ポジティブな変化、平井 大 未来に向けてのヴィンテージ感とは
INTERVIEW

ポジティブな変化、平井 大 未来に向けてのヴィンテージ感とは


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年08月02日

読了時間:約15分

なぜ好きになったのかを模索していく

平井 大(撮影=冨田味我)

――「はじまりの歌 with 葉加瀬太郎」は、どのような経緯で葉加瀬さんと?

 昨年のフェスで彼に初めてお会いしてライブを拝見しまして。フェスって会場が凄く広いじゃないですか? その中でバイオリンという小さな楽器一本でみんなを魅了して、包み込むような包容力のあるプレイをする方だなという印象が僕のハートに残っていました。今年になって「はじまりの歌」を作ったときに頭の中でストリングスが鳴っていて、そのときのプレイがハートの中に残っていたから、葉加瀬さんにお願いしてみたんです。そしたら快く引受けてくださったんです。

――「はじまりの歌」で葉加瀬さんとセッションをして、平井さんの中で芽生えたものはありましたか?

 違ったものが混ざり合う面白さというのは凄く感じました。今後もそういう機会があれば、葉加瀬さんに限らずセッションがしたいと思います。

――ちなみに今セッションしたいミュージシャンは?

 やっぱりエリック・クラプトンからの影響が凄く大きいので、一回セッションしてみたいと思いますね。

――エリック・クラプトンのギタープレイに影響を受けた? それとも歌でしょうか?

 どっちもですね。もとは僕も楽器しかやっていなかったので、彼のプレイからは凄く影響を受けていましたが、シンガーソングライターと自分が認識し始めてからは、より影響を受けてます。

――その中で「I SHOT THE SHERIFF」をカバーに選んだ理由は?

 最初に聴いたのはクラプトンのカバーでした。元のボブ・マーリーの「I SHOT THE SHERIFF」を聴いたのはその後で。ブルースをやりながらレゲエの曲を作っている方ってあまりいなかったですよね。今聴いても凄く新鮮な曲だし。メッセージとしては人種差別とかヘヴィなテーマだったりするんですけど、僕の場合あまり人種差別されたことはないですし、自分が当時のボブ・マーリーの気持ちになって歌うということはできないと思うんですけど、そういうカルチャーがあってそれが発展して今の音楽に繋がっているということを考えるとカバーをする意味があるのかなと思うし。

――今の若い人にも聞いて欲しいですよね。

 若い人たちはボブ・マーリーやエリック・クラプトンを知らなかったりするから、もっとファッショナブルに聴いてもらえたらいいのかなと思います。別に知らなくても全然いいと思うし、2018年に僕が奏でる「I SHOT THE SHERIFF」という曲は意味合いが違ってくると思うから、サウンドがカッコいい、ギターがカッコいい、メロディがイケてる(笑)。そういう感覚で僕もカバーしてますし。そうやって文化って引き継がれていくと思います。それで良い部分がどんどん残っていくというか。そういう風になっていけばいいなと思うし。

――そうやってスタンダードナンバーになっていくわけで。

 それこそ僕の新曲だと思って聴いてもらえるかもしれないし(笑)。その後にもしこれを好きになってくれた人がいたら、「何でこれをカッコいいと思ったのか」とか「何で好きになったのか」というのを自分の中で模索していくというか、それは凄くやってもらいたいことです。僕もそういう風にやっていますし。最初は直感的に「いいな!」と思ったものをピックアップして自分の中で消化して、「何で魅力的に感じたのか」ということを自分の中で考えます。それで「カッコいいと思った部分」が明確になってから作品として落とし込んでいたりするので。

――分析が必要なんですね。

 はい。それは音楽だけに限らずですけど。映画も絵もそうだし。「何で自分が良いと思ったのか」というのを探求することは凄く大事だと思います。そこに対して固定観念は全く要らないと思っていて「この絵は何年の誰々が描いたから素晴らしいんです」という説明ありきだと、自分もそういうフィルターを通して観てしまうからあまり良くないと思うんだけど、そういう固定観念がない上で自分がピュアに「いいな」と思ったものが、僕は素敵なものだと認識できるんじゃないかなと思っています。だから今作の「I SHOT THE SHERIFF」もそういう風に捉えてくれたら嬉しいですね。

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