Little Glee Monsterが6月21日に、東京・Blue Note Tokyoで収録された、MTV伝統のアコースティックライブ『MTV Unplugged』に出演した。【取材=桂 伸也】

 2017年に10代で初の日本武道館ステージに立つなど、急激な成長を遂げているLittle Glee Monster。その勢いは2018年も止まらず、1月にリリースされた3枚目のアルバム『juice』はオリコン週間アルバムランキングで最高位2位、5月にリリースされたライブDVD『Little Glee Monster Arena Tour 2018 - juice !!!!! - at YOKOHAMA ARENA』は同DVDランキングで1位を獲得と、今年もその勢いの程はとどまるところを知らない。

 2001年の宇多田ヒカル以降、総勢35組が出演してきたこのスペシャルプログラム。「Unplugged」という環境は、まさに彼女らの「声」という最大の武器の威力を発揮するにはうってつけのステージといえる。この日は抽選で選ばれた200人の観衆がフロアを埋めた。多く集まった根っからの“ガオラー”(Little Glee Monsterの熱狂的なファン)も、いつものにぎやかなライブ会場とは勝手の違うクラブハウスのシックな雰囲気に、緊張の表情を見せながら、じっと彼女らの登場を待っていた。

“憧れの地”でのライブ。緊張はやがて興奮へ

Little Glee Monster

 定刻になると、観衆の拍手に迎えられ黒のスーツに身を包んだサポートミュージシャンたちが登場。名刺代わりのジャズ・ブルーズを披露する。まさにBlue Note Tokyoといえばジャズ、そのきらびやかな雰囲気を、観衆は十二分に満喫する。そんな中、続いていよいよ5人もステージに現れた。これまでのステージとは雰囲気を変え、黒を基調とした大人な装いの5人。そしてステージは、4ビートアレンジの「青春フォトグラフ」でスタートした。

 サポートメンバーによる、グルーブ感たっぷりのバックアップ。その上に乗った、彼女らのつむぎ出すハーモニーとメロディは、「だから、ひとりじゃない」「明日へ」と、次の曲に続くたびに輝きを増していく。時に自身のソロパートでは情感を込めた表情を見せ、また別の時にはお互いに顔を見合わせ、楽しそうに笑う。その雰囲気につられるかのように、サポートメンバーたちも要所で笑顔を見せあう。5人はその声で、後にいた6人のサポートメンバーと共にサウンドを作り上げ、さらにゴージャスなものへと昇華させていた。

 アサヒは「緊張して(靴の)チャックが開きっぱなしだった」などと語り笑いを誘っていたが、国内外の超一流ミュージシャンが集う、音楽の聖地の一つともいえるBlue Note Tokyoでのステージでの緊張は並々ならぬものであったに違いない。しかしかつて一度この地に憧れ観衆として訪れたことがあると語ったmanakaをはじめ、5人にとっては憧れの地でもある。その“夢の地”に立てた喜びをかみ締めるかのように、たっぷりと思いを込めて歌う。

 そして映画『ジャングル・ブック』のキャンペーンソングとして歌った「I WAN‘NA BE LIKE YOU」から最新アルバム『juice』のナンバー「Gift」へと続くと、その緊張も程よく解けて、それぞれの個性を発揮しつつも息をピッタリ合わせた“リトグリ”らしいステージを展開。この日彼女らはまさに“高級クラブのスター”。その真価は、ソウルフルな「Get Down」で最大限に発揮された。

様々なアレンジで見せた新たな一面、一流のエンターテイナーにも見える表情

Little Glee Monster

 「ちょっといつもの自分に戻ってきたかな? 慣れてきたんじゃない!?」緊張の解けてきた表情でMAYUが語りかける。5人のエキサイティングなステージに、序盤から手拍子を向けるなどすっかり夢中の表情となった観衆。彼らのその火照った気持ちをクールダウンするかのように、中盤で5人は椅子に座ってのプレーを見せる。静かなサウンドにたっぷりと思いを込めた「ギュッと」に、一転してボサノバアレンジとなった「私らしく生きてみたい」、そしてその進行とともに雰囲気を盛り上げていく「小さな恋が、終わった」とバラエティに富んだサウンドがまた観衆の注意をしっかりと掴んでくる。

 激しく体を動かしながらリズムに乗って、パワフルな歌声を聴かせるのも彼女らの魅力であるが、このパートでは彼女らの表情がはっきりと見える。常に笑顔を絶やさない芹奈、歌への並々ならぬ思いがうかがえるMAYU。またアサヒ、かれん、manakaもそれぞれの声と共に、思いを表情に込めてフロアに投げかけていた。

 そしてステージもいよいよ後半、アース・ウインド&ファイアーからブルーノ・マーズ、果ては星野源やマイケル・ジャクソンとバラエティに富んだファンクメドレーを、アカペラにより披露。ある意味5人の最も“Little Glee Monster”らしい”一面を存分に見せる。終盤はラテンのリズムにアレンジされた「好きだ」、そして8月にリリースされる最新シングル曲「世界はあなたに笑いかけている」を続け、再び会場に熱気と興奮を呼び起こす。

 そしてBlue Note Tokyoという憧れの地、さらに5人がともに憧れていたという、「MTV Unplugged」への出演という“憧れ”尽くしを果たしたことに対して、manakaは「10代のうちにここに立てたことを、大変嬉しく思います」と喜びと共に感謝の気持ちを告げ、最後に昨年ドラマ『陸王』の主題歌として使用されたことで話題にもなった、平原綾香の代表曲のカバー「Jupiter」で厳かにステージを締めくくった。この日ではライブハウスなどで見られる「ボーカリストたち」と「バックバンド」という関係ではない、様々なアレンジに柔軟に対応し、最高のサポートメンバーによる豪華なサポートにも対等に渡り合っていた彼女。そこにはアイドル的な見え方はなりを潜め、すっかり一流のエンターテイナーの表情となっているようでもあり、そのステージは「またこんなステージを楽しんでみたい」と思わずにはいられなくなるものとなっていた。

 なお、この模様は7月21日(土)19時にMTVで放送される。

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)