泣いて笑えることが武器、シクラメン 日常に寄り添う応援歌
INTERVIEW

泣いて笑えることが武器、シクラメン 日常に寄り添う応援歌


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年07月19日

読了時間:約13分

 東京・大田区蒲田で結成された3MC+1トラックメイカーのシクラメンが6月27日、シングル「Rainbow」をリリースした。彼らは現在年中365日曲を作るというスタイルで日々楽曲制作に熱を注いでいる。その中で完成した「Rainbow」はDEppaがInstagramで虹の画像を見たことがきっかけで生まれたという。日常に寄り添った歌詞ということもあり、情熱的になり過ぎずにさらっとした歌い方で今までとは違う表情を見せたナンバーとなった。なぜ彼らは365日曲を作り続けるという過酷とも言える方法をとったのか、シクラメンの武器でもある「泣いて笑えるライブ」についてなど4人に話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

365日曲を作ろうというスタイル

DEppa(撮影=冨田味我)

――昨年、移籍第一弾となったアルバム『SHIKURAMEN』から約半年が過ぎましたがここまでの期間を振り返るといかがでしたか。

DEppa 元旦からワンマンライブをやって、そのあと、ツアーと充実した期間でした。ツアー終了後の春から新たな曲も作り始めまして。その中でメンバーだけで楽曲制作のための合宿なんかもやったり。なので、割と制作の時間が長かった半年間でした。

肉だんご いつものルーティンではありますけど。

――よく長く続けているとそのルーティンを壊したくなる時が来ると聞いたこともあります。

DEppa 確かにそういう時もあります。そういった意味では制作方法に変化をつけました。今までは短期間に集中して制作をおこなっていたのを僕と電球に関しては365日、曲を作ろうというスタイルに挑戦していて。ルーティンをキツイ方にシフトしました。

――ストイックですよね。

DEppa やっぱり一流の方々が例えば30曲作って名曲を1曲作るなら、僕らはもっと作らなければと思いました。フルコーラスじゃなくても曲の片鱗だけでも作ることが大事だという考えが生まれたんです。

――トラックメイカーの電球さんもその案に乗っかって。

電球 そうですね。でもアンテナは常に張ってはいるので、特に問題はないんです。テレビを観ていても良い曲だなと思ったら、すぐデスクに座ってメモしたりとかはしていたので。僕の場合は形にするペースを上げるという意識で望んでいます。

DEppa 毎日、机に向かって作業するということが大事なんです。でも、そこまでがめちゃくちゃ重いんですよ。打ち込み始めたらもう勝ちですから(笑)。

――確かに、私もパソコンを開くまでが気が重いです…。その中で「Rainbow」が生まれたわけですね。

DEppa 2月から3月にかけて出来ました。今回は僕が介入しないで事務所の社長と電球の2人で形にしてみるというスタイルでやってみてもらって。なので、デモはシンセのガイドメロしかない状態からスタートしました。

――桃紅茶さんはデモが大好きだそうですが、今回のデモを聴いた感想は?

桃紅茶 それが、今回デモというデモがなかったんです。歌詞も何も付いていない状態、いわば“ラララ”の鼻歌通りに歌うという新しい試みがありました。その鼻歌で雰囲気を掴めた感覚があって。そこから歌詞が入ってどうなるのかというところで、もういきなり「こういう風に歌って」みたいな感じでスタートしたのでデモが本チャンみたいな(笑)。

DEppa 僕がその場で作ったメロディを桃がその場で歌うという。それはすごく面白かったです。

――今までとは違う新鮮な感じだったんですね。タイトルの「Rainbow」ですが、Instagramに上がっていた虹の写真がきっかけだとお聞きしたのですが。

DEppa そうなんです。僕らと繋がっている方々のInstagramを見ると、虹が出た日のタイムラインが虹の写真で埋めつくされるんです。その時になぜみんな虹を投稿するのだろうと疑問が生まれて。その答えがやっぱり「虹がレアで美しい」というところなんです。そういうのって元気になったり幸せにする縁起の良いものなんだなと。

 それで、僕らの楽曲でもパワーを与えられるような幸せを与えられるような曲を作りたいなと思って、この曲が生まれました。虹って見に行くものではなくて、日常の中でたまたま見れるもので、それもあって日常に寄り添ったものが良いなと思いまして。

――肉だんごさんからみて「Rainbow」のポイントはどこにあると思いますか?

肉だんご 今回は特に歌詞ですね。日常に寄り添ったというところもあって、すごく近く感じられると思います。今までも応援歌はありましたが、その中でもより近さを感じられるものになりました。普通に生活をしている中でふっと入ってくるワードを使っていて、そこは注目してほしいポイントです。

――歌い方にも変化が?

肉だんご(撮影=冨田味我)

肉だんご DEppaの出だしの歌い方なんか今までにない感じの入り方で。

DEppa シクラメンは情熱的に曲を作り上げることが多いんですけど、今回は“熱ゼロ”みたいにサラッとしています。通勤中とか家事をしながらとか学校の帰りとかに聴いてスッと入ってくるものにしたかったので、説得力をつけなかったというのもあります。想いは入れましたけど。ちょっとノスタルジーが入っていたらいいなと思って。

肉だんご なので全体的に飾っていない感じになっていると思います。

――「Rainbow」ということで“虹”にまつわるエピソードをお聞きしたいなと。

肉だんご 実は自分で虹を作ったことがあります! 暑い日に息子とプールに入っていたんですけど、水を掛けて虹を作って遊んでました。自分から会いにいくという人工的な虹の思い出です。

電球 ラッキーでも何でもない(笑)。

DEppa 僕は数年前になりますけど、ハワイのダイヤモンドヘッドにかかる虹を見て。人生で一番美しかったです。僕の場合は虹が会いに来てくれましたから(笑)。

肉だんご 飛行機に乗った時に丸い虹を見たことありますよ!

電球 僕と桃はめっちゃ人工的です。空港の搭乗口にあった“ようこそ”と書いてある虹でした(笑)。それをSNSにあげてね。

桃紅茶 僕も同じのを上げていたので、考えることは一緒だなと(笑)。

――さて、サウンド面もお聞きしたいのですが、どの辺りにポイントをおかれましたか。

電球 歌詞が日常的でサラッとしているということもあり、そこにいかに深みを持たせるかというところで生のピアノとギター、ストリングスのフレーズが感情を持っていけるように考えました。基本的にはトライ&エラーで試行錯誤します。

DEppa シクラメンの中で新たな必殺技じゃないですけど、そういう曲が出来たなと思います。

――既にリリースイベントなどで歌われていると思うんですけど、いかがですか。

DEppa ライブも良かったです。押し付けがましくないところが良かったのか、初めて聴いた人にもスッと入っていく感覚があります。自分たちの想像以上に聴き入ってくれてます。嬉しい誤算でした。前回の「メロディ」という曲もそうでしたけど、ライブを経て長く歌い続けたい1曲です。

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