DOBERMAN INFINITYのMCとして活躍するSWAYが29日に、1stアルバム『UNCHAINED』をリリースする。昨年11月にシングル「MANZANA」でソロデビュー。約10カ月の時を経てリリースされる今作は、これまで彼が「一緒に曲を作りたい」と話していた音楽仲間が多数参加。ヒップホップの王道ナンバーをはじめ、背中を押すさわやかな楽曲や、人間の内面に迫った作品など、タイトル通り何かに束縛されるのではなく、実に自由で多彩な内容の一枚となった。「チャレンジ要素のある制作だった」とする今作への想いを聞いた。【取材=桂泉晴名/撮影=冨田味我】
歌うことの楽しさを再認識できたボイトレ
――メジャー1stアルバム『UNCHAINED』はSWAYさんにとって「チャレンジ要素のある制作だった」そうですが、どういった点がとくに挑戦だったと思われますか?
僕はもともとあまりNoと言わない性格なので、チームから「こういう曲にチャレンジしてみようよ」と言われれば、「ぜひやってみたいです」となんでも受けていたんですね。でも今回は、今までにはやったことのない挑戦がたくさんありました。たとえば自分の出せる範囲以上のキーの曲に出会ったり…。なかにはスケジュールもパンパンになっていた時の制作もあったので、喉の調子をコントロールするのも大変だったんです。だからダメージの受けない喉を作るために、ボイトレをしっかり受けました。
ボイトレは、デビューシングル「MANZANA」と今回のアルバムでボーカルディレクションを担当してくれたSWEEPくん、というシンガーにお願いしたこともあって、レコーディングでしっかり反映されるボイトレになりました。「SWAYはこういう部分が苦手だから鍛えよう」というトレーニングもできたので。二人三脚でSWEEPくんに自分の歌を伸ばしてもらえたのは、すごく大きかったです。何よりも、歌うことの楽しさを教えてもらいました。
――「UNCHAINED」というタイトルはどうやって決まったのでしょうか? アルバムには同名のナンバー「Unchained」が8曲目に収録されていますよね。
DOBERMAN INFINITYは鎖をイメージしたデザイン画があって、自分たちもそれをメインで置いているんです。だからこそソロを「UNCHAINED」というタイトルにするのはおもしろいな、という思いがありました。あと「Unchained」という曲がタイトル曲と思われても本当におかしくないぐらい、僕を含めて、Def Jamチームで「めちゃめちゃいい曲だよね」と刺さったので。いい響きだしアルバムタイトルにしましょうと、満場一致で決まりました。
――「UNCHAINDE」はメッセージ性が強く、静かな情熱があります。
札幌でラップをやっている時から、JIGGくん(トラック・メイカー)にずっと曲を作ってもらいたくて。ようやく自分もメジャーの舞台に立てたし。最初はワイヤレスというテーマで曲を作りたいと彼にテーマを渡したら、最近、LDH MUSICに新しく入ったラッパーのSALUくんとJIGGくんでタックを組み、「Unchained」という名前で仕上がってきて。そのマイナーチェンジがすごく「ナイス!」だと思ったんですよね。ワイヤレスというテーマの時は、「見えない絆で繋がっている」というのはあったんですけど、「Unchained」は逆に繋がれてないというのが、すごくおもしろいなと思って。そしてサビに強いメッセージを感じるし、サビが終わってからのバースのところ、“ついにこの日が来た”というのは、自分が強く思ってきたスタートというか。今までの我慢がドン!と解放されたようなサビ感もいいし。この曲を歌い終えてから、本当に強くなれた感じがするんです。この曲自体がおまじないなんじゃないか、と思うくらいですね。
――この曲の<空飛ぶ鳥の上空を飛ぶシルエット>というフレーズは、SWAYさんの姿と重なりました。
SALUくんの歌詞の世界観は、彼ならではですよね。「MANZANA」のシングルに収録されていた、「Lullaby」もすごく素敵だなと思って歌わせてもらいましたけれど、今回の「Unchained」で、もしかしたら自分とSALUくんとは相性がいいんじゃないかな、と思って。歌っていて気持ちものせやすかったし、SALUくんが書いてくれた言葉なんだけども、自分が言いたかったことでもあるし。すごく感謝してます。
――「Unchained」と共通しているなと感じたのが「×××feat.AK-69&HIROOMI TOSAKA」です。このタイトルはどう読むのでしょうか?
エックスです。トリプルエックスと思いきや(笑)。
――この曲の最初のパートに“俺は何ものにも囚われない”とあったので、「Unchained」と近いなと。
この曲はAKさんに書いてもらいましたけど、AKさんは多分、まだ「Unchained」を聴いたことはないはずなんです。
――え! そうなんですね。
この一ラインを見た時に、僕も「すごい! このリンク性はヤバい!」と思って、気持ちがアガりました。僕は以前からAKさんとやりたかったんですけれど、もっと先のことだと思っていたんですよね。でもAKさんの方から、「SWAY、アルバムになんで呼んでくれないの?」と言ってくださって。「え、呼んでもいいんですか?」みたいな(笑)。こちらから言いづらいことを察知してくださったのかなと思って、本当にありがたかったです。
そして登坂(広臣)くんとは同い年で、「なにか一緒にやろう」とずっと言っていて。タイトルの「XXX」はAKさん、登坂くん、僕の3人という、ありえなかったコラボがクロスした瞬間として、まず1つ目のX。そして自分がアルバムをリリースして、これから0から10に進んでいく、その10という英数字の X。さらに自分が理想のアーティストになれたそのゴール地点の XデーのX。
……ということで、3つのXを並べています。そのテーマを AKさんにお伝えしたところ、この歌詞ができ上がってきたんです。今回の曲はAKさん節がたくさん入っていて。自分のラップの部分でも、「これはAKさんが歌っているイメージができるな」というところがすごく多くて、逆に自分がやらせてもらえるのは、相当スペシャルなことだと思いましたね。
――3人の声の対比もすごかったですね。
最後の部分もそうですし、あと後半の“ほら描いてきた通り”というラインとかも3人で歌ってるので。こういうコラボ感はこの曲でしか聞けないと思うんです。相当レアな1曲になったかなと思います。
――美しさもある曲ですよね。
登坂くんの最初の息を吸う音が入ってるんですけど、息を吸うところから声がボン! と出る一発目がすごい綺麗だなと思って。同性ながら、美しさに惹かれましたね。