夜になると“今日の一人反省会”
――ウイさんはレコーディングはずっと付きっきり?
ウイ・ビトン そうですね。僕はディレクションもしているので。
――ギターに関してですが、ウイさんは明治さんにどういったギターを求めていますか?
ウイ・ビトン 僕が安心して自由に弾けるように、土台というかそういうベースの部分をしっかりと弾いてもらって支えて欲しいなと。たまには一緒に攻めてみようか、みたいな時もありますけど。
――今回攻めた部分はありました?
ウイ・ビトン 「ミッドナイトシンドローム」が今までの僕らにないというくらいのマイナー調の曲なんですけど、シャッフルビートも初めてだったので、ちょっと悪ふざけしてやろうと思って。それで明治さんとツインリードを弾いてみようというのがギターソロのテーマで。デンマークのメタル系バンド・ROYAL HUNTの「Martial Arts」という曲があるんですけど、それをイメージしたネオ・クラシカル系のギターソロになってます(笑)。
――「Martial Arts」はプロレスラーの蝶野正洋選手の入場曲としても有名ですよね。
ウイ・ビトン そうです。蝶野さんのファンだったら「アレ?」って思ってもらえると思います(笑)。蝶野さんの入場曲として流れる時はタイトルが「CRASH」に変わるんですけど。
――そうなんですね。そのツインギターのアプローチはどうでしたか?
明治 これは練習してて楽しかったです。
――「ミッドナイトシンドローム」は歌詞がネガティブな感じで。
火寺バジル いつも前向きなのが多いんですけど今回初めて、曲が妖しい雰囲気だったのでもうここぞとばかりにネガティブなところをブチ込んで(笑)。現実の中で思っているモヤモヤとしたネガティブな部分を、ファンタジーのフィルターを通してちょっとポップに聴こえるかなというのをやってみたかったので私的には達成感があります。
――この歌詞の背景は?
火寺バジル 私はけっこう夜更かしをしていて、基本的に4時とかまで起きていたりするんですけど、深夜になるとみんな急にSNSとか妖しい雰囲気になるじゃないですか? ネガティブな発言が多くなったりとか、何となく深夜になると「明日イヤだなあ…」とか、そういうマイナスなことが増えてくるので、そういうのを見ていたりして、自分は夜になると“今日の一人反省会”とかしちゃうんです。
そういうのってたぶん私だけじゃないから、もしかしたら共感が得られるかなと思って、私達らしくそういうのが書けたらいいなと思いまして。
明治 世の中を見ていてみんなそうなんだなって思います。
火寺バジル ね! 真夜中にカップラーメンを食べるとか、ちょっと悪いことをしている感じを味わうとか、そういうのあるじゃないですか? それに近い感覚です。
――なるほど、わかりやすいです。「ミッドナイトシンドローム」でgariさんが一番言いたいことは?
gari 歌詞と音を受けて、ダークファンタジーというかそっちの景色が見えたので、それを直接的過ぎても面白味がないなと思ったので、それをイメージしつつ僕の頭から出てきたワードを落とし込みました。
火寺バジル ちなみに最後の<ねえ、そこのお嬢さん 早くお逃げなさいっ>は「もりのくまさん」なんですよ。
ウイ・ビトン 本当だ(笑)。
火寺バジル 赤ずきんちゃんとか白雪姫とか、森の中でストーリーが進んで行くものって何だろうと考えたときに、「もりのくまさん」も森の中の話だなと思っていて。曲作りの最後の最後にウイさんが「やっぱりAメロを最後に追加したい」と。これはどうしようというときに、もう一つアイディアにあった「もりのくまさん」が使えるかもしれないということで。
――最後にまたセクションを付け足すということはよくある?
ウイ・ビトン 曲の構成を変えることは、時間が迫っている時でもやることはありますね。
gari 締切りがあるから歌詞を作るのは大変だけど、良いものを目指してい行きたいので。