魔法少女になり隊が14日、デジタルシングル「NEW ME」をリリースした。先日、オフィシャルサイトに同曲をリリースすることのみを伝える情報が掲載され、14日に緊急特番『ましょ隊、やめるってよ』を生配信。この日から魔女の呪いによって喋れなかった火寺バジルが喋れるようになり、“ましょ隊”の第2章がスタート。インタビューでは喋れるようになった経緯、新しい挑戦が詰まった新曲「NEW ME」の制作背景をメンバーと今作のプロデュースを務めた新井弘毅(ex. serial TV drama/THE KEBABS)に迫った。【取材=村上順一】
自分の言葉で伝えることに自信がなかった
――バジルさんが喋れるようになったのですが、どのような経緯があったんですか。
ウイ・ビトン このコロナ期間に、バジルがメッセージを発信したいという想いが強くなったことが大きな理由なんです。ずっとこの状況に縛られているのももったいないと思いました。
火寺バジル ステイホーム期間中にすごく考えました。喋りたいという思いは前からあったんです。でも、このバンドを結成した時に私に自信がなかったのが、喋れないという呪いが生まれた理由でした。
――自信がなかった?
火寺バジル 私がカッコいいボーカリストになれるかどうか、という不安が大きくて。それに加えて自分の言葉で伝えることに自信がないことを当時みんなに話したら、「じゃあ喋らないで良いよ」と言ってくれて。自分で自分に制限、呪いを掛けていた、設定にあった魔女は自分自身だったんじゃないかなと今は思います。それはちょっと前から解けていたと思うんですけど、踏み出す勇気がなくて...。
今まではライブが出来るのが当たり前だったけど、出来なくなって、音楽というものがどうなって行くんだろうと不安、バンドも続けられるかどうかというのも正直ありました。もし、このままファンの人たちと喋らないまま終わってしまったら嫌だなと思い、みんなに喋ることへの相談をしました。
――でも、この喋れないという設定もましょ隊の大きなポイントで面白いところだったと思うんです。
ウイ・ビトン 僕はこの話にすごく肯定的でした。喋らないのはもったいないなと思いましたし、バジルもやりたいことがあったんです。それは配信番組だったりなんですけど、筆談だとレスポンスが悪いですし、やっぱり喋った方がいいよねと。
――バジルさんのポリープが見つかったことも大きそうですね。
火寺バジル はい。その時はめちゃくちゃ考えました。ポリープが発覚してから喉がすごく痛かったんです。ライブの後半からだんだん声が出づらくなってくるのもわかって...。大袈裟かもしれないですけど、「歌えなくなるかも」ということも脳裏にちらついていて。それもあって喋るということへの背中を押してくれた部分はあります。
――明治さんはこの選択については、どう思いますか。
明治 言葉も声も本人のものなので、表現の仕方もすごく変わっていくと思いますし、バジル自身の考え方も、みんなに直接声が届くことで変わっていくと思います。今まで一緒にやってきたので、一人の人間としても楽しみな部分です。
新井弘毅から見たましょ隊の魅力
――そして、ましょ隊の第2章が始まるわけですが、プロデューサーとして新井さんが参加されています。どのようにバンドを見ていました?
新井弘毅 今までもウイ君とはやりとりはしていたんですけど、バンドにしっかり関わらせて頂くのは初めてです。ましょ隊が出て来たのは、音楽シーンにおいてシアトリカルな世界観のバンドやアーティストが流行っている頃だったので、時代にとても合っているなと感じていました。でも、時が進むにつれて難しくなって来たと感じていた部分もあって。それは、作られた世界観というのが年々世間に受け入れらなくなって来ていて、最近は特に芸術性が高かったり、リアリティある音楽の方が受け入れられていると感じています。それに影響を受けてか、徐々にましょ隊の曲も毒気がなくなって来て、悩んでいるんだろうなと思ってました。
――ウイさん、悩んでいたんですか。
ウイ・ビトン 常に悩んでました。初期の頃はすごくアイデアも湧いて、楽しく作れていたんですけど、段々「この雰囲気は前もやったしな...」となったりして、悩んでいたのは確かです。
新井弘毅 僕も曲を作るので、曲を聴けば何となくわかるんです。おそらく「耳馴染みの良い曲にしなければ」というのがあって、それによってだんだん曲が普通になって来ているんだろうなと思っていました。当時ましょ隊の勢いがあったのは、面白い曲と世界観だったと思うのですが、その世界観も少しずつ曖昧になっているような印象があって、もしかしたらRPGという設定に呪いのように縛られているんじゃないかと。なので、万が一無理にやっていることがあるなら、それらを取っ払ってみた方がいいんじゃないかと思いました。
――新井さんと一緒に作業してみていかがでした?
