今が一番大事
──8月22日に『森山愛子全曲集~15周年記念盤~』がリリースされます。選曲はどのように?
「会津追分」をメインにしてディレクターさんに構成を組んで頂きました。カバー曲も入れながら、デビューからのオリジナルシングルをふんだんに入れています。
──今回収録されている曲の中で、ターニングポイントになった曲はありますか。
「約束」です。これは2012年に初めてA面でカバーして、韓国のドラマの曲なのですが、初めてしっとりとした曲に挑戦しました。ドラマのファンの方に森山愛子という存在を知ってもらうきっかけになった曲なんです。
──その曲は韓国語バージョンもありますよね。日本語で歌うことが多いと思いますが、発音なども違う韓国語を歌うのはいかがでしたか。
韓国語を喋れないのでやっぱり難しかったです。韓国人の方に発音を教えて頂いて、レコーディングもジャケット撮影も韓国でやりました。それもあって思い入れが強い曲です。必ずステージで「約束」は歌っています。聴きたいと言って下さる方も多いし、大切な1曲になっています。
──さて「会津追分」のスペシャル・パッケージには半音下げたカラオケが入っていますが、家でも歌いたい方にとっては嬉しいですよね。
私スペシャル・パッケージというのを出すのが初めてなんですが、なかなかみんなに歌ってもらえる、そこまで行き着く事がなかったので。今回はキャンペーンで細かく全国を回って、カラオケ大会のゲストに呼んでもらった時に、今までは一人いたら良かったのが「会津追分」を歌ってくれてる人がとても多くて浸透してるのをとても実感しました。それを聴いて、また自分の歌が変わっていったと思います。
──「会津追分」はご当地ソングなのですが、今までとは違った趣の楽曲を歌ってみての心境はいかがですか。
会津に行った時に地元の方が、「会津の歌を歌ってくれてありがとう」という声を聞くと、自分の思いだけじゃなくて、他の方の気持ちも背負って必ずヒットさせたいなという気持ちが出てきました。そういう感覚は初めてでしたね。それがご当地ソングのいいところなのかもしれません。 あとご当地ソングを歌うと、その土地の方と縁ができますね。それは大きいなと自分では思っています。
──15年経つと、また新たな目標が出てくると思いますが。
今は目の前にあることしか見ていないですね。先を見据えられないです。今が一番大事かなと思っています。「会津追分」をとにかく一人でも多くの方に聴いて頂きたいです。そこに今かけています。長く歌っていきたい曲の一つです。強いて言えば演歌じゃない方とのコラボとか、そういうのが出来たら面白いなと思います。
──例えば楽器の演奏者など、相手は歌手でなくても?
うんうん、そうですね。珍しいコラボレーションとか楽しそう。
──ぜひポジティブな森山さんにお聞きしたいのですが、人生につまづいたりした時に読者の方へ何かアドバイスを頂けますか。
えー! アドバイス…。基本的に私ポジティブじゃなくて凄くネガティヴなんですよ(笑)。ただ、自然に身を任せていると勝手に良い方向に流れていくことが多くて。きっとそういう運命にあるんです。そこでつまずいて落ちてしまう人はそこまでで、違うことを見つけた方が良いかなと私は思います。私が抜け出したのは人からのアドバイスだったり言葉だったりするわけですが、それがなかったらきっと今頃は実家でゴロゴロしていますよ(笑)。だから、私はずっと運命任せ。自分が演歌を歌う運命なら、必ずそこに導かれていくと思っているタイプなのでアドバイスは難しい…。
──力ずくで自分を持っていかないタイプということですね。
私は流れるままにいったほうがいいです。だってそこで無理したら自分が辛いから。この人と折が合わない、言葉がキツくて辛いとか私もあります。でも、周りに救ってくれる人がいるから、その人の言葉を素直に受け入れて頑張るしかないかなと思います。
──私は森山さんにポジティブなイメージを持っていたので意外でした。
そう思われてることも多くて(笑)。そう思ってもらえているのは嬉しいのですが、本当は違うんですよ。隠し事は何もないし嫌な時は顔に出しますし、嬉しい時も態度に出します。ただそれだけですから(笑)。
──自然体ですね。それでは最後に読者へメッセージをお願いします。
このアルバムはデビューから今までの森山愛子が全て凝縮された1枚なのですが、これをきっかけに森山愛子を知って下さる方もいると思うので、1曲1曲早送りしないでいっぱい聴いてもらえたら嬉しいです。そして、生の歌声を聴きに来てくれたら嬉しいので宜しくお願いします。
(おわり)