東京・蒲田出身の4人組ポップグループのシクラメンが29日、東京スカイツリー・ソラマチタウン内で、ニューアルバム『SIKURAMEN』の発売記念イベントを開催。同作のリード曲「ADVENTURE」など全6曲を歌い上げ、この日集まった300人を魅了。真っ直ぐな歌に観衆は、心の花を咲かせたように明るい表情をみせていた。

 シクラメンは、聴けば聴くほど味が出る“スルメサウンド”で知られ、ストレートな歌詞とメロディが特長。結成10周年の今年は心機一転、レコード会社を移籍。今作は移籍後初のアルバムとなる。また、現在放映中の『ドライペット』(エステー)ではカッパに扮して出演、好評を得ている。

撮影=森リョータ

 この日、会場に所狭しと集まった観衆の数は300人。開演前におこなわれた公開リハーサルでは、DEppa(リーダー)がその数に驚きながらも「(僕らのこと)見えないでしょ」と後方の観衆を気遣った。ワンフレーズを歌ったところで開演時間を迎え、スタート。

 DEppaが「シクラメンの想いを届けるためにまずはこの曲」と語り、疾走感のあるナンバー「メッセージ」を最初の曲として披露した。歌唱中、袖にあった椅子を持ち出したDEppaは、それに乗ると後方の観衆に向かって手を振り歌う。DJの電球は心地良い空間に笑顔。肉だんごと桃紅茶は互いの肩を組み、熱唱。のっけから一体感に包まれ、DEppaは「最高に良い顔をしています!」と自身も笑みをみせ、観衆に語り掛けた。

 全6曲を披露したこの日は、歌い初めと歌い終わりには必ず、曲に込めた想いを語った。2曲目の「ADVENTURE」では「音楽を歌って10年。“お前ら夢があっていいよな”と言われるけど、何歳になったって夢は見られると思う。どんなに辛くても冒険を続けていれば夢は叶う。諦めるな! 俺達も諦めないから! 人生は冒険。僕達はずっと支えていきます」と手に力を込めてDEppaが語った。

撮影=森リョータ

 4曲目の「おめでとう ありがとう」では「どんな時も皆を笑顔にする自信があります。僕達には盛り上がる曲もあれば、皆と楽しむ曲もあります。全て、皆の心のど真ん中に届くように作っています。今日は皆にありがとうを伝えたい」と感謝の気持ちを伝えた。

 5曲目の「MUSIC」では「大事な人に大事な思いを伝えるのも一つ。感謝の気持ちを伝えたいけど、言葉にするのはこっ恥ずかしいから音に乗せようと思った。10年歌い続けて音楽の力は凄いと改めて思う」とこれまでの歩みの中で感じた想いを述べた。

 一方、3曲目「あっぱれニッポン!!」は、現在放映中のCM「ドライペット」に触れ、「人生初のCMがカッパ。シクラメンらしい。CMが流れてから、4年ぐらい会っていない人から連絡があって。親戚が増えるというのはこういうことなのかな」と笑いを誘いつつも「日本のアンセム、地元や日本を愛しながら届けたい」とその想いを明かした。

 そうして届けられた楽曲はアップテンポからミディアムテンポまで多彩だったが、どれも背中を押しくれる言葉が散りばめられていた。それらの楽曲を、感情の端々が言葉に表れたDEppa、飾らない歌声で届ける桃紅茶、情感豊かに歌い上げる肉だんご、そして、後ろのDJブースから笑みを浮かべながら歌った電球、と、それぞれが四者四様の表現で届けた。

 また、パフォーマンス中の彼らの姿も印象的だった。電球に寄り添い歌う桃紅茶、椅子の上に乗り歌う肉だんご、電球は後ろの客席を見ようと見上げるように歌い、一生懸命に届けようと額から汗を流すDEppaと肉だんご、目を滲ませるDEppaと桃紅茶。

この日は、子供から年輩、女性や男性さまざまな人が集まり楽しんでいた。終始、笑顔だったが、時折、目を滲ませる人もいた。彼らの真っ直ぐな思いはしっかり届いているようだった。

 割れんばかりの拍手を浴び、DEppaは「皆がいて歩いて行ける。ありがとう」と語り、「メロディー」を最後に届けた。開演時間30分超、歌唱6曲の短いイベントだったが、彼らの良さが凝縮された一時だった。【取材=木村陽仁】

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