを力に変える渋谷区』ということを20年先のビジョンとして多様性やインクルージョンを推進していく街づくりの原動力をしていくことを進めている。政策も大切ですが社会的なムーヴメントに共感してもらったり、同じような目線で皆に考えもらうことが大事です。りゅうちぇるさんは若くして父親であったり、ファッションなどを通じて自分の有り様、自分に信念を持って生きている姿は、多くの若者や若者に限らず共感を得ている。そのりゅうちぇるさんが、渋谷区でダイバーシティ、多様性というものを多分に進めていく大きな原動力として活躍して頂けることがありがたい。一緒になって空気を作っていきたい」と期待を寄せた。

 そのりゅうちぇるは、幼少期から「普通」の男の子像と違う自分に悩んでいたが、個性を受け入れてくれる「原宿」に上京したことをきっかけに、自分らしく生きることを決意した経緯がある。「今は自分らしく生きていて本当に楽しいし、お仕事にも繋がって、運命の人とも出会えて。幸せな毎日を送れているからこそ、いろんな枠に捉われなず自分らしく生きる事の大切さ、素晴らしさを伝えていきたかったので、このような任命を受けて嬉しいです」と語った。

りゅうちぇる

 その運命を変えた原宿。「日本にもこういう街があるだと当時感銘を受けました。個性的な人が沢山いて、そういう人がいても『原宿だもんな』と許される。それが『原宿だからOK』だけでなく、他の街にも広がっていければ。僕の子供、この先2人目、3人目が出来たときも皆でノビノビと自分らしく生きていけるような街になったら」と期待感を示した。

 他方、多様性は、自身と意見あるいは考え方が違う人を認めることが重要とされる。りゅうちぇるは「個性的な事や行動に対して、地味な人や白と黒を着ている人は個性がないのかと思われることもある。僕はそれぞれ自分の考えを持っていて良いと考えています。僕がする言動や行動に色んな人が言うかもしれない。でもその意見も大切にしたい。僕が伝えたいことは、色んな人に何か言われても自分の道を行ってほしいということ。皆が皆それぞれの生き方をしてほしいし、それぞれの生き方ができるような社会になれたら」と見解を述べた。

 なお、長谷部区長、りゅうちぇるともに挨拶の冒頭で、北海道地震の被災者を心配する言葉を述べていた。このなかでりゅうちぇるは「台風21号、北海道地震、凄く怖かったと思います。僕のSNSにも沢山コメントを頂きました。とても怖い気持ちになりながらも前を向いていこうとする姿は格好良いと思います。一緒に前を向いて頑張っていこうと伝えたい」とエールを送っていた。

 今回の式典は、日本財団と渋谷区が企画・開催する、多様な未来を考えるイベント『SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2018』(9月7日から17日、青山学院大学や渋谷ヒカリエほか)内でおこなわれ、りゅうちぇるは式後、日本財団イノベーションフォーラム分科会『性別ってなんですか?』に登壇した。【取材・撮影=木村陽仁】

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