SWAY「もう一回攻めていこう」3年半ぶりのソロアルバムで見せた気概
INTERVIEW

SWAY

「もう一回攻めていこう」3年半ぶりのソロアルバムで見せた気概


記者:村上順一

撮影:

掲載:22年03月18日

読了時間:約11分

 DOBERMAN INFINITYのメンバーであり、俳優業やデザイン業なども行いながら、活発に活動するSWAYが16日、ソロとして『UNCHAINED』 より3年半ぶりとなるフルアルバム『Stay Wild And Young』をリリース。「チョコレート」や「ON FIRE」など既に配信されている人気曲に加え表題曲「Stay Wild And Young」や「Life Coaster」など、この3年半で作り上げられた新曲6曲を含む全12曲を収録。「自分のケツを叩くようなアルバムにしたかった」と語るSWAYにアルバムに込めた想いを聞くとともに、いま追求していることや上京した時の思い出を振り返ってもらった。【取材=村上順一】

より一層音楽が好きになった

『Stay Wild And Young』通常盤ジャケ写

―― 3年半振りのフルアルバムですが、この期間はいかがでしたか。

 期間としては空いてしまいましたが、勉強させていただいた、実りのある3年半でした。

――当初考えていたアルバムとは変わった部分も?

 変わりました。その変化は良い方向に行ったと思います。『UNCHAINED』をリリースしてワンマンライブも行いました。その時に「チョコレート」を披露して、それが今作に収録されているので、しっかり繋がっていて。その後も「Angels」や「ON FIRE」などシングルをリリースしていたので、アルバムに向けて作っていました。「ASOBOW」、「SEXY」、「Life Coaster」は前からできていた曲ではあるんですけど、今作に収録するとなった時に、当時の自分と今の自分のレベルの違いもあって、より良いアプローチが出来たと感じています。特に2021年でより一層音楽が好きになりました。音楽を人生のメイン軸に置きたいと思いますし、音楽がなくなっちゃうと何したらいいのかとなってしまうくらい。それを大事に守っていくという気持ちと、攻め続けることの重要さというのを、コロナで気づかせてもらいました。

――今も続いていますがコロナ禍で、厳しい2年間だったと思います。

 そうですね。でも、DOBERMAN INFINITYや俳優の活動もあったので、凹んでいる時間というのはほとんどなくて。逆に良い出来事があってもそれに浸っている時間もなかったくらいでしたから。2020年はコロナ禍で一旦ストップしたというのは、自分の中で整理整頓が出来たというのは大きかった。改めて振り返ることが出来て、DOBERMAN INFINITYで武道館、アリーナにも立ったんだ、とか。写真フォルダを見返すと色々やっていたんだなと感慨深くて。

――プライベートでもけっこう写真は撮られるんですか。

 僕の場合、忘れないために撮っていたりします。失くし物をした時に自分はそれをどこまで持っていたのか、と写真を辿っていくとちゃんと見つかるんですよ(笑)。

――すごく実用的な使い方をされているんですね! さて、「Stay Wild And Young」は頭文字を読んでいくとSWAYになっているんですね。

 そうなんです。これはもともとファンクラブの企画で、SWAYのSとWとAとYの文字を使って何かできないかというのがあって。2020年末頃だったと思うんですけど、その時に「Stay Wild And Young」という言葉が思いついて、「これはどこかで使えるな」と思いました。そこからずっと温めていたんですけど、今回アルバムを作るにあたってタイトルをどうするかとなった時に、この「Stay Wild And Young」で行きたい、とスタッフに伝えて。

――ということは、このタイトルありきで表題曲も作られた?

 「Stay Wild And Young」のラップ部分は、ライブのオープニング用に作っていたものです。最初の語り部分というのは今回作り直したのですが、他はその時と意識が変わっていなくて「Stay Wild And Young」という言葉と当時のリリックがしっかりリンクしていました。

――ある種の決意表明みたいな感じにも僕は感じました。

 2012年にインディーズで『THE S』というアルバムをリリースしたのですが、その時にも決意表明みたいなこと書いていたんですよ。それを今回この「Stay Wild And Young」の語りパートを作る前になんとなく思い出したので、改めてリリックを見てみたら、今の気持ちと変わっていなくて。

――初志貫徹ですね。

 その時はなんとなく一人で始めた音楽がいつの間にか周りに友達や仲間ができて、その仲間が応援してくれるようになった。応援してくれることによって僕も前に踏み出せるし、自分が何を返せるのか、と考えた時に絶対でかくなることしかないと思っていて。その気持ちを持って僕は上京してきたので、この曲がエピソード2になればいいなと思います。札幌から出てくる時の怖いもの知らずだった自分が、東京でいろいろ学んで、ちょっと怖さを感じることも増えてしまったけれど、今はもう家族もいますし、止まってなんていられないんですよね。

――若い頃、特に10代の時というのは本当に怖いもの知らずですよね。

 通帳の中の残高は常に1万円以下で、それでも何とかなる、という自信もありましたね。

東京は夢を持っていていいんだと肯定してくれる場所

――新年度で上京される方もこの季節は多いと思うのですが、東京に来て驚いたことは?

