シンガーソングライターの清水翔太が27日、ニューアルバム『WHITE』をリリースする。アルバムとしては8枚目となるこの作品は、清水にとって「不純物を排除して音楽と向き合った」もの。デビュー時はシンガーの部分にフォーカスされがちだった清水だが、今ではレコーディング作業を全て自宅スタジオで完結させる音楽家にまで成長し、たゆまぬ自己更新を続けている。「時代の音楽は自分が作りたいと思う」とまで語る彼が、この『WHITE』に詰め込んだ想いとは。さらに彼は自身の考えるアーティスト論や、インスパイアされたマンガに至るまでも率直に明かしてくれた。それもそのはず、彼には隠すものなど何もない。真っ白な清水翔太が新作『WHITE』を語る。【取材=小池直也/撮影=冨田味我】
不純物を排除して向き合える作品になれば
――制作はいかがでしたか。
最近はもう家で録るんですよ。今までは歌だけスタジオでレコーディングしていたんですけど、スタジオで良いテイクが録れなくなってきて。自分のペースでやらないと、試行錯誤の回数が減ってしまうんですよね。
歌い始めて、「違うな」と思ったらすぐ最初から録り直したい。スタジオでやると歌って、聴いて、もう一回、となるので、失敗したくなくなるんですよ。丁寧にやってしまうから。そうするとグルーヴが出ない。だから家で録りたいんです。マイクとか機材のクオリティは落ちてしまうんですけどね。その為にマイクとマイクプリ(アンプ)は新調しました。
――アルバムタイトルが『WHITE』という事ですが、この意味は?
「ピュア」という意味でこのタイトルにしました。作る僕も聴き手もなるべく不純物を排除して向き合える作品になれば良いなと。僕にとっては制作するに当たって、ピュアなクリエイトがなかなかできなかったんです。色々な人の気持ちとか、思惑を取り入れようとしてしまって。本当に自分の中から出てくる音楽を作りたいと思ったし、今回はそれができた気がしています。
――10曲が収録されていますが、歌詞のトピックなど意識した事はありますか。
今の自分が言いたい事や、思い出す事をわっと書いた感じですね。最近は基本的にテーマとかも特にないんです。アルバム全体に対しても、世界観の構築は作りながらやっていくので最初から「これだ」という事はありませんでした。
あとは「1曲1曲を大切に聴いてもらいたい」という気持ちを込めて曲数もかなり絞っています。特に今回は全曲大事ですね。全体的に浮遊感、アンビエントな雰囲気は意識していて、ボーカルのリバーブ(残響)も結構こだわっています。ラップもふわふわさせたり。とにかく世界観の表現に繋がる歌を目指しました。
――各トラックの製作はどの様に?
今まで以上にナチュラルな方向性で作った楽曲が多いと思います。エレピも多いですし。やはり『ナチュラルでアンビエント』というのが全体のイメージ。演奏も全部自分でしていて、他人が演奏しているのは「Beautiful」のギターくらいです。トラックよりも作詞に苦労しましたね。
例えば「Rainbow」は最初英語で作った曲なので、日本語詞を付けるのが大変でした。いつもそうなんですけど、英語で作ったデモ音源が良ければ良いほど日本語にして変になるのが嫌。でも『WHITE』は日本語と自分のサウンドは大分良いんじゃないかと思います。格好良い事も言いつつ、ビートやメロディのバランスがとれているんじゃないですかね。