自分と他人の違いを認め合う、Anly 楽曲に込める平和への願い
INTERVIEW

自分と他人の違いを認め合う、Anly 楽曲に込める平和への願い


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年08月01日

読了時間:約13分

「MANUAL」を歌わなくてもいい日を願う

『LOOP』初回生産限定盤

──今作では、ライブでずっとお馴染みだった「MANUAL」を収録していることも、ファンにとっても大きなトピックですね。

 高校生の時に作ってから、いちばん長く歌い続けている曲です。高校生の時は地毛が茶色で、校則で茶髪が禁止だったから、染めているわけではないことを証明しなくちゃいけなくて。それで“地毛点検”というものを、月に1度受ける決まりだったんです。それがすごく嫌で、染めている人たちのために、なぜ染めていない自分までこんな嫌な気持ちにならなきゃいけないんだと思っていて。それに茶色の髪が禁止という時点で、私自身のDNAを否定されているような気がしました。そもそも人は、全員違うのが当たり前で、目の色も肌の色も髪の色も、世界的にはすごくいろんな色があるのに。黒髪が正しくてそれ以外は認めないのは、大げさに言えば差別に等しいんじゃないかと思ったんです。それで作った曲でした。

 だから曲を作った時の感情は怒りだったけど、今はもっと認め合おうという気持ちになっています。自分と他人の違いを認め合うことが、いずれ平和につながると思います。たった1曲で世界を変えることはできないと言われるかもしれないけど、私はこの曲を歌い続けます。そしていずれ、歌わなくてもいい日がくることを願っています。

──また「エトランゼ」は、どこかの南国の雰囲気の曲調です。

 イメージとしては、どこかの島の民族が火を焚いてその周りで踊っていて。知らない異国の人が来ても、「ウェルカム」って迎え入れるみたいな感じです。「エトランゼ」という言葉には、「見知らぬ人」という意味があって。ライブに来てくれたお客さんはみんなお互い見知らぬ人だけど、ここに来たからには仲間になって楽しんでいこうという気持ちを込めたライブ曲でもあります。

──<ハッ>という、かけ声も入っていますが、あれはAnlyさんが?

 私も入れていますし、ジェフさんの声も入っています。そこが民族っぽいし、思っていた以上に祭り感が出せたなって思いますね。

──英語で「ストレンジャー」というのも合いそうですけど、どうしてフランス語のタイトルに? 

 確かに「ストレンジャー」もいいけど、私は歌詞で<いくぜ>とか<〜だぜ>とか、私の中に少年がいるのか分からないですけど(笑)、<〜ぜ>という言葉を使うことが多くて。その語呂とも合う言葉で、何かいい言葉はないかと探していたら、どこかで聞いていいなと思っていた「エトランゼ」を思い出したんです。

──ちょっとダジャレが入ってるんですね(笑)。

 そうそう(笑)。でもライブで歌っていてすごくいいなと思うのは、さっき初めて会ったばかりの人が、ライブが終わるころには仲良くなっていることです。それで一緒に、打ち上げをしたりしているらしくて。ライブでしか会えないみんなに会うために、ライブの時間には間に合わないけど来てくれる人もいて。それって、すごくいいなって思います。

──Anlyさんのライブが、同窓会の待ち合わせ場所みたいになっていると(笑)。

 まさしく。私のライブを観に来てくれるのはもちろんうれしいけど、そこに会いたい人がいて、その人と一緒に同じ歌が歌えて。そうやってまた新しい輪が広がっていくのは、本当の意味でループしている感覚だなって思います。それがどんどん大きくなって、今よりもっと大きな場所に行けるようになっていくのが、すごく楽しいです。

──そして8月末からツアー『Anly “LOOP” Around the World 〜Track 1〜』を開催します。これは、ソロでループペダルを使って行った企画ライブ『LOOP NIGHT』をの趣向をツアーでやるみたいなイメージですね。

 基本的にループペダルを使って、ステージは私ひとりです。ただ東名阪のCLUB QUATTROでやる3公演だけは、特別にバンドセットでやります。

 そもそも4月に開催した『LOOP NIGHT vol.1』を企画したときから、いつかツアーを組みたいと話していたんです。『LOOP』というアルバムができる前から話していて。自分の中のこだわりとしては、第何回というのを「vol.~」ではなく「Track~」と付けたところです。こんなに早く実現するとは思ってなかったから、すごくうれしいです。今作『LOOP』を聴いて、たくさんの方に観て欲しいです。

(おわり)

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