 やはり家賃の高さですよね(笑)。札幌だと3万円ぐらいで借りられるところが東京だと9万円くらいします。それはよく覚えていて恐怖でした。それで成功者の家とか行くと、「どうやったらこんなところに住めるんだ」と思いましたから。

――逆にこんなところに住みたい!、という活力にもなりますよね。

 そうですね。原動力になりますし、地元だと音楽とか何か夢を目指していることがバカにされる風潮もあったんです。当時も「お前、まだやっているの」みたいな。20代前半は周りの知人も社会人になり始めたんですけど、僕は自分が出演するクラブのイベントチケットを売っていました。高校時代の友達に「イベントきてよ」と誘ったら、「SWAY、まだイベントをやっているの? ちょっと行けないけれど頑張って」みたいな。音楽という夢を追っているのが、少し恥ずかしいみたいな気持ちもあって。でも、東京はそういう人たちが集まっているじゃないですか。

――夢を叶えたい人が集まりますよね。

 過去にリリースした「La Vida Loca」という曲があるんですけど、みんな本名も知らないのになぜか深い絆で結ばれていたり、それってすごいクレイジーライフだよね、という曲なんです。お互いがお酒とナイスな音楽で繋がっていて、みんな東京の街に酔って夢を語っている毎日がある。東京に来てからそれってすごいなと思いましたし、僕も夢を持っていていいんだ、と肯定してくれている感じもあって。

――「Summertime」のMVはその雰囲気も感じられました。

 確かに「Summertime」のMVに出てくれたメンバーはみんなそうですね。しかも同じ地元だし、僕より年上ではありますけど、でもやっぱり音楽やファッションの夢を叶えるために目指して上京してきた人たちだったりするので、何も恥ずかしいことがない。まっすぐ夢を見て突っ走っている人たちだと思います。

もう一回攻めていこうよという気持ちが強いアルバム

『Stay Wild And Young』初回限定盤ジャケ写

――そういった仲間がいるというのは宝ですよね。さて、「Life Coaster」という曲で最後に声が変わり、欲望みたいなものを綴っているところがありますけど、どんなイメージで入れたのでしょうか?

 生きているだけでお金がかかる人生というところで「Life Coaster」というタイトルにしました。もともと2番に今回最後に入っているトラックを入れていたんですけど、使わずに違うものを入れて、結果的にメロディーは全部差し替えてラップ曲になりました。でも、最初のトラックも「せっかく作ったのにもったいないな」と思ってリリックを書いてみました。声も変えて入れてみたのは目を瞑って寝てる時に見る“夢感”みたいなものを落とし込みたかったんです。

――その歌詞、面白かったです。

 Instagramでよく見るんですけど、温泉で美女の後ろ姿を撮影されたものってあるじゃないですか。あれを見るたびにいつも「誰が撮っているんだろう?」と思っていて、自分が撮影する側になりたい、という夢もあったりとか(笑)。小さいところから、野望をコツコツと叶えていきたいですね。

――(笑)。「Girls Girls Girls」もライブで盛り上がりそうですね

 だいぶ前にLAのプロデューサーであるPower、TOMAと一緒に作っていた曲です。今とはバースも違ったんですけど、今回アルバムを作っている中で全体を見た時に何か足りないなと思って。それで「Girls Girls Girls」のデモを思い出して、スタジオでみんなに聴いてもらったら、スタッフも「これ、いいね!」となったので、LAにいるみんなに連絡して、「あの曲、まだ空いている?」という確認もして。