gari バンド以外の方と一緒にやるのが僕は初めてでした。今まではウイさんに曲は丸投げで、曲が上がってきてレコーディングから参加するのがほとんどでした。今回僕は下のパートとかも試させてもらったり、今までにないアイデアが面白くて。それで完成したものを聴いて、「サビでこんな風になるんだ」とすごく良い感覚があって、ちょっとクスッとしちゃって。当時「RE-BI-TE-TO」とかで感じていたもの、それは新井さんと一緒にやって戻ってきたのかなと。
――原点回帰に近いものも感じたんですね。明治さん、ギターはいかがでした?
明治 基本、フレーズはいつも任せているんですけど、上がってきた曲を聴いて、すごくカッコいいなと思いました。最近は難しいフレーズも多くなって来たので、弾くのも大変なんですけど、トランス状態になりながらひたすら練習しています。
――ギターの音もすごくカッコ良いです。さて、歌詞はご自身のことを重ねて書いていると思うんですけど、どんなところをこだわりました?
火寺バジル 今回は新井さんに手伝ってもらいました。第3者が入って制作するのはデビュー4年目で初めてで、私のことを客観的に見るとこうだったんだなというのがわかる、多角的に見た私が詰まった歌詞になりました。全体的に私らしいところが散りばめられているんですけど、歌詞にある<怖いけど 愛してみたいんだ、自分を>という部分はこの曲のキーワードにもなっていると思います。自分自身に自信がなくて、好きになれなかった、それがわかるところかなと。あと、ラップにも挑戦したんですけどこれがまたすごく苦戦して…。
新井弘毅 23テイクぐらいやったよね。リズムが中々はまらなかったんです。
火寺バジル もう最初の<憂鬱だよ世界 修復不能めちゃウザい>のところで難しすぎてつまずいてました。リズムと滑舌の悪さでNGを出してしまいまして…。それで時間が掛かり、19時からレコーディングスタートしたんですけど結局朝までかかってしまいました…(笑)。
新井弘毅 歌は妥協できないんです。極端に言うと、オケが仮にしょぼかったとしても、歌が良ければ良い曲に聴こえてしまうくらい、歌は大事だと思っています。
――やっぱり一番目立ちますから。明治さんからみて今作で新しい点は?
明治 今までとは違う新しい要素がたくさん入っている曲なので、皆さんに期待して聴いて頂きたいんですけど、私の注目して欲しいのは生バンドで今回レコーディングしたことです。これまではドラムも打ち込みだったので、大きく変化したところだと思いますし、バジルの歌にAuto-Tuneをかけなかったのも、大きく違う点だと思います。
ウイ・ビトン バジルの素の声なので、今までとは別人かなと思えるくらい印象が変わりました。
新井弘毅 僕がましょ隊で一番グッと来ているのは「完全無敵のぶっとバスターX」の頃なんです。この頃の音楽に引っ張られた人が多かったんじゃないかなと思っていて。原点回帰というわけではないんですけど、そこに戻してあげるのが良いのかなと。でも、同じ事をやってもしょうがないので、そこを飛び抜けようと提案しました。今までの打ち込みサウンドが嫌だったわけではないんですけど、それ以上の曲にしたい、キャッチーな曲にしたいと思い、それを実現するには生バンド以外考えられなくて。「変わるぞ!」と言う気持ちが伝わるサウンドメイクにしたかったんです。
――ライブも生ドラムになる可能性も?
ウイ・ビトン そこはまだ考え中なんです。
gari 実はこれまでもリハーサルスタジオで生ドラムでやってみたこともありました。ライブで転換が出来ないという問題も当時あって、ドラムレスになったという経緯もあって、生ドラムでやってみたい、という気持ちはあります。
火寺バジル あと、これまで生ドラムを入れてこなかった理由に、VJを目立たせたかったという理由もあるんです。ドラムレスでメンバーの写真を見た時に、誰が何をやっているのかわからない面白さもあるなって。今はすごく柔軟に考えられるようになったと思うので、今後どうなるか楽しみな部分です。
「夢は叶う」ことへの証明になったら
――そういえばウイさん、MusicVoiceではいつも仮タイトルをお聞きしているんですけど、今作「NEW ME」の仮タイトルは?