――基本全部スタッフ任せとかではなくて。

 ある程度自分で話をしたら、その後はスタッフさんにつなげますけど、最初は自分の足でスタジオに行って曲は完成させます。

――「Under The Stars feat. Lupe Fiasco」でフィーチャリングされているLupe Fiascoさんも。

 スタッフさんのアドレスを聞いて、Lupe Fiascoも自分でやり取りして。

――Lupe Fiascoさんは昔からの憧れだったんですよね。

 そうです。大好きで、曲順を考える時に「Under The Stars feat. Lupe Fiasco」
が最後というのが一番しっくりきました。

――憧れの人との共演、本当に人生が詰まっていますよね。『UNCHAINED』はターニングポイントになる1枚になったというお話をされていたのですが、今回のアルバムはどんな位置づけになるんですか。

 どちらかというと昨年リリースしたEP『UNION』もひとつのターニングポイントかなと思っていて。今回のアルバムはターニングポイントというよりは、改めて自分で自分のケツを叩くというか、もう一回攻めていこうよという気持ちが強いアルバムです。その中で大人ではあるけれど、もうちょっと遊び方の知っている大人になりたいという想いもあります。

――攻め続ける、その気持ちいいですね。さて、今回新しいチャレンジというのはどんなことがありますか。

 チャレンジというわけではないのですが、前作『Unchained』のワンマンライブを経て、自分にまだ足りないものを感じたので、ライブを見据えての曲作りでした。例えば楽曲のサウンドに対してもそうだし、自分自身も力不足な部分もすごく感じたので、そこをパワーアップさせるためのアルバムにしたかった。あと「SWAYってどんな人?」となったときに、『Stay Wild And Young』聴いてもらえれば、わかってもらえるような世界観作りというのはしっかりやれたと思います。とにかく嘘がないように作りたいという想いがありました。

自分が出すヒップホップとは

『SWAY LIVE TOUR 2022 “Stay Wild And Young”』ロゴ

――今SWAYさんが追求されていることは?

 音楽をこれまで以上に追求しています。例えばこの間のNFLのハーフタイムショーなど衝撃を受けたことが多くて。日本のヒップホップシーンでもAK-69さんをはじめ JP THE WAVYやYellow Bucks(Yは円記号)、Awichもそうですし、すごいアーティストがどんどん出てくるすごい市場になってきています。そんな日本のヒップホップシーンに自分も加わりたい気持ちも大きいです。でも、そこに迎合したヒップホップではなくて、「自分が出すヒップホップって何だろう」と考えているので、そこを追求していきたいです。

――SWAYさんがやるべきヒップホップというのは、文化の違いがあることからアメリカのヒップホップというより、もっと日本的なものというのを、以前お話をしていたのがすごく印象的でした。

 それは常に思っています。確実に海外と日本では文化が違うというのは、それは言い切れます。でも、違うからノーではなく、違うんだったらこうする、という感覚でやっていきたい、決めつけはしたくないというのはありますね。自分の中に2、3人SWAYがいて、そいつらが「それは違うよ」と言っている自分もいるし、「違うと言っちゃダメでしょ」と言っている自分もいたり。常に葛藤しながらやっています(笑)。

――キャリアとかも踏まえた上でのその気持ちなんですよね。

 まだ新人感はありますけど、僕の理想では今の年齢でドーム公演ができていないとダメなんです。今はまだZeppの大きさを恐れている自分がいるということは、まだ理想の自分には追いつけていないということですから。あと、カラオケがあるようなバーに行くとAK-69さんの曲が歌われたり、格闘技を観に行けば、3人ぐらいの格闘家がAK-69さんの曲を登場曲として流していたりするんですけど、そういうのを見ると本当にすごいなと思います。自分はまずそこからかもしれないです。しっかりリリースを続けて、活動を止めないことからしっかり頑張りたいです。

――ソロとしては初のTOURとなる『SWAY LIVE TOUR 2022 “Stay Wild And Young”』では、どんな姿を見せたいと考えていますか。

 コロナ禍でライブハウスで大きい音量で音楽を聴いたり、1カ所に集まるということに抵抗もある人もまだ多いとは思うんですけど、何か忘れていた感覚というものを蘇らせて、もう一度みんなでおもいっきり騒ぎたい、という感覚が芽生えた人たちが来てくれたら嬉しいです。

 グループをやってからソロをやると、グループのありがたみがわかります。改めて1人で背負っている人たちはすごいなと思いますし、自分も一人でそこまで強くなれるのかなとも思ったり。DOBERMAN INFINITYの活動でもレベルアップさせてもらいましたし、様々なプロジェクトを通して、感性や感覚というのは変わったと思うので、今の自分のベストを常に出す、というのが2022年の目標です。まず、アルバムでそれを達成できたと感じていますし、ワンマンもしっかりクリアできる自分でありたい、レベルアップした自分を提示できるようにしたいです。

(おわり)

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