ウイ・ビトン 今回は付けなかったと言いますか、付けられなかったんです。というのも、この曲は新井さんとゼロから作ったんです。
新井弘毅 今回、誰よりも頑張ったのはウイ君だと思います。何曲も書いてもらったんですけど、衝撃が足りないということで書き直してもらっていて。煮詰まってきたタイミングで「一緒に作っちゃおう」となったんです。2人で色んな楽曲を聴いて、サビの研究もしました。探っていたのは声に合う楽曲、どうやったらバジルさんの声が輝くのか、というのを一番に考えました。今まではAuto-Tuneを使ってケロケロボイスにしていたので、あまり考えてはこなかったこともそこで知りました。
作業初日でワンコーラス出来たんですけど、作り方としては、リズムループを流してウイ君にギターリフを弾き続けてもらって、良かった部分を僕が録音、それをカットしてつなぎ合わせてみたりして、フレーズを作りました。イントロのリフもその手法で構築していきました。それによって出来たフレーズを改めてウイ君に弾き直してもらう、というこの作り方はやってみて良かったなと手応えを感じています。
――歌詞に関しては、新井さんはどのように関わられているのでしょうか。
新井弘毅 まずワンコーラス出来た時点で、彼女の素の声が知りたかったので、仮歌を録音したんです。その時にAuto-Tuneを外すことにすごく抵抗されまして。
火寺バジル ポリープの手術後初めての歌だったので、すごく不安でしたし、やったことがなかったので...。
新井弘毅 その時に仮歌詞を書いて来てもらって。その仮詞の言葉<Do it>とか残っているんですけど、そこからどういう歌詞にしようかと話し合いまして。その話のなかで、自分に自信がないと彼女が泣き出してしまいまして。でも、それをテーマにすれば良いんじゃないかと思い、書いてもらったという経緯があります。彼女の歌詞に、他人が入り込む隙間がない印象を受けたので、僕がそのテーマで書いてみました。主観で書くのも良いんですけど、今回はテーマ的にも共感された方が良い、他人が入る隙間があった方が良いと思いました。
――バジルさん、泣いてしまわれたんですね。
火寺バジル 集中されるのがすごく苦手で、今でも気を緩めると泣き出してしまう感じなんです。昔、ピアノの発表会があったんですけど、緊張して楽譜全部忘れてしまったり、弁論大会に選ばれた時も、覚えて来たこと全部忘れちゃったり。そんな自分だったんですけど、バンドを始めて変わってきたと思います。
――そんな性格だったバジルさんが、バンドでボーカルをやると決めたこと自体がすごい事だなと。
火寺バジル gariさんに誘われてバンドを始めたんですけど、よくわからないままgariさんについて行ったら、そこはスタジオで「ボーカルやってよ」って。「やってみて嫌だったら辞めてもいいよ」と言ってくれていて、自分が変わるためのチャンス、私も憧れはあったのでとりあえずやってみようって。火寺バジルというものは、みんなに支えられて完成していくものだと思っています。今回の事もレベル1だったバジルが経験値を積んで行った結果なんです。自信はまだないけど、「こうなりたい」という夢や理想はあるので。
――最後に皆さんの夢をお聞きしても良いですか。
火寺バジル 魔法少女への憧れはあっても、現実的に魔法少女にはなれないじゃないですか。みんなも小さい頃に描いていた夢、例えばプロのサッカー選手になりたい、とか、大人になるにつれて現実を見てしまってあきらめてしまう人も多いと思います。でも、私があきらめずに「夢は叶う」ことへの証明になったらという想いが、魔法少女になり隊というバンド名に込められているんです。この活動の中で私が夢を叶えたら、それは「魔法少女になれた!」ということなので、それが目標でもあり夢なんです。
gari 僕自身の夢というのは、実はないんです。でも、バジルの夢が僕の夢でもあるので、バジルをサポートしていきたいなと思っています。
明治 私も同じくバジルの夢を叶えるためのサポートになれていたら良いなと思っています。
ウイ・ビトン 僕もみんなと思いは同じで、それに加えてスタジアムのような大きな会場でライブをやりたいという夢があります。それでみんなに憧れてもらえるような存在になれたら嬉しいです。
(おわり)
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